序章:暗闇の中で
「もし、神様が人間を平等に作ったのならば魔法なんて存在しなかったでしょ。」
そう、あれはこの間の歴史の授業中に出てきた言葉だった。
「この記事を書いた人間だってそれをわかっててなお平等を訴えたのさ。」
結果はどうなったかって?それは先生がちゃんと教えていたはずだ。
「魔法が根幹にない国は早々にそれを追うように自由憲法を作ったって、でも・・・」
ああ、この国は違うんだ。王様と魔法協会は一心同体だから、弾圧も強かった。そして、町の市民たちも魔法に頼る生活を望んだんだ。どれだけ虐げられようとも、魔法のない生活は考えられないから。
「魔法ってなんだろうね。でも、魔法がなかったら今頃真っ暗だよね。」
魔法のない国はこれまでぼくたちの国より劣っていて、遅れていて、みんな僕たちの国を憧れて集まってきていたんだ。
「誰でも使える光ね・・・」
そう、ついこの間、ついに火の系統の魔法を使わずに光を人間が手に入れることができたという話が隣の王国から流れてきたのだった。
「そんなものあるわけがない。どうせ、火を起こして『これが光だ』とでも言ってたに違いない。」
誰も信じるはずがなかった。魔法のない世界は暗く、薄汚れて、野蛮だとみんな言っていた。
「俺はあると思うぜ、その魔法じゃない光ってのがさ。」
ぼくもあると思う。いや、あってほしい。あるべきなんだ。魔法じゃない光というものが。
もし、人が平等だというならぼくはなぜ、ここにいるのだろうか・・・
この、ガルウェイ魔法学校に・・・