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溺れる灰  作者: 水園ト去
退屈な祈り
72/114

3-2

 野営地のはるか上まで来た。雪が積もっていた。

「クソ。マジで寒い。手も足も感覚がない」

 山の上だ。あと少しで山頂。小さな壊れかけの祠がある。何を奉られているのか。こういう山では珍しくもない。誰が何のために作ったのかもわからない遺物。

「ここから真っ直ぐ下に砦がある」とアンナ。

「あんたは寒くないのか?」

 エリオットが言った。

「私の話、聞いてるか?」

「俺の質問に答えてくれよ。寒くないのか?」

「寒い。だが私は強い」

「話をどうぞ」

 自分と比べてはいけなかった。

「雪玉を作れ。それをここから落とす」

「何個?」

「巨大なものを三つ」

「あー。なるほど」

 雪をかき集めて、転がした。


   ■


「できたぞ」

 アンナのリクエストどおり、巨大な雪玉を作った。エリオットの身長よりも高い。この寒さでも身体を動かすと汗をかくのが不思議だった。

「見ればわかる。転がせ」

「三つとも?」

「一つでも命中すれば上出来だろう」

 アンナが雪玉を押した。転がっていく。

 音はなかった。静かなものだ。

「そういう計算ね」

 エリオットも残りの二つを押し出す。

 転がっていった。

「俺たちはどうする?」

 大きな、何かが崩れるような物音。続いて怒声が聞こえる。どうやら雪玉は命中したらしい。

「お前が雪玉を作って遊んでいる間に私もいいものを作った」

 アンナが石版を放ってきた。

「これどうした?」とエリオット。

「ぶっ壊した」

 小さな祠がなくなっていた。

「作ってないだろ」

「壊して作った。終わりは始まり。破壊は創造」

「これでどうするんだ?」

「ソリだ」

「あー。俺は歩いて下山するから」

「これは二人乗りだ」

 肩を掴まれた。そのまま石版の上に押し込まれるように座られた。

「行くぞ」

 アンナが後ろでエリオットが前。

 雪の上を滑り出した。

「クソが」

「ははは。楽しいな、エリオット」

「死ね、死ね、死ね」

 速度が上がっていく。


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