表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
溺れる灰  作者: 水園ト去
溺れる灰
9/114

2-3

「ヴェトゥーラか? サウスタークからよくもはるばるやってきたな」

 アンナが挑発した。黒頭巾の奴らは微動だにしない。

「答える義務はない」

 黒頭巾のうち一人がいった。男の声だった。「持ち出したものを返してもらう」

「悪いことはできないな。お互い」とアンナ。「秘密なんだろ? こいつの存在は」

 アンナが帳簿を見せびらかす。

「渡すのか?」

 エリオットがいった。

「勝ち目がない。こいつらは強いんだよ」

 アンナとエリオットが何を喋っても五人の黒頭巾たちは黙っている。

「持っていけ」

 アンナが黒頭巾の足元に裏帳簿を放った。

 黒頭巾が拾う。

「あ、そういえばエドゥアールは死んだぞ」とアンナ。

「だからここにいる」

「お前を絶対に見つけるからな」

 アンナはいった。「必ずこの始末をつけさせる」

 黒頭巾の男は裏帳簿を拾い上げると、アンナを無視して、他のやつらに「燃やせ」と指示をした。

 松明を持っていた一人が動き出し、店に火を放った。

「二度とここには来ないことだな、アンナ・アリアス・ノラノ。今回は過去のお前に敬意を表して逃がしてやる」

「おい、ちょっと待て。どういうことだ」

 エリオットが突っかかる。

「お前は何も知らなくていい。首斬りのエリオット。そうだろ?」

 目が合った。黒頭巾から緑色の瞳がのぞく。

「なんでそれを――」とエリオット。

「お前たち二人はお似合いだ」

 黒頭巾たちは去った。

「クソ――」

 アンナは呟く。

 炎の気配に気づいた市民の姿が集まってきた。

「早く逃げよう」とエリオット。

「逃げるんじゃない。離れるだけだ」

 アンナの口調は強い。

「なんでもいい。行こう」

「ふざやけがって」とアンナ。

 燃える店を後にする。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ