第114話 脱いだジャケットの下は……
「おいしいかい?僕の花弁からの蜜がこのサンドイッチの隠し味なんだ。気に入ってくれると嬉しいな……なんならここで直接その蜜の味を味わってみるのも……」
そう言うとかえでは再びパンティーを脱ごうと腰に手をやった。
「いいです!やめてください!さっきから周りを人が沢山通ってるでしょ!みんな見てますよ!かえでさんの格好!」
誠は恥ずかしさに耐えかねてそう叫んだ。
「それがどうしたと言うんだい?僕は興奮するだけだな。僕は美しい。人には美しいものを見る権利がある。僕の股間の花弁は僕を愛した女性達は皆その美しさを称賛して羨ましがっていたよ?君も僕の『愛の手紙』で動画として毎日見てるんだろ?だったら直接見るのもまた……」
誠の言葉を無視してかえでは本格的にパンティーを脱ごうとするので誠は慌ててかえでの肩を掴んだ。
「このまま押し倒すのかな?僕としては最高の気分だよ。さあ、一緒に愛し合おう!」
かえでは誠が欲情したものと決めてかかって誠の目を見つめていた。
「違います!脱ぐのを止めただけです!」
誠は必死になって言い訳するがかえでは完全にそのスイッチが入ったような顔をしていた。
「君に僕の花弁を薄い布越しに見られているうちに暑さを感じてきた。このジャケット、暑いな」
そう言うとかえではたった一枚の常識の範囲にかえでを押しとどめていたジャケットを脱ぎ捨てた。
「かえでさん!」
あらわになった胸を見て誠は叫ぶと同時にかえでの右わきに黒いホルスターと銃が有る事に気が付いた。
「ジャケットは銃を隠すために着ていたんですね……というか、ジャケット来てください。裸も、銃の所持もこの国では違法です!」
誠は銃にはかなめに散々銃口を向けられてきたので耐性が出来ていたので若干正気を取り戻してそう言った。
「君と付き合うと言うことは君を狙う者達から君を守ると言うことだ。だからこうして銃を持つ。別に銃はお姉さまだけの専売特許じゃないよ。僕は全てに一流を求める。この銃も一流の銃だ。実用一辺倒のお姉さまとは違う」
かえではそう言うとホルスターから黒く光る磨き抜かれた銃を取り出した。
「CZ75ショートレールファーストエディション。地球人が作った拳銃の中でも最高のコンバットオートマチック拳銃だ。チェコスロバキア製でね。この初期ロットのモデルには最高の金属が使用されている。精度も最高で操作性も抜群。そして何より美しい。もはやこの宇宙にはほとんど残っていない名銃だ」
かえでは見ほれるような目で自分の銃を見ていた。その銃を見つめるかえでの姿を見て誠はかえでは間違いなくかなめの妹なんだと言う事実を確認した。
「いいから銃は仕舞ってください。それにジャケットを着て!」
誠はそう叫んだが、慌てた誠の顔を見るとかえでは有る悪戯を思いついたというようにホルスターを外して食べ終えたサンドイッチの入れてあった籐の籠に仕舞った。
「銃は仕舞ったよ。これなら銃を隠す必要はない。この姿のままでショッピングに行こうじゃないか。もうデパートも開店の時間だ」
ただひたすら唖然とする誠を置いてかえでは上半身は星形のニプレスのみ、下半身はTバックの白い透けたパンティーにガーターベルトと言うどこからどう見ても変態にしか見えない姿で立ち上がった。
「本気ですか……僕もこれで立派な性犯罪者の仲間入りだ」
誠にはそんな諦めの言葉しか浮かばなかった。