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第153話 突貫工事と決定事項

 完全に女性用大人のおもちゃ扱いされる誠を弄る女性たちに囲まれながら、なんやかんやでカウラの『スカイラインGTR』は寮の駐車場にたどり着いた。


 駐車場には見慣れないバンとトラックが停められていた。荷台には高級そうな建材が積まれ、いかにも何かの改装工事を行っている最中という雰囲気だった。


「なんだ?工事でもやってんのか?夕方だって言うのにご苦労なことだ」


 かなめはそう言うと颯爽と助手席から降りた。


「誠ちゃん、大丈夫?誠ちゃんの股間のアレは私達の希望なんだから傷つけないようにね」


 アメリアはそう言いながら股間を気にしている誠の手を取ってゆっくりと後部座席から降りた。


「しかし、急に工事とは……島田は何も言っていなかったが……」


 不思議そうな顔で運転席から降りたカウラはそのまま玄関へと向かった。


 建材の放つ気の匂いが寮の玄関を支配していた。ひっきりなしに職人たちが建材を抱えて行き来している。


「工事にしては本格的ですね。まるでどこかの拡張工事でもするみたいじゃないですか。別に雨漏りがあるとか言う話は無かったですし……うちを改装するような予算も有る訳ないし……」


 自分の股間の違和感を紛らわせようと誠はかなめに向けてそう言った。


「島田の奴はずぼらだからな。きっと忘れてたんだろ?……図書館の拡張工事の時だって完全に職人が入る日程を忘れてて大騒ぎだったじゃねえか。どっか工事するなら上官であるアタシ達にもしっかり伝えろってんだ!」


 かなめは光学迷彩戦闘服姿のまま、ブーツを脱ぐとスリッパを履き、ものすごい形相でそのまま食堂を目指した。


 いつ島田に向けて発砲するか分からないかなめの様子を見て誠達も慌ててその後を追った。


「なんです?皆さんお揃いで?それと神前、日野少佐と出かけたんじゃねえのか?どこまで行ったんだ?オメエもついに童貞卒業?オメエは凄いからな。日野少佐も大満足だったろ?」


 まるっきり緊張感を感じさせない調子で島田は食堂のテーブルにバイクのサスペンションを置いてそれを磨いていた。


「おい、島田。この騒ぎはなんだ?まさかかえでと5人の愉快な家臣たちが引っ越して来るから三階の空いてる部屋を改装中だなんていわねえだろうな!」


 かなめはそう言うと銃口を島田に向けた。


 そのあまりの迫力に持っていたスプリングを取り落とした島田は黙ってうなずいた。


「撃たないで下さいよ!西園寺さんの推測は合ってます!日野少佐と渡辺大尉、それに三人のメイドとコックさんが一名三階の女子寮の住人になるんです!これはクバルカ中佐の決定です!俺がどうこうできる話じゃ無いんですよ!だから銃は下げてくださいよ!俺のせいじゃ無いんですから!」


 島田は必死になって命乞いをした。かなめはその様子に満足したように苦笑いを浮かべると銃を下ろした。


「でも、私達が来た時は工事なんかしなかったじゃないの……そんな予算うちによくあったわね。あれ?島田君が以前車の密輸で稼いだ福利厚生費の予備費を回す訳?」


 アメリアは島田の正面に座ると詰問するように島田に向けてそう言った。


「今回の工事費用は全部日野少佐が個人で出すそうです。なんでも、防音工事をしっかりしていないと西園寺さん達の迷惑になるからって……あれですか?日野少佐って趣味でバンドでもやってるんですか?」


 かえでの変態趣味のことを何も知らない島田は真顔でかなめにそう尋ねた。


 変態かえでが変態行為の音声を漏らさないための防音工事だと知っている誠達はただ何も知らない島田を憐れむような視線で見つめていた。

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