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第125話 波間の向こうに浮かぶ仕事の話

「見てごらん、水平線の向こうは縦須賀半島だ……そう言えば誠君は東和宇宙軍の出身だったよね。あそこは東和海軍と東和宇宙軍の共用の港だ。行った事が有るんだろ?」


 無邪気にかえでは誠に向けてそう笑いかけた。


「ええ、宇宙での訓練がある時はあそこで輸送船に乗って宇宙に上がるんです。まあ、僕は宇宙酔いが酷いんで……いい思い出は一つも無いですけど」


 あまりの宇宙酔いの酷さに『もんじゃ焼き製造マシン』という確定的なあだ名をつけられたきっかけの地である縦須賀軍港を思い出して誠は苦笑いを浮かべた。


「そうか、それも僕なら直してみせる。『愛』にはそんな効果も有るんだよ。甲武の宇宙コロニーには予算の都合上重力制御が不十分で低重力のモノが少なくない。僕が一緒に行ってそんな中で愛し合えばきっとその環境にも慣れることが出来る。もし君が最中に吐瀉しても僕の顔にかけてくれてかまわない。そうして愛欲を求めて汚物に塗れる二人の裸体の乱れる様を想像すると僕は楽しくなるよ」


 かえでの言葉には常に色欲がちりばめられていた。そして同時に自分にはそんな趣味は無いと誠は叫びたかった。


「話は変わるが、今、あそこには珍しいことにフランスの宇宙艦隊の旗艦『マルセイユ』が寄港しているらしい。不思議なことだと思わないかい?」


 急に面持ちを真剣な表情に変えてかえではそう誠に言ってきた。


「地球の艦船も宇宙艦の停泊を予定して作られたあの港には寄ることはあっても別におかしなことは無いと思うんですけど……」


 誠はそう言ってかえでの真剣な表情を不思議そうに見つめた。


「フランスとの国交を持っているのは遼州圏では前の戦争でネオナチの政権を倒して新政権となった『ゲルパルト連邦共和国』だけだ。フランスの遼州艦隊はあそこで頻繁に物資の補給をしている。しかし、国交のない東和に、しかも艦隊司令が乗る旗艦が停泊している。その事実に不信感を持つのは軍人としては当然のことだと思うよ。まだ、君はそれを学んでいなかった。しかし、僕の言葉で君はそれを学んだ。そして君は一つ成長することが出来た。愛する人が成長する姿を見ることが出来て僕は本当に幸せだ」


 かえではそれまでの真剣な表情を崩して誠に笑いかけた。


 かえでの言葉で誠は確かに『マルセイユ』がなぜこの東和に立ち寄っているか初めて疑問に思った。


 艦隊司令と言えばそのすべての采配を行う人物である。その人物が乗る旗艦がここ東和の最大の軍港である縦須賀に停泊している。


「確かに、かえでさんの言う通り何か目的が有るんでしょうね……艦隊司令が直接動くような重大な何か……もしかしたらまた戦いが始まるのかもしれない……」


 誠はかえでにそう語りかけるが、かえではすでにそんなことは過去の話と言うように波と戯れていた。


 誠からはTバックの隙間からかえでのピンク色のお尻の穴がはっきりと目に入り誠は思わず目を逸らした。

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