第116話 かえでの非常識な提案
「ふーん、千要の百貨店の品ぞろえはこんなものなのか……大したものは無いんだね。所詮は地方都市のデパートと言ったところかな」
かえでの足が最初に向いたのは宝飾品売り場だった。その視線はかつてかなめと一緒に誠の地元のデパートの宝飾品店に行った時と変わらず買うに値しないと言うような素気の無いものだった。
「君に僕の花弁と僕の一番素敵な突起、それに胸の先を飾ってもらうのにふさわしいピアスを探そうと思っていたんだけど、無駄だったみたいだね」
かえでの言い出したことに誠はまた唖然とした。
「僕はそんなところにピアスを付けて欲しいと言った覚えは有りません!そんなアメリアさんが作るエロゲのキャラと付き合いたいとは思いません!」
かえでの姿を見て奇妙な生き物に出会ったとでもいうようにささやきあう店員たちの視線を気にしながら誠はそう言った。
「そうなんだ……でも、いずれ君もそれを欲するようになる。僕が君を成長させ変えようと考えているように僕も君の望むように変わることが出来る。僕は全ての性器に君の手でピアスを付けられていた身に震える自分を想像すると最高に興奮するんだ。そんな女性は理想の女性だと思わないかい?」
「思いません!」
誠はかえでの変態思考について行けずそう言い返した。かえでは少し残念そうな顔をすると宝飾品売り場を抜けてエレベータに向った。
エレベータに乗った二人の後ろにはいかにもいやらしい親父と言う感じの中年男性がかえでの尻をひたすら凝視していた。
「かえでさん……後ろから見られてますよ」
誠はそう言ってかえでの顔を覗き見た。その時、かえでの表情に一瞬スイッチが入ったような変化が見られた。
エレベータを降り、二階の婦人服売り場にたどり着くとかえでは意を決したように誠の顔を見つめた。
「もう、僕は我慢できない。ここで君のモノを見せてくれないか?」
かえでは珍しく真剣な表情でとんでもないことを言い出した。
「何を言うんですか!それは完全に犯罪ですよ!」
そう言う誠を無視してかえでは誠のズボンのベルトに手をかけた。
「やめてください!僕まで犯罪者にしないでください!」
誠はそのままかえでをなんとか引きはがすとかえでは我に返ったように頭を掻いた。
「いや、すまなかったね。僕としたことが理性を失ってしまったようだ。それもこれも君が素敵すぎるのがいけないんだ。少しは反省してほしいな」
かえでは照れ笑いを浮かべるとそのまま人気のないロビーを歩き続けた。
「いや、かえでさんは常に理性を失っているように僕には見えますけど」
ここはツッコミである自分の出番だと思い誠はツッコミを入れた。
「仕方がない。ここは自分でこのこみ上げた思いを処理するしかないようだ。誠君。見守っていてくれるかい?」
そう言うとかえでは自分の股間に手を伸ばして激しくこすり始めた。
「あっ……」
かえでの口から快感にあえぐ声が響いた。
「何をしてるんですか!ここは天下の往来ですよ!」
誠は必死になって叫ぶが、かえでは右手を前に左手を尻に回して夢中でこすり続ける。
「止めてください!」
誠はかえでに手を伸ばそうとしたが急に身体が動かなくなった。
「……これは……僕の……得意の法術でね……1回僕が達したら解除してあげるよ……あっ」
かえでは誠を見て笑うと行為に没頭した。
誠はかえでの法術で動けないままかえでの変態行為を見守るしかなかった。