第119話 痴女の挑発
「それにしてもいい眺めだね……港の無機質なコンテナの向こうには海を隔てて山々が見える。実に素敵な眺めだ……僕は軍人だからね。機能的に配置されたコンテナにはある種の美を感じる。これを機能美と言うんだと思うと楽しくなるんだ」
そう言いながらかえでは乳首に装着したニプレスを外した。
「何をしているんですか!アンタは!変態ですか!ええ!変態でしたよね!」
誠は驚きのあまり裏返った声でそう叫んだが、かえでの小ぶりでピンク色の乳首を凝視しながらのその言葉に説得力はなかった。
「なにを驚いているんだい?動画ではいつも見ているんだろ?直接見るものも悪くないと思ったからだよ。どうだい?奇麗だろ?見事なピンク色でそして小さくてツンと立っている。こんなに見事な乳首は他の女性にはついていないよ?」
かえではそのままの姿で誠に向けて微笑みかけた。
「かえでさん!とりあえずお願いしますから隠してください!みんな見てますよ!」
誠の叫び声は次第に大きくなる。
「別に僕を見てみんなが驚いている訳じゃない。みんなは誠君の声に驚いてこちらを見ているんだよ。そう言う素直な君が僕は好きだな」
そう言いながら仕方ないというようにかえでは再び乳首に星形のニプレスを張り付けた。
「誠君ももう我慢できなくなっているのは分かっているんだよ。なんならお茶が終わったらそのまま予定を変更してホテルに行くと言うのはどうだろうか?いや、ホテルまで待てないな……このデパートのトイレで……」
かえでは相変わらず落ち着いた笑みを浮かべて誠にそう言った。
「僕達は警察官です!そんなことで県警のお世話にはなりたくありません!それもこの国では立派な犯罪す!」
誠は確かに自分の理性の限界が近づいてきていることは理解していたが、そこはなんとか踏みとどまった。
「それはつまらないな。僕の方は先ほど少し満足しているから気を利かせてあげたのに……なんなら下の花弁も直接見たいかい?ここで見せてあげても良いんだよ」
かえではどこまでも懲りなかった。
「ここでそんなことをしたら本当にポリス沙汰ですよ!まったく……」
そう言いながらも美貌で、超がつく巨乳で、スタイル抜群なかえでを一方的に責めることなどできなかった。
「レモンティーでございます」
先ほどまでのかえでの奇行をすべて見ていましたと言う顔でウェイトレスが紅茶を運んで来た。
「ありがとう。君も美しいよ。美しい物にはすべて見られる価値がある。君にも君を見つめてくれる誰かが現れると良いね。僕にはこの素敵な男性が居る。この男性を譲ってあげられないのが残念だよ」
そう言ってかえではウェイトレスの手に手を伸ばし、その瞳をじっと凝視した。
かえでは同性キラーのプレイガールである。その瞳に見つめられて笑顔を浮かべない女性はいない。ウェイトレスはこれまでの変態そのものを見る視線から愛しい愛すべきものを見つけたという顔に変わってそのまま恥ずかしがるようにカウンターの奥に小走りで消えていった。
「東和の女性達は皆恥ずかしがり屋さんなんだね」
そう言いながらかえでは笑顔で紅茶にレモンを絞った。