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16話「討伐隊、そして新たなる脅威」

ギルド内は討伐隊の編成に向けて慌ただしさを増していた。掲示板の前には多くの冒険者が集まり、森の奥に潜むゴブリンの群れやスライムの群れに対する討伐計画について情報を交換している。


「ゴブリンがここまで厄介な存在になるとはな……」

「いや、問題はホブゴブリンに森の魔物全滅させるだけの力があるってところだろ? 火魔法を使うなんて異例だ」

「でも、その報酬額を見てみろ。成功すれば俺たちの名がギルド中に知れ渡るぞ」



冒険者たちの中には、討伐隊への参加を決意する者、報酬や危険性を天秤にかける者など、それぞれが異なる思惑を抱えていた。


一方、ギルド長の執務室では幹部たちが集まり、討伐隊の編成について最終確認を行っていた。


「前衛は斥候と武闘派で固める形にする。後衛には精鋭の魔法使いを数名配置。支援部隊には治療師を含め、どんな状況でも対応できるように準備を進めろ」

ギルド長の厳しい声が響く。


「斥候については候補がいくつか上がっていますが、現時点では不足気味です。森の奥深くまで進むとなれば、隠密行動が得意な者を追加で募集する必要があるでしょう」

幹部の一人が提案すると、ギルド長は頷いた。

「必要な人材は最優先で確保しろ。討伐隊の成功が地域の安全を左右することになる」


その時、執務室の扉がノックされ、一人の職員が静かに入室した。


「ギルド長、報告があります」

彼は書類を差し出しながら冷静に話を続けた。

「近くの山で、大型の飛行生物らしき姿が目撃されたとのことです。報告者によれば、赤みがかった鱗を持つ巨大な個体で、ドラゴンの可能性があるとのことですが、まだ詳細は不明です」


その言葉に幹部たちは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに冷静さを取り戻した。


「ドラゴン……可能性か。ファイアドレイクか、バズフレアドラゴン」

ギルド長が報告書を読みながら呟く。

「確認はどれほど進んでいる?」


「現時点では目撃情報のみです。ただし、目撃地点付近でそれらしき痕跡が確認されています。調査隊を派遣すれば、さらに詳しい情報が得られるかと」


ギルド長は報告書に目を通しながら、幹部たちを見回した。

「討伐隊の準備を進めている今、追加の調査隊を派遣する余力は限られている。だが、ドラゴンであるならば無視はできん。どうするべきか意見を聞かせてくれ」


幹部たちは顔を見合わせた後、一人が口を開く。

「森の討伐隊とは別に、調査隊を少人数で編成するのが妥当でしょう。ただし、調査対象がドラゴンである可能性を考えると、最悪の場合に備えた戦力も必要です」


「しかし、討伐隊を優先するべきではないでしょうか。ゴブリンが次に村や町を襲う可能性は高い。ドラゴンが現れたとしても、今すぐの脅威にはならないかもしれません」


「いや、どちらも軽視はできない」

別の幹部が反論する。

「ドラゴンがこちらに飛来する可能性もある。もし事実であれば、村どころか都市に壊滅的な被害を与えるだろう」


ギルド長は深く考え込んだ末、結論を出した。

「まずは少人数の調査隊を派遣し、ドラゴンの目撃情報を確認する。その結果次第で本格的な討伐計画を立てる。一方で、ゴブリン討伐隊の準備は最優先で進める。双方を同時進行で進めるほかあるまい」


幹部たちは頷き、それぞれの役割を分担して会議室を後にした。


ギルド内の酒場でも、ドラゴンの話題が飛び交い始めていた。


「おい聞いたか? ドラゴンが出たかもしれないって話だ」

「なんだって? ゴブリンの討伐だけでも大事なのに、今度はドラゴンかよ」

「討伐隊がどっちを優先するか次第だな。報酬はどっちも大きそうだが……俺ならゴブリンのほうがマシだ」


「いや、ドラゴンを倒せば一攫千金だぞ? 命を賭ける価値はあるんじゃないか」

「お前、ドラゴンの火炎の恐ろしさを知らねえのか? あんなもん、普通の冒険者じゃ相手にならねえよ」


こうしてギルド内ではゴブリン討伐隊の編成と、ドラゴン目撃情報の調査が同時に進められることとなった。冒険者たちの士気が高まる中、不安と期待が入り混じった空気が漂っていた。


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