表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/24

石としての目覚め

目を覚ました瞬間、私は状況を理解できなかった。


「……ここはどこだ?」


目の前に広がるのは湿った石の壁。天井からツタが垂れ下がり、ぽたぽたと水が滴り落ちている。まるで洞窟の中にいるようだが、何かがおかしい。


身体を動かそうとするが、腕も足も動かない。いや、それ以前に感覚すらない。


「おいおい、俺……どうなってんだ?」


混乱しながらも自分の状態を確認しようとする。しかし、目を閉じることも、周囲に触れることもできない。


しばらくして、足元に小さな水たまりがあることに気がついた。その水面を覗き込むと、そこに映っていたのは透明な結晶――丸く輝く宝石のような形をした石だった。


「え、石? ……俺が?」


信じられない。けれど、確かに自分の意識は透明な石の中に閉じ込められているようだった。


「これが……俺?」


呆然としながらも、どうにか状況を整理しようと考える。


「……俺、死んだのか?」


どうやら私は「死んだ」らしい。それも、この奇妙な石に転生する形で。


だが、なぜ石なのか。しかも、この洞窟は一体何なのか。


「とりあえず、できることを探るしかないか。」


私は意識を集中し、周囲を調べてみると、自分がこの洞窟全体を「感じる」ことができることに気がついた。石壁や床、さらには天井まで――すべてが自分の一部であるかのようだ。試しに意識を壁に集中させてみると、壁がわずかに動いた。


「動いた……ってことは、これ全部、俺の体なのか?」


洞窟そのものが「身体」として機能しているようだった。これは、ゲームやファンタジーで見たことのある「ダンジョンコア」そのものだ。


「もしかして、俺はダンジョンコアになったってことか?」


この奇妙な状況を受け入れるしかないと思い始めたころ、洞窟の外から何かの気配を感じた。


「……なんだ?」


意識を広げると、外の森から何かが近づいてくる。小さな存在だが、魔力を放っている。


やがて、それは洞窟の入口に姿を現した。


「スライム……か?」


青く透き通ったゼリー状の体を持つスライムだった。ゲームや物語ではよく見かける存在だが、目の前のスライムはどこか異質だった。体内に魔力の塊が揺らめいており、ただの雑魚とは思えない気配を放っている。


「うわっ、こっち来るのかよ!」


スライムは洞窟の中に入ってきた。身体をゆっくりと動かしながらも、その動きには明確な敵意が感じられる。


「やばい、どうする……?」


私は動けない。ただの石だ。だが、この洞窟そのものを操作できることを思い出し、意識を集中させた。洞窟の壁を動かし、スライムの進行を阻むように形を変える。


「よし……少しは動きを封じたか?」


だが、スライムは壁を飛び越えたり、液状化して隙間を通り抜けたりと、こちらの妨害を巧みに回避してくる。


「くそっ、こんな奴に負けるのか……!」


焦りながら洞窟のあちこちを操作してスライムを追い詰める。最終的に、洞窟の天井を落としてスライムを押しつぶすことに成功した。


スライムが動かなくなった瞬間、その体がダンジョン内に吸い込まれるような感覚がした。そして、自分の中に新たな力が流れ込むのを感じた。


「……なんだ、この感覚は?」


まるで水が流れ込むような心地よい感覚とともに、一つのスキルが自分に宿った。


「水魔法……?」


試しに意識を集中すると、洞窟内の水たまりが浮き上がり、自由に動かせるようになった。さらに、水を鋭い弾のように飛ばすこともできる。


「これ、もしかして……スライムから得た力か?」


取り込んだ魔物の能力を得る――どうやらこれが自分の持つ特殊な力らしい。


「なるほど……これなら生き延びる可能性もあるな。」


スライムとの戦いを通して、自分の力を少しだけ理解した私は、次の行動を考え始めた。


「このダンジョンを拠点にして、周りの様子を探るしかないか。」


外の世界には、きっともっと強い魔物がいるだろう。だが、同時に力を得るチャンスでもある。


「よし、やるしかないな。」


ダンジョンコアとしての役割を自覚し始めた私は、力を蓄えながらこの世界を生き延びる方法を模索することに決めた。


「ここまでお読みいただきありがとうございます!


主人公がダンジョンコアとして少しずつ力をつけていく様子を楽しんでいただければ幸いです。


皆さんの応援やコメントが、物語を続けるうえで大きな励みになっています。もしよろしければ、お気軽に感想を書いていただけると嬉しいです!

(また、誤字脱字など見つけた際にはご指摘いただけると助かります。)


それでは、次回もよろしくお願いいたします!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ