2025年冬、小説家になろう掲載アニメが歴代最高の19作品放送されている件と、なろうアニメの強み・課題・問題点について
今期、2025年冬アニメは小説家になろうで連載されている、あるいは連載されていた作品が以下の19作品放送されています。
新規
・アラフォー男の異世界通販
・Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。
・Sランクモンスターの《ベヒーモス》だけど、猫と間違われてエルフ娘の騎士として暮らしてます
・妃教育から逃げたい私
・聖女なのに国を追い出されたので、崩壊寸前の隣国へ来ました
・日本へようこそエルフさん
・外れスキル《木の実マスター》
・不遇職【鑑定士】が実は最強だった
・没落予定の貴族だけど、暇だったから魔法を極めてみた
・マジック・メイカー ~異世界魔法の作り方~
続編
・ありふれた職業で世界最強 season3
・Unnamed Memory Act.2
・異修羅 第2期
・薬屋のひとりごと 第2期
・シャングリラ・フロンティア 2nd season
・0歳児スタートダッシュ物語 シーズン2
・ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかV
・Re:ゼロから始める異世界生活 3rd season
・わたしの幸せな結婚 第二期
2023年冬アニメもなろうアニメは18作品放送されて凄かったですがさらに塗り替え歴代最高の作品数になりました。半世紀以上のテレビアニメの歴史において今までどんな出版社やジャンルも成しえなかったすさまじいことに今まさに我々は立ち会っているなと。ですが同時に課題も見えたクールとも思っていて、今回エッセイを書かせて頂きました。
「なろうアニメの強み」
配信で人気だからこれだけ数が増えたというのはよく言われることなのでそれ以外で考えてみました。
1.圧倒的な情報量
元々ライトノベル原作は漫画原作に比べ情報量において有利です。中位の作品でも100巻以上出ているワンピース並みに重厚な設定を盛り込むことが可能です。
そしてなろうは文字数制限も刊行制限もないのでより圧倒的な情報量を盛り込めます。
1クール作品においてその情報量を活かすのが難しくもったいないですが近年は鬼滅効果か2クール以上の作品も増えてきたのは良いことだと。(本来は昔みたいに作画良くなくても数年かけて放送するのがなろうアニメに向いてると思っています)
2.分かりやすい設定
これは賛否あって、ナーロッパとか似たような世界観・設定とよくなろう批判で使われますがとんでもない誤解です。ゲームのFF13で「ファルシのルシがコクーンでパージ」というスラングが生まれたように、独自性の強い設定を入れてもユーザーが支持されるとは限りません。基本設定は分かりやすくしそれ以外の部分で独自性を入れればいいのです。原作側かアニメ制作側か、それを分かってない人が設定以外の要素も他作品と似たようなものにすることで、非難されるような作品が生まれると思っています。
3.シナリオ本来の面白さ
漫画やラノベと違い、小説家になろうには基本絵がありません。しかしランキング形式で人気は競われます。それにより絵に頼らない、シナリオ本来の面白さがある作品が生き残ると思っています。アニメの場合序盤は異世界の導入や仲間集めでどうしても似たようなスタートになりその本来の面白さを味わえるまで時間がかかりますが、料理の素材の味を味わう瞬間というか、その本来の面白さをアニメで見出せると格別で、私がなろうアニメを愛好する理由の1つです。
「課題と問題点」
1.低予算が多い
特に今期冬アニメに対し感じたことですが続編はともかく新規が圧倒的に低予算作品多いなと。あまり印象論で語るのも申し訳ないですが中小制作会社が3月の決算に間に合わせるため突貫作業で作ったというか。作画が悪いのは昔からあることで耐性できていますがBGMが雑だったりシナリオが練られてなかったり。BGMは使い捨てをやめて過去のアニメから流用するとか兼役増やして声優人数を減らし音響予算を脚本家に回すとか工夫の余地はあると思うんです。先日第七王子アニメ制作でゲームで使われるアンリアルエンジンを活用しているというインタビューを読みましたがAI技術など技術の進歩にも期待しています。
2.累計ランキング上位作品が軒並みアニメ化されてしまった
人気順にアニメ化しているため理論上はどんどん面白さが落ちてしまいます。
これについてはまだシリアスな作品のアニメ化が少ないですし、売り上げにこだわらず過去の作品からアニメに向いたものを発掘するのがいいと思います。あとは「ゾンビのありふれた~」のアニメ化が発表されてますがノクターンやムーンライトから面白いものを引っ張ってくるのも良いかもしれません。初期のなろうアニメ放送から10年以上たちましたしそろそろ続編を断念した過去作からリメイクで一から始めるのもありですね。
3.コミカライズ準拠のため原作の長さが活かせず、漫画原作の作品と差別化できない
近年なろう原作のコミカライズは売れても書籍が売れなくなったと言われています。実際に書籍の刊行が止まってもコミカライズは続いている作品が多いです。アニメがコミカライズを抜いてしまうと視聴者がどうせアニメで見たからとコミカライズが売れなくなってしまう。そこでコミカライズの範囲でアニメ化するわけですが、そうなると前述したなろうの強みである情報量が活かせずテンポ悪い展開になったり2期がなかなか作られなかったり。本来は長い原作の面白い部分を優秀な脚本家が凝縮することで名作アニメが生まれると思うのですが。
「蜘蛛ですが何か」「異世界迷宮でハーレム」2期決まってますが続報ない「モブせか」このあたりはアニメの配信人気かなり高かったですがアニメがコミカライズを抜く問題で続編来ない作品と思っています。
「無職転生」「盾の勇者」このあたりはコミカライズを抜いてアニメを出す苦渋の決断を下し頑張っているので応援していきたいです。
4.キャラが多すぎる
なろう原作は当初絵が付かないのが影響してか、キャラ数の多い作品が多いと感じます。これをそのままアニメにするとまとまりのないものになるし、作画コストも高くなります。これは脚本家の腕の見せ所で、大胆に減らしてこのキャラの役割はこのキャラに兼ねさせるといったことも必要だなと。キャラ愛強いラブコメでそれをやると炎上ですがそうでなければ許されるなと。無職転生のアニメでもさほどシナリオを左右しないキャラは出番減らしていました。
まとまりのない文章になりましたが、なろうアニメがこうしてたくさん放送されているのにそれに対する功罪含めた評論をあまり見ないので書いてみました。
(あっても批判一辺倒なものが多いというか。読むのも好きなのでnoteでもyoutubeでもエックスでも、何かあったら感想欄で教えて頂ければありがたいです)
今月なろうアニメで面白かった鑑定スキルの制作スタッフのトークショーに行ってきました。(今度歴史に残る悪女のスタッフのトークショーも行く予定です)ラブコメを作っていた小さな制作会社が慣れない2クールの戦記物に懸命に取り組んだそうで、こうした制作上の苦労話を聞くとアニメをただ同然で見させてもらっている状況はありがたいことですし、本来ならもっと噛みしめて見ないといけないと認識させられます。
面白い作品を出すアニメスタッフはほんと頑張っていますし、一見世間でつまらないとされる作品も全部の要素がだめなわけではなく中には面白い要素が含まれているはず。だってアニメって数十人以上で作るわけで、その中には優秀な人調子出ない人両方いるわけですから。
なろうアニメに感じていることはまだまだ多く、言いたいことが文筆のなさで思うように書けないのが心苦しいですが、なろうアニメに関わる方々への感謝でまずは締めたいと思います。
読んで頂き、ありがとうございました!
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普段は毎クールアニメの紹介・感想を書いています
https://ncode.syosetu.com/n0648jy/