第二話~スライム騒動~
「きゃああああああああ!」
初めは小さな悲鳴だった。悲鳴はどんどんと連鎖し、巨大な渦となって僕たちを飲み込んだ。そう。服を溶かすスライムが着々と服を溶かし始めたのだ。僕とエロスは、二人でサムズアップしながら女子生徒の裸姿を見ていた。
ハーピーの羽の生え際。妖精の背筋。親密な関係にならなければ見せることのない絶対領域を乙女たちがどんどん晒していく。そう。これはつまり、親密になったことと同義。僕はクラスの女子たちで、ハーレムを築き上げたのだ。こここそが僕の楽園なのだ!
「くくく。くははははは! 溶かせ! もっと溶かせ! この学園全体が裸の国となるまで溶かしつくすのだ!」
「やっぱり、あんたの指金だったのね。通りで熱心に説得してくると思った」
「へ?」
後ろを振り向くと、玲奈が鬼のような形相をして立っていた。その身長のせいか服はほとんど溶けていなかった。
「ふん!」
玲奈はスライムを持ち上げると、片手で握りつぶす。スライムの破片が飛び散り、その一部が玲奈の下乳に付着する。彼なりの仕返しのつもりなのだろうか、制服が溶け放漫な谷間が露出する。
「スライム君! スライム君が! や、やめろおおおおおおおおおおおおお!」
「やめるのは・・・あんたの悪行よ!」
玲奈は足をアッパーカットの要領で顎から真上に振り抜いた。
「う、うわああああああああ!」
ふわりとした浮遊感は、すぐに消え頭への鈍い痛みに変わる。ああ、星が星が見える。こんなに近くで美しく・・・。
「三男おおおおおおお!」
エロスが駆け寄ってくる。
「三男! だめだ! 死ぬな! 死んじゃダメだ! 一緒に生徒会と風紀委員を牛耳って楽園を築き上げると誓ったじゃないか!」
「エ・・・ロース。ダメ・・・だ。ここにいては君まで疑われる・・・。君はここで死んではいけない・・・」
「三男! おい三男! しっかりしろ!」
「ふうん。柿崎君。あんたも黒なのね」
「あ、いや。これには山より高く、君の谷間よりも深いわけが・・・」
「問答無用! っていうか、ちゃっかり私の胸見てんじゃないわよバカ!」
玲奈は振り上げた足をそのままエロスに振り下ろした。エロスの頭は、玲奈の足に従いそのまま僕の腹に倒れこむ。エロスの頭が僕の腹にめり込む。僕は、玲奈の純白のパンツを見て意識を手放した。