第8話 過去への旅の準備 時空移動ワープ航法可能な試作船の完成
僕は、どうやって理想的な社会を作り国民の支持を得る、のかについて語り始める。
僕「まず、無税、ロボット官僚制、試作ロボットの1台目無償貸与、国民1人当り移動手段兼自宅の反重力船付与、試作ロボットによる健康管理、インターネット活用による直接民主主義、米国憲法下の法治国家、人工食料料理自動装置付与、今の所すぐに思い至るのはそんな所かな。」
アッシュ「そいつはすごい。普通そんなのおとぎ話になるけど兄貴が言うならきっとやりとげるよ。でもどうやって?」
僕「まず優秀なAI搭載のロボットを作る。これがないと世界征服もできないし、ロボット官僚制など夢だし、できなきゃ国民の支持も得られない。その完成後、試作ロボットには国民1人ごとに反重力船、人工食料自動装置を作ってもらい、誰でも生きていけるようにする。また衛生面では試作ロボットが人間の健康診断をしてナノテクノロジーで体の中の悪いものを取り除き、損傷すれば同一の部位の健康細胞をその場で増殖して修復させる。このレベルが最低限の健康的で文化的生活と言うわけだ。まあそんなところだ。」
エレン「そんなに何もかも与えては皆働かなくなっちゃわない?」
僕「もう一つ、思考サポートロボット、あと人間の脳に直結する知識リンカーを考えている。」
アッシュ「何それ?」
僕「思考サポートロボットは、その人に個性にあった仕事や趣味を探ったり、やるべきことに対する課題やヒントをだして興味を誘ったり、考え方の選択肢を提示したり、示唆をする。知識リンカーは、最大の知識コンピューターに接続して、正索引と逆索引、即欲しい情報を得られるようにする。」
エレン「ふ~む。それならいいかもね。」アッシュ「OK。でも思考サポートと言いながら、そいつに自由を奪われないの?人間がそいつの意のままに操られたりしないの?」
僕「そういうプログラムは組み込まない。」
エレン「そうね、そんなプログラム組み込むべきではないと思う。自由を失った人間なんて面白くも何ともない。」アッシュ「絶対だよ。それ守ってね。」
僕「大丈夫、自由を奪うとか意思を押し付ける、そういうことは僕自身物凄く嫌悪している。」
エレン「うんわかった、信じる。さすが私のダーリン。」アッシュ「さすが兄貴だ!!!」
僕らは、世界征服の為の準備に入った。
まず、反重力船で、ワープと時間旅行のテストをする。成功だ。ワープで隣のケンタウルス座α星系に行く。
距離は4.2光年だ。ケンタウルス座α星系は三重連星である。ケンタウルス座α星A、ケンタウルス座α星B※2、そして暗く小さな赤色矮星、プロキシマ・ケンタウリから成る。α星Aは質量が太陽の1.1倍、明るさは太陽の1.519倍である。スペクトル型は太陽と同じG2V型。第1伴星のα星Bはそれよりも小さく、質量は太陽の0.907倍、明るさは太陽の半分しかない。
※2:ケンタウルス座α星Aは、三重連星の主星となる恒星(自ら輝く星)、Bは伴星
ケンタウルス座α星A、ケンタウルス座α星Bの惑星は、残念ながら太陽に近すぎて灼熱地獄、見るべき資源も特になかった。が、プロキシマ・ケンタウリbはすばらしかった。赤色矮星プロキシマ・ケンタウリのハビタブルゾーン(生命居住可能域)に存在し、地球の1.8倍の岩石惑星であり、自転し、強烈な地磁気からの磁気シールドによってX線を遮断している。何より72%が海、酸素を85%含有し、巨大恐竜が跋扈する、森林と草原からなる豊かな地であった。しかし知性体は存在していなかった。
次いで時間旅行に成功した。核戦争の3時間前、1日前、10日前、1年前と時間を遡ることに成功したのだ。3時間前に戻り、まず互いの父母、祖父母を助けだした。だが試作船の居住スペースは狭く、18m^3しかない。トイレは1つのみだ。風呂すらない。そこでしかたなく、核戦争3年前の世界に時間を遡り、金塊の一部を売って、オーストラリアに家を2軒買って、そこに暮らすことにする。
そこで、試作ロボット『プー』の試作を行うことにした。原子分解して、別の原子に再構築するロボットだ。言うは優しいが実現するのは大変だ。