第150話 暴走する二人
けもの道のような崖を下ると、そこは細い山道でそこにいつものカウラの『スカイラインGTR』が止められていた。
「カウラ、目的地は分かってるな。当然やることも……覚悟は決まったな!オメエが覚悟を決めないとアタシも前に進めねえんだ」
「ああ、覚悟はできている!こんな形で結ばれるのは不本意だが、もはや私には手段を選ぶ余地などない」
乗り込む前にかなめとカウラはお互いにアイコンタクトすると後部座席に股間を苦しそうにしている誠を押し込み、続いてアメリアが乗り込んだ。
「あの薬の効果は結構長いが出来るだけ早い方が良い、カウラ山道をでたらそのまま右に進め」
助手席でシートベルトを締めるとかなめはかうらにそう言った。
「分かってる。今日という日が来るのは当たり前の話だったんだ……あの日野が来る以前から私達は神前に力を与えられるべきだった。今日の日野の行動でその覚悟はできた。もう私に迷いはない」
車を急発進させながらカウラはそう言った。
「お二人とも何を言ってるんですか?力を与えるって何です?」
誠は性欲に支配されつつある脳裏で三人の女性のフェロモンになんとか打ち勝とうと耐えながらそう言った。
「神前、オメエはアタシ等三人を抱け。その薬の効果なら三日三晩抱き続けることが出来るはずだ。そうすればアタシ等は法術師になれる。もうかえでの馬鹿の力なんか必要なくなる。オメエを守るのがアタシ等の役目だ。その為にオメエが力を尽くす……当然の話だろ?」
かなめの突然の言葉に誠は呆然とした。
「そんな無茶苦茶な!カウラさん!本当に良いんですか?」
誠は真剣な表情で山道の折れ曲がった道を正確なハンドルさばきで車を疾走させるカウラにそう尋ねた。
「私も覚悟を決めている。個人的な感情を言うと私は以前から一人の女として神前に抱かれたかった。抱かれるなら神前と決めていた。そのきっかけが今日できた。それだけの話だ」
あまりにも唐突な愛の告白に誠はまたもや唖然とした。
「ここら辺は良いホテルがねえな。少し離れるが君浦に三日開いてるホテルがある。そこを使う。そこで三日三晩アタシ等を抱け。最初はカウラだ。コイツは男は初めてだからな。アタシやアメリアが指導してやらないとうまくできないだろ?譲ってやるぜ、神前の童貞」
かなめはそう言ってカウラに笑いかける。
「馬鹿にするな。『ラスト・バタリオン』は戦場での男性慰安の役割も与えられている。処女膜は初めから無いし、最初の性行時から快楽を得られるように作られている。貴様なんぞに気を使われるいわれはない。ただ、神前の初めてを貰うことは名誉だと思うからありがたくいただこう」
そう言ってカウラはバックミラー越しに誠を見つめた。その目は誠への欲望にギラギラと輝いているように誠には見えた。