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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『駄目人間』の青春と初めてのデート  作者: 橋本 直
第三十四章 素人兵団と迎え撃つ『特殊な部隊』

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第157話 焼け焦げたバンと現れた副隊長

「神前、とりあえずオメエが先行しろ。何かあったら干渉空間を展開してバリケード代わりにしろ。気の弱いオメエでもできる簡単なお仕事って奴だ。どうせ連中は闇サイトで集められった金で雇われた素人だ。もう全員死んでるだろうがな」


 島田はそう言うと誠の背中を叩いた。


 誠は仕方なく干渉空間を盾替わりに銃を構えて煙を上げるバンに近づいていく。野次馬の誰かが通報したのかパトロールカーのサイレンの音が近づいて来た。


『ちょっとこれはやりすぎなんじゃないのかな……島田先輩達には手加減というものは無いのかな……』


 誠はそう思いながらバンに近づいていった。


 RPGの直撃を受け、ガソリンにまで引火して炎を上げている四台のバンの周りには何とか脱出を試みようとした銃を持った男達の死体が転がっていた。


 その手にしているのは全てカラシニコフ。遼帝国の制式アサルトライフルだった。


「これ、遼帝国の軍隊の人だったりしたらそれこそ国際問題になるんじゃないかな?」


「それはねーな」


 肢体の一つを確認しようとした誠にかわいらしい女の子の声が響いた。


 振り返るとそこにはどてらを羽織ったランの姿があった。おそらく瞬間転移でこの情報を聞きつけてお世話になっている組から跳んで来たらしい。


「島田の奴には手加減てもんはねーのか?皆殺しにしちまったら後で面倒な話になるぞ。まあ、こいつ等をここに向かわせた奴の見当はついてる。こいつ等をここによこした上の連中のいつもの『挨拶』だ。しかし、街中でRPGぶっ放すなんて……島田の馬鹿は何考えてるんだ?もし外れて民家に当たったら責任問題どころの話じゃねーぞ。アイツには手加減という文字はねーのか?」


 ランはそう言って慣れた調子で誠を追い抜くと死体を一つ一つひっくり返してはその被っている覆面をはぎ取っていった。


「連中はいつも最初はこういった地元住民の素人を闇サイトで法外な報酬を払うと誘って使い捨ての駒として使う。当然、こいつ等みたいに攻撃対象の反撃で全滅する。だから報酬を払う必要もねー。連中は金が厳しいからな。まーここまで一方的にやられるとはこいつ等をさし向けた連中も予想していなかっただろーがな」


 ランは表情一つ変えず、半開きのバンのドアを覗き込んでいた。


「クバルカ中佐……こいつ等は何者……いや、こいつ等を差し向けた上部組織は何なんですか?これだけの武器を用意できるんです。半端な組織じゃないと思うんですけど」


 誠は普段と何も変わらない様子で死体の転がる道路を歩き回るランに向けてそう言った。


「予想はついてるが裏が取れてねー。さっき、寝てた安城を起こしてその闇サイトのデータの復元を依頼したところだ。まーほぼ十中八九あの女の手の者の仕業……こんな手口を好むのはあの残忍な『廃帝ハド』の配下のものでもアイツ位のもんだ」


 そんなことをランがつぶやいていると誠は背後にかなめ、アメリア、カウラの姿を感じた。


「素人が、まったくうちに襲撃を仕掛けるとは良い度胸してるじゃねえか。当然の報いだ」


 手にSVT40を手にしながらかなめは腹立ちまぎれに転がっていた死体を蹴り飛ばした。

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