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2/4

* 刑事と怪しい男と第二の殺人 *

やがて数分後――

足音が響き、会場の奥の扉から数人の治安部隊員が駆け込んでくる。


その中で、ひときわ目を引く男がいた。


黒いマントの制服に、銀のバッジ。

長身で鋭い眼差し。足を止めると、周囲の騒ぎを制するように短く声を発した。


「この場を封鎖する。誰も、会場から出るな」


静かな声。だが、それだけで騒然とした空気がぴたりと静まる。


男は懐から白い手袋を取り出し、ゆっくりと手にはめていく。

片手ずつ、指を一本一本、きっちりと通しながら。


――刑事、登場。


その姿を目にした瞬間、真実子は思わず息を呑んだ。


(キターーーーーーー!!)


灰がかったブロンドの髪は無造作に流れ、額にかかる前髪すら絵になる。

肌は透けるように白く、彫りの深い顔立ちに、すっと通った鼻筋。

そして――淡いアイスグレーの瞳が、冷たくも静かに、会場全体を見渡していた。


(……うわ、完っっ全に外人顔……!)


真実子は、一瞬で釘付けになった。


異世界で初めて出会った“白人系イケメン”の衝撃。

なんかもう、ニ時間サスペンスの「海外特集スペシャル」で、崖に立ってるCIA関係者じゃない?


年齢は二十代半ば。若い。けれど――ただの若者ではない。

物腰には大人の余裕。

そして、研ぎ澄まされた眼差しには、どこか人を寄せつけない鋭さが宿っていた。


(……陽ちゃんもいいけど、この刑事さんも捨てがたいわね……威厳とイケメンのハーモニー。破壊力がすごすぎる!)


そう、真実子は生粋の「刑事フェチ」だった。

あらゆる二時間ドラマを見ては、刑事キャラに点数をつけ、勝手にランキングしてしまうほど。

中でも不動の一位は、警部補・北川陽一。


しかし――

このイケメン刑事。ビジュアル面では、トップに躍り出る勢いである。


(……でも、1番大事なのは中身よ! 見た目だけで陽ちゃんを超えられると思わないことね!)


真実子の目がギラリと光る。


(さあ、どう出る……? この事件、どうさばくのかしら?)


白手袋をはめ終えた刑事が、無駄のない所作できびすを返し、隣の男へと歩み寄っていく。


「状況は?」


静かに尋ねたその声は、妙に落ち着いていて、ホールのざわめきと対照的だった。


「被害者は、この屋敷の当主――リーヴェル子爵、五十一歳。乾杯の後、ワインを口にして数秒で苦しみ始め、そのままロフトから落下したとの報告です」


「なるほど……」


その横で、別の刑事が、イケメン刑事に訪ねる。


「どう思う、カイ?」


(か、カイさん! あの刑事さん、カイさんっていうのね!)


不謹慎だとわかっているが、テンションが上がってしまう。


「そうだな……」


カイと呼ばれた男が、現場を見渡しながら言葉を探していると、不意に彼の目が真実子の方へ向いた。


「ちょっと、君」


ビクリと肩をすくめた真実子。

その視線が自分を捉えていると気づき、胸がドキリと跳ねた。


(……私、今……カイ刑事に呼ばれた……?)


「は、はいっ!」


カイが落ち着いた声で告げる。


「すまないが、被害者が持っていたグラス……それと同じものを持ってきてくれるかな?」


一瞬、心がふわっと浮いた。

だがすぐに、自分に言い聞かせる。


(ダメダメ、浮かれてる場合じゃない。これは捜査……ちゃんとやらなきゃ)


「承知いたしました」


真実子はメイドらしく一礼し、グラスの置かれたテーブルへと向かった。

テーブルに並んだ中から一つを選び、布で包んでそっと戻ると、カイがそれを受け取った。


そのとき――子爵の遺体が視界に入った。


絨毯の上に、うつ伏せで倒れている。

顔色はすでに青白く、微動だにしない。


――と、そのとき。


真実子の鼻を、かすかな匂いがかすめた。


(……あれ?)



真実子の脳内で、ドラマのカチンコ音が鳴り響く。


(カン!)



真実子は、まるで女優のように、ゆっくりとしゃがみ込む。


静かで、しかしどこか堂々とした所作で、遺体へと身を傾け――


右手をふわりと持ち上げ、指先で空気をそっとあおぐ。

その風を鼻先に導き、目を細めた。


(この匂い……)


甘く、苦く、鼻の奥を刺すような鋭い匂い。

――これは……アーモンド臭?


(……まさか!?)


真実子は目を見開き、ぐっと顔を上げた。


「これは……青酸カリよ!!」


バキン。

会場の空気が、音を立てて凍りついた。


その空気で真実子はハッと我にかえる。


(やっっっばっ!)


全身から冷や汗が噴き出す。

やってしまった――

つい興奮して、サスペンス脳が口を動かしてしまったのだ。


「……なんだと?」


カイが鋭く真実子を睨みつけた。

その視線の鋭さに、心臓が跳ねた。


(し、しまった……)


ここは日本じゃない。“青酸カリ”なんて、通じるわけがない。

何を知っている? と詰問されて当然。

下手をすれば、不審人物として拘束――あるいは、追放……!


焦りで冷や汗が首筋をつたう。


ギシ……と床がきしんだような気がした。

何もかもが止まりかけたその瞬間――


「……そうか、セイスンカーリィだ!」


「へ?」


カイがピクリと眉を動かし、即座に声を張った。


「調査班! すぐに鑑識を。ワインと遺体、優先で調べろ!

それと会場全員の所持品も確認するんだ」


その一声を皮切りに、現場が一斉に動き出す。

隊員たちが足早に散り、封鎖と指示を飛ばす。


(あ、あったんだ。そんなの……)


疑惑を回避できてホッとしたのも束の間、真実子の耳に、"あの言葉"が飛び込んできた。


「――おそらくセイスンカーリィの反応が出るはずだ。慎重に処理しろ」


(……セイスンカーリィ……

なにその名前……ギャグなの?

え、待って……)


“セイスンカーリィ”という言葉の、語感と緊迫感のギャップが真実子のツボに直撃。

一度入った笑いの波が腹筋を襲う。


(や、やめて……! 今それ以上、真顔でセイスンカーリィとか言わないで……)


「毒素が揮発していたら、第二曝露の危険がある。セイスンカーリィは厄介だ」


(あああああああ!!!)


肩が震える。喉がピクピクする。

必死で口を手で押さえ、全力で耐える真実子であった。



* * *



ようやく一日の仕事が終わり、自室で一息ついた。


小さな部屋。ベッドとタンスと、壁にかけられた鏡。

ホッとしたのも束の間、真実子はその鏡の前で立ち止まり、じっと映る自分を見つめた。


――赤毛の少女。あどけなさの残る顔に、細い体つき。

見慣れた中年女性の顔は、どこにもない。


(……やっぱり夢じゃないのよね、これ)


今日一日で耳にした言葉や人々の会話を思い返す。

通貨の単位、貴族の呼び名、地名の響き――どう考えても、ここは日本じゃない。いや、それどころか、あの世界ですらない。


(これって……まさか……)


ふいに、真実子の脳裏にひらめきが走った。


最近、二時間ドラマの新作がめっきり減って、寂しさを感じる日々。

代わりに、スマホで漫画や小説を読むことが増えていた。


(……主人公が死んだり、事故にあったりして、気づいたら異世界に転生してる――あのパターン)


ハッと息を飲む。


(私、崖から落ちた。しかも、“幻惑の踊り子”のロケ地で――)


目を見開く。


(……私、異世界転生したんだわ)



* * *



葬儀は、領内でも由緒ある礼拝堂――《ルドエール大聖堂》で執り行われた。

歴代リーヴェル家の冠婚葬祭を担ってきた、石造りの厳かな聖堂。

高い天井に、聖者たちのフレスコ画が描かれ、祭壇の奥には巨大なステンドグラスが静かに光を透かしていた。


荘厳な鐘の音が鳴り響き、参列者たちは厳かに席につく。

黒の礼装に身を包んだ貴族や領主たちの姿。リディアは、顔を覆う黒いヴェールの下で黙していた。


一方その頃――


裏方として働く真実子は、聖堂の奥をバタバタと駆け回っていた。

椅子の並び、式の進行、参列者の誘導……すべてが段取りどおりに進む中、彼女の手元にひとつの“不足”が判明した。


「――あれ? 棺に添える香油が見当たらない……!」


棚の上にも、戸棚の中にもない。


(これじゃ、儀式が始まらないじゃない……!)


焦る気持ちを抑えながら、そっと奥の祭具室へ向かう。

そして、扉をノックした。


「……はい、どなたですか?」


静かな声とともに扉が開き、中から現れたのは――


一人のシスターだった。


まだ二十代前半くらいか。くすんだ白の修道服に身を包み、控えめな笑みを浮かべている。


「す、すみません。香油の瓶を探しているのですが……」


「香油ですね。おそらく前の棚にあります。ご案内しますね」


彼女はとても穏やかで、丁寧に案内してくれる。

ただ道を教えるだけでなく、立ち止まり、「滑りやすいから足元に気をつけてくださいね」と微笑む。


そのやさしさに、真実子は一瞬、胸が熱くなった。


(……いい子ねぇ……)


どこか、息子の彼女だったらと妄想してしまうような、純朴な優しさと落ち着き。

異世界で出会った“はじめての癒し”に、思わず笑みがこぼれた。


「マティルダさんでしたね? 今日は大変でしょうけれど、無理はなさらないでくださいね。何かあれば、いつでも声をかけてください」


「……ありがとうございます」


一礼してその場を離れ、香油を胸に抱えながら、真実子は小さくつぶやいた。


「……ほんと、いい子ねぇ」



* * *



葬儀は滞りなく進み、参列者たちは荘厳な祈りの調べに包まれていた。


真実子も、裏方としての任務をひと通り終え、

束の間の静けさの中で、呼吸を整えるように歩いていた。


静まり返った聖堂の裏手――

教会の中庭に面した細い回廊。

風に揺れる薄いカーテンの隙間から、ふと目に入った二人の姿が、真実子の足を止めた。


一人は、先ほど出会ったあの優しいシスター。

そして、もう一人は――


(……あれって、イザベラの旦那よね?)


そう、あの長女の“クズ夫婦”だ。

名前は……確かヴィダル。


品のある顔立ちに、余裕を含んだ笑み。

葬儀の最中だというのに、なぜかひとりだけ、場違いなほど軽やかだった。


その男が、シスターにニヤニヤと何かを囁きかけている。

親しげというより――どこか、含みを持った視線。


シスターはというと、見る見るうちに顔色を失い、きゅっと口を結ぶと、そっと身体を逸らした。

それでも男は、背後からなおも何かを言い続けている。


……その瞬間、真実子の脳内に、音が鳴った。

きわめて静かな、不協和音のピアノのワンフレーズ。


(このパターンは……)


・優しすぎるシスター

・不穏な会話

・チャラついた態度の男

・そして、さりげなく誰かに見られてる構図


(これは……“怪しい男ポジ”きた!?)


そう、あのタイプ。

妙に目立って、でも犯人じゃない。

たぶん、次くらいであっさり殺されて、犯人に罪をなすりつけられる人――!


(……って、何想像してんのよ私)


何かを振り払うように、首を小さく振る。

ささやかな仕草の中に、自嘲気味な笑みがこぼれた。


これは、ドラマじゃない。


現実。

――たとえ、それが異世界でも。


リーヴェル子爵が死んだ。

今もまだ、冷たい身体が棺に横たわっている。

残された家族もいる。シスターだって、本当に怯えていた。


不謹慎なこと、考えちゃダメよ。


心の中で、自分にきつく言い聞かせた。


考えを振り払うようにして、真実子は軽く背筋を伸ばし、廊下を歩き出した。


そのとき――


廊下の向こうから、一人の青年がこちらへ歩いてきた。


(あ……この人は)


リディアお嬢様――子爵家の次女の婚約者。

確か名前は、セドリック様。

先日、令嬢の機嫌をなだめていた、あの優しい青年だ。


「あれ? 君は……」


立ち止まったセドリックが、こちらに気づいて声をかけてきた。


「あっ……先日は助けていただき、ありがとうございました!」


思わず勢いよく頭を下げる真実子。


「……気にしないで」


彼はやわらかく微笑んだ。


「今日は大変だったでしょう。君のおかげで、リディアもお義父様ときちんとお別れができたよ。本当にありがとう」


そう言って、今度は彼の方が真剣な表情で、深々と頭を下げる。


「えっ……そ、そんな。もったいないお言葉、恐縮です……!」


きゅっと背筋を伸ばして答えると、彼はくすっと笑った。


「リディアは不器用なところがあるけれど、悪い子じゃない。慣れないことも多いと思うけれど……無理はしないでね」


「……はい、ありがとうございます」


少しだけ、胸があたたかくなった。

ここでは皆が皆、冷たいわけじゃない。

こんなふうに、心のある人もいるのだ。


(……いい子ねぇ)


いつものクセで、思わず息子の嫁候補かしら、と脳裏をよぎる。


(いやいや、何言ってるのよ私……)


小さく笑って、気持ちを切り替えた。


ふと、視線を戻すと――


さっき中庭で会話していた二人の姿が、いつの間にか消えていた。


(あら? もう話が終わったのかしら)


少しだけ開いた窓から、風がそっとカーテンを揺らしている。

さっきまでの気配が、うそのように消えていた。


(……でも、シスター、様子がおかしかったわよね)


思い返せば、彼女は明らかに顔色を変え、怯えたように身を引いていた。

――あの視線、あの態度。


(二人はいったいどういう関係なのかしら? あまり良い関係ではなさそう。

シスター、大丈夫かしら……)


あの優しいシスターが気がかりで、真実子は軽くため息をついた。

そして、足を進める。


まだ仕事は残っている。式も、屋敷の片づけも、やることは山積みだ。


今は、余計なことを考える時間じゃない――そう思っていた。



この時は、まったく想像していなかったのだ。


まさか、本当に――

あんな事になるなんて。



* * *



朝の使用人通路に、控えめながらも緊張を含んだ足音が響く。

長女婿ヴィダルに仕える若いメイドが、奥の部屋から小走りで姿を現した。


「執事様……少々、気がかりなことがありまして」


彼女は小声ながら真剣な表情で執事に耳打ちした。


「ヴィダル様のお部屋に朝のお茶をお持ちしたのですが……何度呼びかけても、お返事がなくて。

扉も、内側から鍵がかかっているようです」


執事は眉をひそめ、すぐに廊下を奥へと向かった。

メイドの様子に大げささはない。だが、その静かな不安の色が、かえって胸をざわつかせる。


当主亡き今、姻戚とはいえ重要な立場にある人物だ。執事は扉の前に立ち、ノックをする。


「……ヴィダル様。お加減はいかがですか?」


返事はない。再びノック。


「……お入りしてよろしいですか?」


沈黙。


執事は扉に耳を寄せ、そっと肩を落とした。

まったく音はしなかった。


「失礼いたします」


そう言って、執事はドアノブに手をかけ、ゆっくりと回す。

だが、「カチリ」と途中で止まり、それ以上は動かない。


「……鍵がかかっているようです。ヴィダル様が内側からかけたみたいですね」


「もしかしてお倒れになったのでは? ……でもこちらから開ける鍵はヴィダル様しか持っていませんよね……?」


使用人たちは互いに顔を見合わせた。

執事が短く頷くと、すぐに二人がかりで扉に体当たりを始めた。


バンッと扉が破られたと同時に、数人の使用人が部屋になだれ込む。


「……ヴィ、ヴィダル様……」


中で横たわっていたのは、長女の夫――ヴィダル・レーン・ド・リーヴェル。


部屋の一角、窓際の応接セット。

向かい合うように置かれた二脚のソファのうち、一つに身を沈めるように、彼は崩れ落ちていた。

脚は投げ出され、首はだらりと背もたれにのけ反っている。胸は動かず、呼びかけにも、まったく反応がない。


脈も、息も、ない。


「し、死んで……ます」


青ざめた使用人の声が、静まり返った部屋に落ちた。


傍らのローテーブルには、ペンとインクと一枚の紙が置かれている。


『私が、リーヴェル子爵 ロドリク・ヴァレンティウスを殺しました。』


そう走り書きされた紙の隣には、蓋の開いた毒薬の瓶――セイスンカーリィ。

床には、倒れたグラスが転がり、底には数滴の液体が残っていた。


その口元から漂う、甘いアーモンドのような匂い。

――死因は、致死性の高い毒物“セイスンカーリィ”によるものと推定された。



* * *



静まり返った部屋。

遺体はすでに運び出され、転がっていたワイングラスなど証拠品は回収されていた。だが、まだ生々しい空気が残っている。


真実子は、掃除道具を片手に、部屋の入口に立った。


(これが……ヴィダル様が亡くなった部屋……)


どこかに事件の余韻が残っている気がして、自然と足音も静かになる。


と、その時――


「鍵は机の引き出しの中にありました」

聞き覚えのある声に、ぴくりと肩が動いた。


廊下から、あの“カイさん”と、彼の部下らしき男性の話し声が聞こえてくる。

真実子は、つい耳を傾けた。


「窓も全て鍵がかかっていました。遺書に書かれていた文字は被害者本人の筆跡と一致するそうです」


「……つまり、自殺と考えていいということか」


「はい。現場の状況、遺書の内容、毒の瓶、すべて整合しています」


(えっ……自殺?)


背後から会話を聞いた瞬間、真実子の胸に小さな棘が刺さった。

いや――棘なんて生易しいものじゃない。喉の奥に引っかかる何かが、じわじわと膨らんでいく。


(だって……)


子爵の毒殺。

礼拝堂で見かけた、あのシスターとヴィダルの不穏なやり取り。

そして――そのヴィダルが、密室の中で毒を飲んで死んだ。


出来すぎている。

まるで脚本でもあるかのように、出来すぎている。


遺書。毒の瓶。

死を受け入れるように、都合よく並べられた“証拠”たち。

そして、それを信じ込む周囲の人々――


(これ、どう見ても“セオリー通り”だわ)


真実子の中で、長年サスペンスを愛してきた者にだけ宿る“勘”がビリビリと騒ぎ出す。


(証拠品は押収されてる。でも……現場自体は、誰にも手をつけられていない)


そして幸いにも、今の自分は“掃除係”としてこの部屋に立っている。

誰にも怪しまれず、好きなだけ動ける立場――


真実子は、静かに息を吸い込んだ。


(このまま、見過ごすなんてできない)


――二時間サスペンスを愛し続けてきた者として。

――いま“マティルダ”として生きる私にできることがあるなら。


そう。

犯人は、絶対に――この密室に「手品」を仕込んだはずだ。


真実子の目が、静かに鋭くなる。

それはもう、ただの“メイド”のものではなかった。


「……失礼して、清掃に入りますね」


小さく呟いて一礼すると、真実子はそっと部屋の中へ足を踏み入れた。

ご覧いただきまして、誠にありがとうございました。


次回エピソード

* 無自覚なヒントおばさんと意外な縁 *


よろしくお願いいたします。


---

7/3 刑事登場のシーンをブラッシュアップしました。

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