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『三月二十五日 社員証』
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昼頃、駅の近くを歩いていると、サラリーマンであろう男性が、首から社員証をかけたまま出歩いていた。
顔写真も名前も書いてあるそれをかけたまま歩き回るのは個人情報的に大丈夫なのだろうかと考えながら見ていると、写真部分がじわじわ変わっていることに気がついた。苦しむように捻くれていくその顔を見て、これなら誰か分かるまいと納得した。
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