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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『駄目人間』の青春と初めてのデート  作者: 橋本 直
第三十七章 消えた皇帝の正体

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第165話 闖入者登場!

 沈黙しきった隊長室。全員が事態が悪い方へと向かっているという認識だけは共有していた。


 その時突然隊長室の扉が開かれた。


「新さん!お蔦がお弁当を持ってきましたよ!」


 それは赤い派手目の小袖を着たお蔦が手に風呂敷包みを抱えて入って来たところだった。


「お蔦さん……今深刻なお仕事の話をしてるの。大事なところなんだから……空気読んでくれる?」


 困り果てた表情で嵯峨は笑顔のお蔦に向ってそう言った。


「そうは言うけどさあ、そう言う深刻なお仕事をしている時こそアタシみたいな奇麗どころを見ながら気分を変えることも必要なんじゃないかい?それに今日は簡単に食べれるおにぎりにしたんだ。東和の役所のお昼休みは1時間だったよね?しかも東和じゃその時間に何をしても自由だって言うじゃないのさ。そしたらその間に新さんは……一分一秒でも長くアタシは新さんと繋がっていたいんだよ」


 そう言ってお蔦は淫靡な笑みを浮かべながら着物の裾を持ち上げようとした。


「あのね、お蔦さん。自由って言ってもそんなことをして良い時間じゃないの!ここは公的空間なの!俺にはかえでみたいに露出狂の趣味は無いの!」


 必死に抵抗する嵯峨に一同は同情とともに呆れた顔を浮かべていた。


「そりゃあ、昨日はさ。新さんを満足させる前にアタシが参っちゃったから……でも女は復活が早いんだよ。さあ、あと一時間でお昼休みだ。今日はどんな責めでアタシを鳴かせてくれるのか楽しみだねえ……アタシも新さんと何回出来るか挑戦してみたくなったんだよ」


 そう言うとお蔦はそのまま嵯峨の椅子の隣に行くと嵯峨に抱き着いて耳元に息を吹きかけた。


「あのさあ、お蔦さん。俺の話聞いてる?それに部下の前でそんな話をするもんじゃないよ。俺はプライドゼロの男だけど若干の羞恥心は残ってるんだ」


 さすがの『駄目人間』の嵯峨もお蔦の色気攻めに参ったというように軽蔑の視線を送るランに目をやった。


「隊長。昨日は風俗雑誌全部古新聞に出してたよな。その時『お蔦より上手い嬢には会ったこと無いから要らないんだ』とか嬉しそうに言ってたよな?副隊長権限でこの部屋を昼休みは入室禁止にして8歳幼女にはとても見せられないいやらしい行為をしてても良いぜ。もうオメーの事は諦めてるから。オメエはやっぱり救いようのねえ『駄目人間』だ」


 ランはそう言うと部屋を出て行った。


「隊長もいくら不死人で復活が早いと言ってもそんなにやってると腎虚になっちゃうわよ。ああ、隊長は死なないんでしたよね。じゃあ私も」


 アメリアもあきれ果てたというように部屋を後にした。


 誠とカウラかなめは隊長室で嵯峨の耳を甘噛みするお蔦を見ながら大きなため息をついた。


「これからヤバいって言うのに……叔父貴のスケベは救いようがねえな。行くぞ!神前!ベルガー!それと変態三人!」


 かなめの言葉を合図に誠達は嵯峨に背を向けた。背後では着物を脱ぎだすお蔦の衣擦れの音が隊長室に静かに響いていた。

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