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親友は悪役令嬢に、私は世界最強の魔王として転生した!!~元女子中学生の最強魔王による、どうしてこうなった!!な無双生活~  作者: 脱兎茶々丸
もしも、女子中学生が魔王に転生したり、悪役令嬢に転生したら?
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悪・暴走トラックに轢かれて異世界転生したら、悪役令嬢になっていました。


異世界転生......それは、思春期の少女たちの永遠の憧れでしょう。


大抵は、事故にあって転生したら、イケメンが私を溺愛して離してくれない!!それに、彼のライバルまで私に夢中だし......だとか、転生して、牧場主をやります!!もふもふ可愛い動物たちと、優しい仲間たちと一緒で毎日が幸せ!!という物ですよね。


逆も然り、ド平民から貴族に玉の輿、宮中で官女として過ごして、有能さを見せつけのし上がる!!と言う物もあるでしょう。でも、私が今絶賛体験中の、コレはいかがな物でしょうか。


心の中で独り言をいいながらゆっくりと目を開けてみる、そこはロココ調の豪奢な椅子とダイニングテーブル、それと私の新しい家族である侯爵家の皆様が一堂に会している。


「お父様、お母様、私は......」


「どうかしたのかい?マリアンナ。」


そう、マリアンナ・フォン・セレナーデ、それが私の新しい名前だ。


「お父様、お母様、私、お屋敷を管理してくれている皆様のお手伝いをしたいのです!!」


「マッ、マリアンナ!!どうしてしまったの!?」


「そうだぞ、マリアンナ、お前は女神に祝福された、女神の愛し娘なのだよ?君の手が、水仕事でもして荒れてしまったらどうする?君の手が、草を刈って草で手を切ってしまったらどうする気なんだい!?」


「メ、メイド長ー!?大丈夫でございますか!?」


「どうしたシェリー、どうした?騒がしいぞ。」


「も、申し訳ございません、メイド長であるミーシャさまが、気絶されまして......」


「全く、気を付けなさい。」


「マリアンナ。丁度あの王宮お抱えのドレスの仕立て職人様が王都に来ていらっしゃるのだそうよ、母さまと一緒に採寸してもらいましょう?ね?」


「そうだ、そうだよマリアンナ。君は着飾って、笑っていればいいんだ。大切なことは皆がやってくれる。」


ダメ。それをやってしまったら御終いなのよ、私の人生。


「さぁ、マリアンナ。行きましょう?」


「そうだぞ、私はメイドたちを叱っておくから、ビックリしてしまっただろう?いきなりミーシャが倒れてしまったりして。」


「お父様、お母様、私は......」


良く通るソプラノの声。


「皆様の、お手伝いをしとうございます!!」


父と母の説得を聞き流しながら、私は思考を三時間前に飛ばす。ああ、一体どうしてこうなってしまったのでしょうか。



三時間前......


「お父さん、お母さん、ごめんなさい。この親不孝な娘を許して!!」


「ドラマティックな演出有難う、それが人生最後の言葉?」


「いや、心の中で叫んでいただけなんですが......というよりもここは......」


クリーム色をした、奇妙な空間だ。壁がぷにょぷにょしている。


「ここは神の結界、お前人間俺は神、OK?」


「はい、では、私はどうしてここに?」


「今さっき、親友もろとも巻き込まれただろ?トラックの暴走に。」


「はい、あ、あの子は......」


「大丈夫だ。お前をちょっち庇ったみたいで、お前より傷が深かったんだ。もうちょっとしたら起きてくる。」


「そうですか......」


安心した、彼女の事が気がかりだった。きっと、天国でも同じように親友としてやっていけるだろう。


「あの事故、俺の手違いだったんだよ。だからさ、お詫びにお前とお友達に救済措置を取ろうと思ってな。」


「はい、ではそれはどのような物でしょうか?」


「う~ん、もうちょっとノリが良かったら絡みやすいんだけどな、ま、発表するぞ。」


「異世界転生だ!!」


「はい、そうですか。」


{あら~ん、もっとはしゃぐかと思ってたのに。」


私ではなく、あの子に言ってくれたらよかったのだ。彼女であれば、さぞかし喜んだことだろう。


「じゃあ、早速お前を転生させてやろう。」


「待ってください。」


「はい、何でございましょうか?」


「あの子と同じ世界に転生できるのでしょうか?」


「ああ、同じ世界に行ってもらおうかと......」


「ならいいです。どうぞ。」


余りの淡白さに、神様もちょっと戸惑っているようだ。


「あ、うん、そうだね。」


人間って、こんなに淡白なやつもいるのね。初めてこういう人種に出会った神様は若干驚いていたが、すぐに気を取り直して私に話しかける。


「じゃ、目を閉じて~、1,2,3で転生だ!!」


「はい、よろしくお願いします。」


きっと、あちらで出会ったら、どちらも変わってしまっているのだろう。でも、きっと出会うことが出来る、親友だから。


「あ″-、調子狂うな......まぁいい、行くぞ、サポートは出来る限りするし、安心してくれて構わないからな。」


「はい、ありがとうございます。」


「行くぞ、1,2,3!!!」


ぽわぽわぽわ~ん、キラキラキラ~ン。


気が付くと、ロココ調の家具一式でまとめられた、豪奢で居て可憐な、所謂いわゆるお姫様が住むような部屋に居た。


「シーツも掛布団もふかふかね。気持ちいい。」


沢山置いてあるバラの刺繍が施された枕に顔を埋め、しばらく転生した余韻を噛みしめ、部屋を見回す。


私が寝ている天蓋付きのベッド、かわいらしい白色の兎などの人形、高価そうなミラーが付いた化粧台、装飾が付いた姿見。他にも色々とある。


「取り敢えず、姿見で今の姿を見てみましょうかね。」


コレは大切な事、まずは自分の姿を把握して、どのような行動をとるべきかをしっかり頭に叩き込む。


姿見に移った私は、金髪碧眼、青色のリボンを髪につけ、青色の豪奢なドレスを着こなしている。


「この部屋の豪華さと言い、恐らく私は貴族ね。」


装飾品についている、風を纏った馬の紋章がどうやら私の家の紋章らしい、ご丁寧に櫛にまで紋章が彫られている。


「あの子は......」


想像してみる。


『買った買ったー!!安いよ安いよ~。そこのお姉さん!!美人だね、これ、まけてあげるから買ってかない?いや~、美人ばかりで私幸せ!!美人美人美人、一つ飛ばして美人。あ、こりゃ失敬!!お詫びにコレ持ってってー!!』


城下町で、商人でもやってそう。私もそっちが良かったかも。


「お、お嬢様、こ、紅茶をお持ちいたしました。」


震えながら、小さな女の子が紅茶を持ってくる。


「アッ、」


絨毯に足を取られ、こけかけたところに割って入り、紅茶を被りながら少女を抱きとめる。


「大丈夫?火傷は......してないみたいね。」


泣きそうな顔をしていたので安心させようと微笑みかけると、少女はさらに泣きそうな顔になってしまう。


「あ、あ、申し訳ございません!!だ、だから、ぶつのだけは、ぶつのだけは......!!」


「何を言っているの?ぶつ訳ないじゃない。そんなに小さいのによく頑張ったわね。ポケットにあった飴をあげるわ。貴方のお名前は?」


「あ、あ、私の名前は......シェリー、で、ございます。」


「そう、いいお名前ね。」


でも、シェリーってお酒の名前よね?こちらでは違うのかしら。


「シェリーちゃん、後でまた来てくださらない?おやつを用意して待っているから。」


「は、はい!!」


シェリーちゃんのお口に飴を入れ、送り出した後に服を探しにクローゼットに入る。


「このクローゼット、私の家の玄関より広いわね......」


大量のドレスが掛けられているクローゼットの中を進み、丁度よさげな水色のドレスを見つけ、体を拭いた後にドレスを着た後、部屋の散策を始める。


「あら、これは日記......悪いけど、今の私の為に読まさせていただくわ。」


どうやら、この世界での私の名前は、マリアンナ・フォン・セレナーデと言う名前らしい。


「酷いわね......今さっきの子が怯えるのも分かるわ。」


日記を読み進めるうちに、元のマリアンナの性格が分かり始めた。少しでも失敗したものには手をあげ、自身に紅茶をかけるなど言語道断、毒殺未遂までされるほどに疎まれ、嫌われていたらしい、それを女神の愛し娘であるが故に周りに甘やかされ過ぎた彼女からしてみれば、何故私を恨むの?としか思っていなかった。


「......つまり、私は好感度最悪の状態から始める訳ね。第二の人生。」


頑張らなければ、きっと待ち受けているのは......


「毒殺、事故死に見せかけた殺害......ああ、まだまだある!!」


自身の破滅、それしか先の未来にしか見えない。


「あ、あの、マリアンナ様......」


「シェリーちゃん、そこに座って。」


「は、はい!!」


チョコンと座ったシェリーちゃんに話を聞くことにした。


「まず、この国の名前は何かしら?」


「ふぇっ、ど、どうしてそんな事を......あっ、申し訳ございません!!」


「いえ、貴方の知能を試そうと思っただけよ。それに、私の勉強の復習にもなるから。」


「は、はい、この国は、光の国、ラ・リュミエール聖王国です。」


光、と言う意味のリュミエールを使った国、よくありそうね。


「他にはどのような国があって?」


「あ、後は魔物たちが住む、恐ろしい魔の国......があります。」


「それに名前はないのね。」


「は、はい!!こちら側では、魔の国としか......」


「そうね、では、私の家はどれほどの階級なの?」


「は、はい!!セレナーデ侯爵家は、我が国最高の貴族でございます!!そして、マリアンナ様はそのご令嬢、婚約したがる殿方もたくさんいらっしゃるとか......!」


「そう、分かったわ。そしてもう一つ聞かせて。」


「は、はい!!」


「私の評判を聞かせて、皆が言っていることをそのままに、言ってちょうだい。大丈夫、ぶったりなんかしないわ。」


「は、はい。」


震えながらシェリーちゃんはか細い声で言い始める。


「傍若無人、人でなし、冷血姫、鉄仮面、人の心を持っていない、好き放題しまくり、良識が無い、相手が子供であろうが、粗相があれば叩く。」


「そう、つまり私は......」


前に、あの子が言っていた。


『悪役令嬢って大変そうだよね~。一から好感度をアップしなきゃダメなんだからさ~。さらに毒殺されかけの破滅フラグが立ってるような令嬢なんて特に高感度のアップ難しいよね~。』


私は、破滅フラグ乱立タイプの悪役令嬢に転生してしまったらしい。


「ねぇ、シェリーちゃん、私は変われると思う?」


「は、はい!!癇癪をどうにかすれば......あっ!!」


「癇癪......」


今の私は癇癪持ちではない。行けるかもしれない。


「シェリーちゃん、今日の夕餉はお父様とお母様はいらっしゃるの?」


「は、はい!!お二人共いらっしゃりますが......」


「分かったわ、シェリーちゃん、私はこれから好感度アップ大作戦をしようと思うの。」


「好感度アップ大作戦?」


「みんなと仲良くなるための作戦よ。私は変わるわ。」


変わらなければ死んでしまう!!間違いなく国外追放、もしくは処刑......

皆に愛されるような令嬢になり、あの子を見つけ出して色んな事を話したい。


「が、頑張ってくださいマリアンナ様!!」


「ええ、頑張るわ、シェリーちゃん。」


そして、お父様とお母様の前に出て、先程の一言を言ったのだ。


「私は、人の役に立ちたいのです。ですから、この屋敷で練習をしたいのです。」


「マリアンナ。貴方は女神の愛し娘なのよ?そんな事をしなくても......」


「いえ、私はやりたいのです!!女神の愛し娘だからと言って、ツンとお高くとまってばかりは嫌なのです!!」


「でもね、マリアンナ。貴族はそれをするのが......」


「違います。」


ゆっくりと息を吸って、吐き出して、覚悟を決める。

破滅フラグ回避......その為にはまず......


「私は、人の気持ちを考えられる貴族になりたいのです!!」


この人たちを説得するしか、道はないようでございますわね。

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