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第126話 秘密会合始まる

 フランス遼州派遣艦隊司令室には四つの人影があった。


 その広々とした応接スペースの主の席には艦隊司令であるジャン・カルビン中将の眼鏡をかけた落ち着いた姿があった。


 そして向かい合うようにどう見てもこの場にふさわしく無い格好をした二人の男と、その二人に挟まれて座っている長身の妙齢の黒い髪の女の姿があった。


「これは、立派な部屋だねえ。星間派遣艦隊司令にもなるとこんな立派な執務室が貰えるんだ。これは出世した甲斐が有るってもんじゃないかね……ねえ、カルビン提督?」


 色気のある女性にしては低い声で旧遼帝国の軍服姿の黒い髪の性格のきつそうな顔つきをした女はそう話を切り出した。


「良い仕事をするには良い環境が必要だと言うことですよ。合理主義一辺倒の新大陸の人間には理解できない話だが、旧大陸の人間は常に文化と触れていないと精神を痛めてしまう。だから、責任者である私にはこの部屋が与えられた。ヤンキーのこの星域に派遣されている艦隊司令の部屋に呼ばれた事が有るが、あの殺風景なことは無かった。あんな部屋で仕事をするなんて私には耐えられない。地球人でもそれだけの違いがある。その点は理解していただきたいものですね。あんなものの分からない『フロンティア精神』ですべての悪事を正当化する人間達と一緒にされるのは心外ですね」


 アメリカ嫌いのカルビンはそう言って目の前の明らかに二人の男を従えているよ言う様子の女に語り掛けた。


「そうかい、力ない地球人同士がどれだけそのご自慢の科学力で核兵器や気化爆弾で殺しあってもアタシには一向に関心が無いんだけどね。まあ、いいさ。それより、こちらは菱川とのネットワークを使って『方天画戟』のデータを提供した。そして、ここに居る北川をそちらに派遣してアンタの軍の女に子を作らせて法術師を大量生産するという提案もした。それに見合う代償……一体何を提案してくれるのか。アタシには……いや、父にはそれが気になってならないところなんだよ」


 その高飛車な女、『廃帝ハド』の娘であるリョウ・カラは含みのある笑みを浮かべてカルビンをにらみつけた。


「姫さん、そんなにおフランス様の褒美をせびるような真似をするもんじゃありませんよ。共和国からは相当な資金提供をうちも受けているんですから」


 隣に座っていた革ジャンの下からアロハシャツが見える悪趣味な男の言葉を聞いてカラは落ち着いたようにソファーにふんぞり返った。


「北川。アンタはいいよ、これから好きなだけ自分が選んだ好きな女を抱けるんだ。そしてシュツルム・パンツァーのパイロットとしての技術も身に付けられる。これから同盟に寝返っても今度同盟が設立するという『遼州同盟軍事機構』のエースになれるかも知れないよ。再就職先には困らないんだからいい事じゃないのさ。それにしても不思議だねえ……遼州人がほとんど居ないフランスがシュツルム・パンツァーの製造を行っていた。法術を持たない地球人には人型兵器なんて可動部が多くて故障しやすい欠陥兵器だって言ってたの……そう言って前の戦争の時にシュツルム・パンツァーばかり使う甲武国を馬鹿にしたのはフランスの国防省の高官だったと記憶してるが……アタシは間違ってるかね?」


 あからさまに偉そうな態度でカラはカルビンを脅しつけるような視線でにらみつけながらそう言った。

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