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第154話 自家発電と緊急サイレン

 股間の違和感に耐えながら誠は一気に夕食のかきたま汁を飲み終えるとそのままシャワーも浴びずに自室に駆け込んだ。


「カウラさんの『愛の手紙』……かえでさんの極限プレイもいいけど……カウラさんは男性経験ゼロだからな……新鮮なんだろうな……これは楽しみだな……」


 誠の脳内はかえでの与えた薬の効力で性欲に支配されていた。


 急いで携帯端末を部屋の大画面テレビにつなぎ、ズボンとパンツを脱いで画面の前に身構えた。


 画像には全裸のカウラが恥ずかしそうに頬を染めた顔が大写しにされていた。股間のエメラルドグリーンの陰毛に誠の鼓動が高鳴る。どうやらカメラを固定しその前で撮影をするつもりらしい。


『神前か……こんなものを送っても大丈夫なのか?私は胸が無い……貴様の見慣れているあの日野少佐のような身体は期待しないでくれ』


 カウラはそう言うとそのままカメラの前から遠ざかった。


 カウラは何も着ていなかった。確かに平面の胸がそこにはあったが、かえでやリン、そしてかえでの使用人たちの豊かな乳房を見慣れた誠には新鮮に見えた。


『これじゃあ、日野には勝てないな……それなら貴様をもっと興奮させてやろう。日野の使い込んだアレとは違って私のは未使用だからな……人に見せるのは貴様だけだ。私はそう決めている。そしてここに触れて良いのも貴様だけだ。貴様に出会ったあの日に私は誓ったんだ』


 ためらいがちにそう言うとカウラは再びカメラに向かって歩み寄ってきた。


『いよいよカウラさんのアレが!よし!』


 そう誠が思って股間に手をあてがった瞬間、初めて聞く騒々しいサイレンが部屋いっぱいに響いた。


『緊急連絡!全員そのままの格好で食堂に集合!事は一瞬を争う!遅れた奴はぶっ殺す!』


 島田の怒鳴り声で誠は理性を取り戻した。そのあまりに緊張した口調にあのかえでの薬の効果も消えたように誠の股間は普段のそれに戻った。


「緊急招集?なんだ?そんなの初めてだよ」


 誠はカメラの前で股間を広げようとするカウラの画像を消すとそのままパンツとズボンを履いて部屋を出た。


 ドアを開けると走っていく隊員達の姿が目に飛び込んできた。


「何が有ったんです?」


 誠は先輩の隊員に尋ねるが返事がない。仕方なく誠はそのまま食堂へと降りて行った。


「遅いんだよ!神前!アレか?カウラの無修正動画でも見てたのか?」


 首にいくつものコードをつなぎ食堂のプロジェクターを操作していたかなめがにやけながらそう言ってきた。


「そうよねえ、なんと言っても男の子だもんね。誠ちゃんは。カウラちゃんの勇気、しっかり受け止めてあげた?」


 その隣ではアメリアがプロジェクターの調整をしながらそう言っていた。


 隣に立つカウラは真っ赤な顔をして黙り込んでいる。


「はあ、まあ……」


 嘘をつくのも嫌なので誠は静かにうなずくと空いていた席に腰かけた。プロジェクターの隣では難しい表情で寮長の島田と副寮長の菰田が腕組みをして誠をにらみつけている。


 その迫力で誠はかえでの薬の効果が完全に切れたことを再確認した。

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