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2話 産み出される命と擬似的な身体

スライムを倒し、その力を取り込んだことで自分に「水魔法」が宿った。それに気づいたのは嬉しい驚きだったが、それ以上に、この力がどれほどの可能性を秘めているのか、探りたいという好奇心が湧いてきた。


「水魔法を使えるようになったのはいいけど、これだけじゃ不十分だよな……。もっとできることがあるはずだ。」


私は意識を集中させ、自分のダンジョン内を隅々まで感じ取ろうとした。洞窟内に広がる水たまり、壁に生える苔、そして、吸い込まれるように取り込まれたスライムの魔力の痕跡――そのすべてが自分の「体」の一部であるように思えた。


しばらく試行錯誤を続けていると、不意にダンジョンの中心――自分のコアのすぐ近くに、濃い魔力が集まり始めた。


「……何だ、この感覚?」


その魔力が徐々に形を成していく。透明なゼリー状の物質がぽつぽつと浮かび上がり、やがて一匹のスライムになった。


「えっ、これ……俺が産み出したのか?」


スライムはまさしく先ほど倒したものと同じような青い身体をしている。ただし、目に見える魔力の強さは少し劣るようだった。


「すごい……スライムを再現できるのか。」


さらに意識を集中させて調べると、このスライムは自分が取り込んだ「スライムの力」を基に生み出されていることが分かった。ただし、生まれたスライムには独自の意思があり、完全に私の命令に従うわけではなさそうだ。


スライムは洞窟内をぷるぷると動き回り、苔や水たまりを舐めるように吸収している。特に危険な行動をとる様子はないが、これが自分の手足のように自由に動く存在ではないのは明らかだった。


「なるほど……俺の力を借りて生まれるけど、俺のものじゃないって感じか。」


それでも、自分のダンジョンに新たな命を産み出せることを知ったのは、大きな一歩だった。


さらに、洞窟の外を調査するためには、自分自身が動ける手段を持つ必要があることも痛感していた。スライムに期待するのは無理だ。


この石の体は多少浮遊するしそのまで早くないが動かせる。


かと言ってどう見ても自分の心臓部と思えるこの石の体を晒したまま外へ行くのは危険だ。動かせる身体を作るしかない。


「よし、次は自分の身体を作ってみるか。」


ダンジョン内の素材――岩や土を集めるように意識を集中させる。洞窟内の壁や床から一部を切り離し、それを組み合わせて人型の構造を作り上げていく。


「腕はこんな感じで……足はもう少しバランスをとらないと……。」


擬似的な身体を作る作業は試行錯誤の連続だったが、意外にも楽しいと感じた。自分の体をデザインするというのは、奇妙な感覚ながらも興奮を覚える作業だった。


数時間後、ようやくそれらしい形のものが出来上がった。


「できた……のか?」


人型の身体は岩や土でできた彫像のような質感をしており、動きはぎこちない。それでも、手足を少し動かしてみると、なんとか歩くことができた。


「おお、すげえ! 動ける!」


外の世界に出るための準備は整った。


「これで、洞窟の外を探索できるな。」


スライムを産み出し、擬似的な身体を作ったことで、私はこの世界での生き方の第一歩を踏み出した。


しかし、外の世界は甘くない。スライムや自分の擬似的な身体では、まだまだ生存を確保するには不十分だ。次の目標は、さらにこの能力を強化し、他の魔物を取り込みながら力を蓄えることだ。


「この世界で生き延びるために、もっと知る必要がある。もっと強くなる必要がある……。」


「ここまでお読みいただきありがとうございます!


主人公がダンジョンコアとして少しずつ力をつけていく様子を楽しんでいただければ幸いです。


皆さんの応援やコメントが、物語を続けるうえで大きな励みになっています。もしよろしければ、お気軽に感想を書いていただけると嬉しいです!

(また、誤字脱字など見つけた際にはご指摘いただけると助かります。)


それでは、次回もよろしくお願いいたします!」


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