表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/162

第107話 じゃあ誠の母は?

「じゃあ、うちの家はどうするんですか?うちの父は私立学校の教師で給料良くないですよ。母は剣道場で敷地が大きいから一応街では資産家で通ってますけど……うちみたいな例はその隊長の言う結婚のどの部類に入るんですか?うちでは父も母も仲良くしてますよ。父は私立学校の全寮制の教師なのであまり家には居ませんが」


 誠は嵯峨に向けて自分の実体験を交えてそう言った。


「ああ、お前さんね。お前さんの場合は出来ちゃった婚。お前の母さんからちゃんとそう聞いてる。お前の父さんとは剣を通じて旧知の仲だったそうだ。それで……まあ男と女だから。お互い性欲もある。その結果お前の母さんは妊娠し、お前の父さんは責任を取った。それ以上に生々しい話も知ってるけど聞きたい?」


 嵯峨の言うあまりに衝撃的な言葉に誠は言葉を失っていた。そして何を言い出すか分からない嵯峨に向けて静かに首を横に振った。


「お前さんさあ、自分が東和のモテない宇宙人である遼州人だと言う事実をいい加減認めなさいよ。お前さん、モテモテで恋愛大好きな地球人だったら高校の時点で童貞卒業出来てるよ。野球部のエース。未来を嘱望された『都立の星』。しかもその面。その身長。そしてその細マッチョの引き締まった体形。どっからどう考えても地球人ならモテない要素が無い。地球人はお前さんみたいな顔を『スポーツマンタイプのイケメン』と言って珍重するらしいよ。そんな男を見たら地球人の女だったら絶対に抱かれに来るものなの。甲武の中等学校の野球部レギュラー。どこの学校だって童貞なんて一人もいないよ。甲武は地球人の国だから、『あの人かっこいい!』ですぐ童貞卒業。それが遼州人だと『あ……そうなんだ』の一言で一切恋愛なんかに発展せずに済んじゃう。別にお前さんがモテないのはお前の乗り物酔い体質とかが問題じゃないよ。お前さんがモテないのはお前さんが遼州人で、周りの女もみんな遼州人だったから。これがお前が甲武の中等学校の野球部のエースで隣に元地球人達が通う女学校なんて有ったらお前さんは追っかけまわされて大変だったと思うよ。甲武で育った俺は『天才不良少年』ということで近くの女学生たちにモテまくったから。その経験から言ってもお前さんが童貞なのは遼州人だから。そしてここが遼州人しかいない東和共和国だから。環境って残酷だよね。周りが地球人の女ばかりならお前さんはモテモテなのに」


 そんな嵯峨の言葉に誠は衝撃を受けていた。


「それに今のお前さんの環境。周りは女ばかり。でも考えてごらん?お前さんに関心を持ってる女の共通点は全員地球人の血を引いているってことだ。かなめ坊は地球人と遼州人のハーフ。妹のかえでも同じ。アメリア、カウラ、リンは地球人の遺伝子を元に作られた『ラスト・バタリオン』だ。それに対してこちらは遼州人のうちで大人気のひよこ……お前に何の関心も示さないよな。アイツに手を付けたのは地球人の血を引く甲武出身の西だ。純血遼州人の島田がモテてる?そりゃあこれも地球人を元に作られた人造人間のサラにだろ?遼州人同士が恋愛するなんてことは有り得ないの!それに遼州人のお前さんはあれだけ女達に露骨にアプローチされてもまるで気付く様子もない。というか、モテない遼州人はどんなに激しいアプローチを受けても気付かない。俺は甲武で育ったからこの女は俺と寝たいんだなと言うサインを後天的に覚えることが出来た。だからお蔦がそばにいる。そう言うわけ。お前が童貞なのは遼州人の宿命。だからお前さんが結婚するには相当手柄を立てて大出世して金に目が眩んだ遼州人の女を見つけるか、性欲に任せていやがる女を押し倒して孕ませるしかないわけよ。だから今のところお前の事を押し倒しかねないかえでとお前さんが結ばれるんじゃないかなあ……と俺は思ってる。俺はかえでの義理の父だから。孫の顔が早く見れるのはうれしい限りだ」


 嵯峨は誠に死刑宣告の様にそう言うと満足げにタバコをふかした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ