第147話 強者としての『法術師』
誠はかえでが与える股間への刺激とかなめの恐怖心をあおるような死んだ目の前でどうしていいか分からず立ち尽くしていた。
「おい、人の話を聞け。オメエは確かに法術師だが、アタシの銃の弾も対法術師用だ。それが……」
かなめはそう言って引き金を絞る指に力を入れた。それを感じたかえではようやく誠のアレの先端から口を離してかなめを振り返った。
「おいしい。誠君。これから先が楽しみになる味だった。それとお姉さま、なら試してみると良いよ。どういう結果が待っているか……まあ、僕は知っているけどね。お姉さまにはどう頑張っても僕の望みを邪魔することは出来ない。お姉さま、お願いだから僕に姉殺しの汚名を着せないでくれないかな?」
かえでは立ち上がり姉をにらみつけた。
「そこまで言うなら!」
かなめはためらわず引き金を引いた。
しかし、その弾は銀色の板に弾かれた。
『干渉空間』誠が使える強力な防御壁にして瞬間転移もできる強力な法術である。それを見てかなめの表情は驚愕に変わった。
「なんでテメエが神前の力が使えるんだ?」
かなめはそのまま飛びのいて距離を取り全裸のかえでをにらみつけた。
「この前の義父さまの愛人になられたお蔦が法術師になった話を忘れたのかな?僕の子宮には大量の誠君の精液が流し込まれてきた。覚醒した男性の法術師の精液を浴びた地球系の一般人の女性はその法術を得ることが出来る。僕にも同じ現象が起きた。しかも僕は元々法術師だ。だから当然その発動を効果的に行うことが出来る……例えばこんなこともね」
そう言うと笑みを浮かべてかえでは右手を大きくかざした。そこには瞬時に太刀が現れその刀剣にはこれも誠の必殺の法術である『光の剣』の放つ青い光が輝いていた。
「かえで……テメエは神前の法術が欲しくて神前の精液を手に入れたのか?」
かなめの表情には焦りの色が見えた。
「それは違うよ。あれを手に入れたのは完全に誠君への愛の為だけど……法術の研究の発表は暫時的になされているからね。その結果そうなることを僕は知った。そうしたら同じ法術師としてより強くなりたくなるのは当然じゃないのかな?ああ、リンを始めとするうちの使用人たちも今では立派な法術師だ。おそらく、そこに隠れている二人よりも彼女達の方が強い。その現実……ちゃんと認めた方が良いよ」
かえではそう言うと近くの低木の影に隠れていたカウラとアメリアに目をやった。
「これは降参するしかないわね、かなめちゃん。でも、ここにもっと強い法術師が現れたら……状況は一変するんじゃないかしらね?」
そう言ってアメリアはポケットから小さな通信機を持ち出した。
「そうだね。どうせお姉さま達がここに居るのはクバルカ中佐の差し金なんだろ?だったら連絡すればいい。あの人ならこの場所までどこからでも一瞬で跳べるはずだ……まあ、クバルカ中佐がその通信に気がついたらの話だけどね」
かえではそう言って勝ち誇ったような笑みを浮かべた。