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溺れる灰  作者: 水園ト去
溺れる灰
46/114

7-3

 リブス通りにあるアマンダのパン屋へ。すでに日付が変わっていた。

「様子はどうだ」とアンナ。

「外から見た感じは普通だな」

 いつも通りだ。扉にはパン屋組合の飾りがある。

 近づく。

「アマンダ」

 扉を叩いて名前を呼んだ。

 返事はないが、扉が自然と開く。

「鍵が壊されているな」とアンナ。

「ふざけんなよ」

 エリオットは目を覆い隠しため息をつく。

「私が先に入ろうか?」

 アンナがいった。

「やけに優しいな」

「お前が先だ」

「悪い。行ってくれ」

「黒猫を覚えてるか?」

「あんたに懐いていた猫か?」

 アンナの肩に乗っていた姿を思い出す。

「あいつは死んだ。殺されていた」

「そうか――」

「覚悟しとけ」

 アンナが半開きの扉へ体を滑り込ませる。

「エリオット」と呼ぶ声。「よくないことが起きた」

「そうか」

 エリオットもそれに続いてゆっくりと室内へ。

「酷い」

 エリオットは呟いた。

 荒らされていた。

「アマンダ――」

 殺されていた。喉を切られて肌着が赤く染まっている。巨体が床で仰向けになっている。かまどは引っ繰り返されて、テーブルは壊れている。椅子は転がり、皿、チーズ、小麦、パンが散乱していた。壁や天井にすら血痕が残る。

「どうする?」とアンナ。

「いや、いい。ここは俺が行く」

 二階へあがった。カテリーナがいるはずの寝室へ。一階ほど荒らされていなかった。シーツが丸まって床に落ちているくらいだ。

「どうだ?」

 アンナが後ろから声をかける。

「いない」とエリオット。

「血は?」

「ない。今のところ」

「連れ去られたな」

「ふざけんなよ」

 自分のせいだ。

 エリオットは拳を握る。

「カレンも消えたな」

「二人一緒に連れ去られた」

「掃除でもするか?」

「どうしたらいい」

 エリオットはいった。「力になってくれ」

「相手はわかってる。助けに行くだけだ」

「だな」

「準備しろ」

 アンナが立ち去ろうとする。

「おい、待て」

 床に紙が落ちていた。エリオットが拾う。

「クソがよ」

 エリオットは紙を読んで握り締めた。


 フラウエン教会に来い


 それだけだった。

「なんだって?」とアンナ。

「フラウエン教会だ」

「楽園派の総本山だな」

「いよいよってやつだろ」

 アマンダの家を出た。

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