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虚記  作者: 白鯨 現
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『二月十八日 小指』

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 髪が伸びてしまったので、久々に床屋に来た。ばっさりと切って刈り上げて貰ったのでとても快適だ。

 ふと、足元の元は私の髪だったが、もはやゴミとなった髪の山を見てみると、切られた髪の中に混じって白い指が一本紛れていた。

 これはアレの指だろう。ということは、私の視界が良好になったのは髪を切ったからだけではなく、私に覆いかぶさっていたアレが指一本置いてどこかへ行ったからだったのか。

 ありがたい話だが、小指を置いていくとは、また私の前に現れるということなのだろうなあ。 


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