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親友は悪役令嬢に、私は世界最強の魔王として転生した!!~元女子中学生の最強魔王による、どうしてこうなった!!な無双生活~  作者: 脱兎茶々丸
もしも、女子中学生が魔王に転生したり、悪役令嬢に転生したら?
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魔・他の国の話や、ご近所の話の差とは一体何なんだろう


「あの話を聞かない感じは流石ワイバーンの家族って感じだった。」


「俺も周りから見たらああなんだな......気を付けないと。」


きちんとフードを被りなおした私と、口にお菓子を咥えているワイバーンは、ワイワイ騒がしい商店が並ぶ大通りを歩きながら会話をする。


「魔王様の政策のおかげか他種族の連中も増えてるな。」


「そうなんだ。じゃあ今までスライムだとかは何処で買い物してたんだ?」


「自分たちの集落とかを作って自給自足、他種族の連中は用がある時しか来なかったのが、魔王様の政策のおかげで自由に来ることが出来るようになって、経済も発展していっているんだそうだ。」


「やっぱり、人数は多いほうが経済も回るんだろうな~。」


「まぁ、母ちゃんみたいに魔獣倒してそれを売っぱらって金稼いでいる猛者もいるんだよな......」


「なぁなぁワイバーン、一体その魔獣と魔物の違いって何なんだ?」


「え~と、魔獣は知能が無い、まぁ、食物を荒らしたり、魔物を食い殺したりするから討伐命令が下る事もある。魔物は別、知能があるから話が出来る。」


「ふ~ん、まぁ、こっちの人間とあっちの人間は肌色が違う。こっちの人は魔物と共生しているっていう訳だな。」


「ま、そういう訳だ。でも、あっちではこっちの人間も魔物に区別されてるらしい。」


「他の国ではどういう生活なんだ?やっぱりどこもココみたいな感じなの?」


「どこの国も違う。って父ちゃんが言ってたな。父ちゃん曰くこの国は何処の国よりも安全な国って褒めてたぞ~。」


「あ、そっか、ワイバーンのお父さんは飛竜、空を飛んで偵察しても気づかれないもんね。」


「そ、つまり父ちゃんは空飛ぶ偵察機みたいなもんさ。」


「今頃お父さん空で泣いてるぞ。」


「魔王様~、それを言うなら天国だろ~。」


「それだとお父さん死んでるぞ。」


そりゃそうか!!とけらけら笑うワイバーンと共に足を進める。服が売られていたり、謎の肉が吊るされていたり、化粧品などが並んでいる市場をすたすた歩いていく。


「でも、色んなもんが売られてるんだな~。」


「そーそー、特にあそこの八百屋なんかよくおまけしてくれるから主婦に大人気。」


「へ~、よく知ってるな。」


「そこの魚屋のおっちゃんは良く不倫して夫婦喧嘩をよくしてる。ここら辺では午後八時ごろになるとあそこの魚屋から怒号が聞こえてくるからそれを風流だって言っている人もいるぐらいの頻度で喧嘩してる。」


「町内名物になる夫婦喧嘩って一体どれくらいのレベル......」


「ついでにこの前劇場で演じられたのはあそこの夫婦喧嘩を題材にした劇だった。」


「夫婦喧嘩好きだね、犬も食わないぐらいに不味いらしいのに。」


「で、あそこの肉屋のおっちゃんは娘に臭いって言われて意気消沈している。この前は先にお風呂入らなないで!!お父さんの服と一緒に私の服を洗濯しないで!!って言われてショックで2日寝込んだらしいぞ。」


「思春期の女の子あるあるだね。反抗期の次は反省期らしい。」


「まぁ、城下町ってだけあって活気は中々ある。」


「で、あれが掲示板。」


「へ~、掲示板か~、何が書いてあるんだろ。」


『キメラ討伐者求む!!特にフライパンを使う美女大歓迎!!』


『メドゥーサ討伐依頼、特にフライパン使いの方には多額の報酬が!!』


残る掲示板にも同じような事がつらつらと書き続けられていた。


「ワイバーン、これってどう考えても......」


「俺の母ちゃんへの依頼だな。全部。」


「皆、直接頼みに行かないのか?」


「昔、直接頼みに来た人が最悪のタイミングで来て機嫌の悪かった母ちゃんにぶちのめされていたのが良く知られてるんだよ。」


「皆、命が惜しいんだね。」


「まぁ、フライパンだけで特一級危険魔獣と渡り合うような女と俺も戦いたくねぇもん。」


「そういやだけどさワイバーン、ウチの他にも国はあるわけなんだろ。何がウチの国と違ったりするんだ?」


「治安の良さ、政治の重点、種族間の差別、国の歴史や建築方法。だとかが違うってマモンの兄ちゃんが言ってた。」


「ふ~ん、他にはあるの?」


「え~と、確か国によって色が違う魔物がいるんだとか。」


「へー、例えばどういう魔物に多いんだ?」


「力の弱い魔物......ゴブリン、スライム辺りが色が違う事が多いなぁ。」


「うちのトコの場合、ゴブリンが緑、スライムが水色。目に優しい色ばっかだな。」


「そういえば、ゴブリンが最近洞窟で鉄を掘り当てたらしいぞ~。」


「へー、それを商売に使えば、ゴブリンも凄く豊かになるな。」


「はー、警察も作って、学校も作って、国境も警備して、内政にも気を配って......明日からも頑張らなくちゃなぁ。」


「だな~。ん?」


「どうした、ワイバーン?」


「あのゴブリン......」


ワイバーンが指さしたのは何の変哲もないゴブリン。仲間たちとひと固まりになって買い物をしている。


「ゴブリンがどうしたんだよワイバーン。」


「色が違う。ほら、だって魔王様、アイツの首を見てくれ。」


ゴブリンの首のあたりを見ると、確かに緑色の肌の中、少しだけ不自然に赤い所がある。


「虫に刺されただけじゃないのか?」


「いや、恐らくあれは、他国のゴブリンだ。あの様子じゃ、話を聞く必要があるな......」


ワイバーンが静かにゴブリンたちに近づいていく。


「よぉ、ちょっとすまねぇ。」


「んだ?ああ、ワイバーン様でねぇか、どうしたんだべ。」


「いや、そこのゴブリンに話を聞きたくってな。」


「んだ、おい、そこのわけぇの、ちょっと話したいことがあるんだとよ、はよこい。」


そして、首の裏一部分だけ赤いゴブリンがワイバーンに近づく。ワイバーンは、そのゴブリンに素早く耳打ちし、別のゴブリンと少しだけ話した後、こちらへとゴブリンと共に帰ってきた


「ちょっと話を聞きたいんだ。大人しくついてきてくれ。」


そして、近場にあったカフェらしき店へと入る。


「君を傷つけようって訳じゃないんだ。ただちょっと話を聞きたくてね。」


「......んだ、分かったべ、オラの名前はリピン。よろしくだべ。」


素直に頷いたリピンに、問いをぶつける。


「うん、わかった。じゃあリピン。君はどうしてこの国に来たんだい?この国のゴブリンじゃないみたいだけど。」


「んだ、オラは傲慢の国からやってきたべ。」


「傲慢の国......確か、隣の国だっけ?」


「そうだべ、オラ、観察しに来たべ。」


「観察しに来た?」


「そうだべ、傲慢の国は酷いトコロだべ。オラたち下級の魔族を見下してこき使って、上級魔族は何もせずふんぞり返ってるだけだべ。」


「うわ、そりゃ酷いな......」


少し憤慨しながらリピンが言う。いつの時代だよ、時代錯誤にもほどがある。


「隣の傲慢は、この国よりも種族差別が激しく、特に下級魔族なんかは酷い扱いを受けているんだそうだ。」


「なるほど、でも、どうしてここに来ようと思ったんだい?」


「噂で聞いたべ、この国の王様は種族差別しない王様らしい。って聞いたから、皆の代表としてオラがこの町を見に来たんだべ。」


頷きながらリピンが答える。


「それで、この国はどうだった?」


「城下町の大通りをあんな風にオラたちゴブリンや、スライムが普通に歩いてるんだべ。オラ驚きすぎて気絶しかけたべ。オラたち、景観が薄汚れるって言われて、城下町の大通りを歩いちゃいけないんだべ。」


「でもさ、この国に来て君はどうするつもりだったんだい?」


「んだ、実は、オラはこの国のゴブリンの長である、ゴルって言う人に会いに来たんだべ。」


「そのゴルってゴブリンに会って何をする気なんだい?」


「んだ、オラたちもこっちの国に住まわせてくんろ。って頼もうと思ってるべ。今さっき会う約束を取り付けたべ。」


「という事は、OKされたらそのままこっちにお引越し?」


「それは無理だべ、取り敢えず、いったん国に帰って皆にこの事を報告するべ。それに、オラたちが勝手に居なくなったなんて事になったら、オラたち以外の下級魔族にも迷惑がかかるべ。」


「そうか、まぁ、うちはいつでも歓迎だよ。」


「初めてそんな事言ってもらえたべ、嬉しいべ。有難うございましたべ。」


「あ、ちょっと待って、一つ頼みたい事が......」


「ん、なんだべ?」


取り敢えず、「あるもの」を手渡し、歩き去っていくリピンを見送る。


「魔王様、アレは一体何なんだ?細長いペンみたいなモノだったけど......」


「アレは魔女ギルドが作った盗撮兼盗聴機だ。」


「盗撮機ぃ!?そんなもの持たせていいんですか!?」


「まぁ、大丈夫だろ、あの話、本当かどうか気になるだろ?」


「いや、そりゃ俺も気になったけど......」


「下級魔族に対する差別、それが真実ならば、この国に彼らがドッと押し寄せてくる可能性があるからね。一応保険を掛けておきたかったから。」


「しっかし、いつの間にあんな恐ろしいモノ開発してたんだあのアマ......」


ワイバーンが顔を青くしながら両手で自分を抱えて震えている。


「ひえ~、あの女、敵にまわしちまったら間違いなく呪い殺されるな、おっそろし~。」


「ま、取り敢えず日も暮れてきたし、城に帰るか~。」


「今回の事、晩飯の時にマモンの兄ちゃんに説明しなきゃダメか~。あ~、めんどくせー。」


建物の形に影が傾き、順調に日が暮れていく中、城へと私とワイバーンは歩を進めたのであった。

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