『速記者のおばあさんとどろぼう医者』
速記者のおばあさんが、目をわずらいました。速記者のおばあさんというのは、速記者の祖母に当たる人ではありません。おばあさん自身が速記者です。
目は速記者にとって命です。いえ、もちろん、耳も大事ですし、手も大事ですけど。ともかく、目が不自由なのは、速記の妨げになりますので、医者を呼んで、治療をしてもらうことにしました。
医者は、おばあさんを診察しに来るたび、目薬を塗って、しばらく目を閉じているように言いました。おばあさんは、全く疑いませんでしたが、この医者は、どろぼう医者でしたので、おばあさんが目をつぶっている間に、プレスマンを一本ずつ盗んでいきました。
おばあさんの目が見えるようになったとき、おばあさんのプレスマンは、一本も残っていませんでした。医者は、治療費を請求しましたが、おばあさんは、何も見えないと言って、支払いを断りました。
どろぼう医者は、警察官を呼んで、治療費を払わせるように言いましたが、おばあさんは、前は見えていたプレスマンが一本も見えなくなったと言って、すっかり事情のわかった警察官は、どろぼう医者を連れていきました。
教訓:速記者からプレスマンを盗むなんて。