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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『駄目人間』の青春と初めてのデート  作者: 橋本 直
第四十二章 一変した寮の朝

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第187話 一変した朝食

「おはようございます!」


 食堂でいつも通り眠そうに喫煙所から出てきたかなめに誠は元気よく声をかけた。


 昨日感電死したはずの島田は食堂のいつもの寮長の席で毎朝通って来る彼女のサラと彼女を送ってくるパーラと一緒に談笑しながらプリンを食べていた。


「おう、昨日はかえでの夜這いは無かったみてえだな。あの変態、初日からオメエを襲うと踏んでたが……タイミングはまだだってことか」


 そう言うとかなめは食堂の中に入った。


 食堂の中の雰囲気は一変していた。


 相変わらずのセルフサービスだったが、隊員達が食べているトレーの大きさが倍ほどのいかにも豪華なそれに変わっていた。そして乗っている食材も、これまでのコスパとカロリーだけを考えた食事からまるでホテルのバイキングを思わせるような豪華なそれに変わっていた。


「凄いですね……こんなに朝食が豪華になるなんて……これまで僕達が食べていたのは犬の餌だったんですね。」


 誠は半分呆れながらかなめについて食事を受け取りにカウンターに向った。


「あ、誠様の食事はこちらになります」


 カウンターで待機していた寮母長の高橋が誠にひときわ大きなトレーを手渡した。そこには他の寮生のそれとは別の精力のやたらつきそうな食材が並ぶ特別製のメニューが並んでいた。


「ああ、どうも……でもこんな僕だけ特別扱いなんて許されるんですか?」


 誠は周りの先輩の寮生の突き刺すような視線を浴びながら恐る恐る高橋に訪ねた。


「誠様はいずれ私達と子をなす大事なお方です。この扱いはあまりに当然と言えます。この誠様だけの食材にも性力増強の効果がある食材が使われております。その結果、女性をお求めの際はぜひ私共の部屋をお尋ねください。いつでも最高のおもてなしをいたしますので」


 高橋は淡々とそう言うと誠に笑いかけた。誠は大食漢なので朝食はいつも足りないと思っていたが、それにしても誠の特別製のトレーは巨大だった。


「おう、アタシのは普通か?まあいいや、アタシはサイボーグだからあんま食えねえからな。それにしてもかえでの奴……こんなところにも気を使いやがって……欲望が見え見えだぜ。何がプラトニックラブだ!要するに餌で釣ろうって魂胆だろ?」


 誠のトレーに乗せられるものにはかなめのそれには無い大きめのハンバーグと高そうなメロンが一切れ付け加えられている。そして主菜のシチューの量も明らかにかなめのそれの倍も有る。


「本当に良いんですか……それとかえでさんとリンさんは?」


 誠は豪華な朝食に半分呆れながら高橋に尋ねた。


「ええ、かえで様はおひとりで食事をされるのでもうすでに食事はリン様の指示で私室に運んであります。かえで様ほどの方がこのようなトレーで食事と言う下々の者のするような食事をされるわけが有りません」


 高橋はさもそれが当然というようにそう言った。


「そうですか……食事は一緒にした方が楽しいのにな」


 誠は独り言を言いながらかなめの正面に座って食べ始めた。


 確かに昨日までの朝食がいかに人間の食べるに値しないものだったかと分かるほどの味が口の中に広がった。


「アイツめ……マジで食事で神前を支配する気満々だぞ……自分の自慢の身体で落ちないとなるとそう言う手を使うのか……妹ながら恐ろしい奴だ」


 かなめはそう言いながらも昨日より明らかに改善されている食事に満足しながらスプーンを進めた。

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