王様ゲームで何を命令する?
ボクが嫌だなって、学校生活で日常的に思うことで例えば……トイレとか、男子同士の着替えととかってのがあって、別にボクは気にしないけど、回りが意識しちゃうんだよねえ。
出先で男子トイレ使って、ぎょっとされたどころか、空気固まっちゃってさ、凄いジロジロみられるのなんのって、アレはマジきつかたっていう。
「別にテメェが女子トイレ使っても、知らねえ奴らから見てどうやって男だって気が付くんだ? 変なやつ……」
余計なこと言わない今日子だけど、時々気になる事いうなあ、一言多い気が……でもこれは仕方がないのかもね、そーいうの知りたくておんなのこの格好しているんだしって。
だからもっぱら最近、トイレは男女兼用とか申し訳ないって思いながらも堂々障害者トイレとかも使わせてもらってます、座ってね。うーん、ボクって強欲だよね、でも自由にしたいしさ。
でもボクがどんなに頑張っても、相手は人間だし、上手く行かないことだってあるしさ、たははは。
江戸蔵高校のダッサいところの一つ、遠足は葛西臨海水族園に決まっていること。
「すぐとなりにディズニーあるでしょ」
「小学生の遠足じゃないのに……」
「磯臭いし、海近いから」
まあ大体ボクも同意、だけど、
「人が多いトコ苦手なんだよ~、オレって目立つじゃん?」
今日子はセルビアクォーターで、日本人離れした容姿と身長の彼女はそういう。
でもそういうのとは違うこという男子がいるんだよね、
「俺はお前とは無理だからな、くっついてくんなよ」
遠足の班決めで、一緒になった男の子佐藤君です、まあゲイだって思ってるだろうし、そー思われても仕方ないだろーし、けど……
ひっとこと多いいつーんだ! だーれがアンタなんかと! こっちこそ無理! 自意識過剰の中二病! そんな感じで表情こそニコニコしてたけど、イライラ来てた。好きなことして何が悪いわけ? 佐藤君だって制服の下にアニメのキャラクタとか見えちゃってるし、一緒でしょ? ジャラジャラ変なチェーン手首に巻いちゃって、コスプレみたいだよ? はっきり言ってキモイけどね。
この学校には副担任制度っていうの無くて、こういう行事の時だけ臨時で副担任が選ばれるんだけど、よりによって誰だと思う?
ボクの事未成年だって知っているくせに告ってきた田畑純平先生じゃん。
そんな遠足のお話ってわけ。
「まったく! せっかく舞浜が近くにあるっていうのに!」
TDLを背に春花があきれてた。っまキモチはわかるし、
江戸川を千葉から東京都に入ろうという京葉線の中で、
「ここは千葉県江戸川市~葛西臨海公園駅~」
いやいやそれはないでしょ今日子って、ここ一応都内だし、千葉県の飛び地でもないしって。
駅に着いて、空が広いことが好きになった、いつものごちゃごちゃした日常から解き放たれたみたい、地図と照らし合わしても迷わないし、意外といけてるかも。進行方向をみて地図をクルクル回しながら、集団から離れ観覧車の方に行きそうになってしまうのを、
「どこをふらふら、こっちだ!」
「はわわ」
佐藤君が襟首つかんで引き戻すの。子供のころから方向音痴は治らない、だから遠足とかって苦手だ、お母さんだと思って知らない人についていったこともあるくらい。
生徒がぶつぶつ文句を言ってたのは、水族園のエスカレータ前までで、あたかも地上から海底に潜るかのような演出に高校生は静かになっていくの、(班とはぐれない様にしないとって、ボク暗いとこ苦手なんだよ)みんな文句いっていてたクセに水槽の明かりに吸い寄せられていくんだ。
暗闇に光る青い水色に、きらめく魚の体表にさ、熱帯魚の赤くて紅いコントラストにさ、海月の寄る辺なさみたいのに、時間感覚を忘れて見入っていく、溺れるみたいな、たゆたっていくように……
そのうち酔っ払ったみたくアクリルの水槽を見てるのが気持ち悪くなっていく。
一通り回った後、レストラン(というより学生食堂みたいな?)の様な食堂で、お弁当を広げランチタイムとなったの。
「もう腹減って仕方ねえよ」
一日五食食べるのが当然で、早弁が当たり前の今日子がため息をつく、まあお腹空くよね。
「今日はもうお魚みるの……無理」
水族館入る前、元気パンパンだった春花もボクと同じで気分悪くなっちゃったみたい、なんか食欲わかないよねって。
ボクみたいに女の子のカッコした男の娘が言うのもなんだけど、そんなグループっていうのかボク、春花、今日子、心愛に、引率の田畑先生と佐藤君の班。佐藤君が全然話さない、おもしろくないじゃん。
「もうお魚沢山みたし、佐藤君、なんか話さない?」
ランチのお弁当を突っつき、中二病全開のTシャツが制服に透けてるよって、それだけ気になっちゃうし。
「別に……」
斜に構えた言い方って、そんなこと計算してるくらいなら、言い方考えてくれればってさあ、全く男子ときたら。
「まあ佐藤君も言い方あるんでしょうけど、ちょっとだけ圭君に寄ってあげれば」って春花がいう。
「……」
先生田畑と心愛が目線を交差させる。
「ではとはいってはなんですけど……トランプゲームで仲直りしてみては……?」 はっ? 心愛ナニ言っちゃってんの?
「おっいいねえ、勝負事かよ! やってやろうじゃねえか!」
なに指バキボキ鳴らして笑っているっていう、今日子? あんたホント女? だいたいこの娘の身体とかすんごいんだもん、筋肉ムキムキなんだよって、まあいつかそのことはなそうかな。
「いいじゃない、先生もボク達も、普段から日常から離れるのって必要じゃない? 今日は遠足の日だよ」
まあ春花がしたいっていうのなら付き合ってもいいかな
「ん~~? カードゲームするなら先生も付き合うぞ?」……ちょっと微妙……
「ズバリッ!!! インディアンポーカーですわ!」
「「「はぁ?」」」
ボクと佐藤君と春花の言葉だった、何? インディアンポーカーって?
「ちっ 手本引きじゃねーのかよ、まあ勝負早くっていいかあー」
?????? そもそも言ってる意味わからないし、てほ・ん?
「まあ面白そうだけど、僕も教師だしねえ、賭けの目標地点はどうする? 現金とかは許せないよ」
(現金賭けないのならそれでいいの?)ボク達三人の疑問を放って置いて、
「王様ゲームの王様になれるっていうのではよくありませんか? もちろん常識の範囲内で……」心愛ちゃんの下心見え隠れする気が……
「トップが好きな奴に命令できるってことでいいだろ?」今日子がどこからか取り出してきたトランプをもうシャッフルし出してる、この勝負事大好きッ子ったら。
「ルールはどうするんだよ?」雰囲気に呑まれた佐藤君、ちょっとでも優位に立ちたいんだろうね、カッコつけちゃってる。
「まあそんなに重くならないで、やっていくのに慣れていきましょ」
「年長者として教師として、簡単な説明をしておこう。初心者の為にローカルルールは抜きでジョーカーもナシ、僕が配ったカードを各自オデコに掲げて自分のカードは見ないでね、コール(続行)かレイズ(賭け点上昇)かドロップ(降り)かしていくんだ賭け点は最低一点から、原点配給は各プレーヤ10点、バーストしたプレイヤは余計な発言は控えて、このゲームは言葉とかが面白さで、自分のカードが見えないところに美味しさがあるんだから」
「じゃあ2<3<4<5<6<7<8<9<10<J<Q<K<Aでいいんじゃね、一回リハーサルでやってみると分かり易いだろ?」
言うが早いか配るが早いか、円卓にカードを配り始める今日子だった。
「じゃ、後の進行は田畑先生ヨロシク!」
田畑先生がカードの裏面をおでこに付け、羽根飾りみたくインデアンさながらにすれば今日子と心愛もそれにならい、ボクたちもそれを真似し出す。
「よくわからないけれど要は勝てばいいんでしょ、にひひ」何処からくるんだかわからない自信をみなぎらせ、カードをオデコにくっつける春花ちゃんだった。
心愛
今日子(こいつ弱いな……血祭にあげてやるぜ!)
春花(そんなこと思ってるでしょ?)
最近いろいろ忙しいです、飲むのに……