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家族って何でこんなめんどくさくって難しいんだろう

 何かを得るということって何かを失うことだよね、わかっててやったことだし、もう後悔は済ませてるし、今日一日で大分に強くなれた気がする。

 おかまといわれようがだからどうしたって、言わせたい生徒も先生も、言ってこないで心の中で思ってる人だって別に。ボクはボク、人は人じゃないの、そんなセクハラに負けるものかって。

 だけど、アレは結構堪えたわ。

 何ってさ、

 家に帰ってからの……家族会議。

 空気が鉛と劣化ウランを足して二乗にしたくらいみたいに重苦しい、二人の両親がボクの目の前に座っていて、少しニヤニヤして妹がボクの右側に座ってる、ボクは少し猫背になってうつむいてた。

 そりゃ早く時間過ぎないかなって、もうわかるでしょ、ボクの姿を見ればさ。そーいうことじゃない。

「どういうことなんだ?」

 腕を組んで難しい顔して、ついにお父さんが何とか搾り出すみたいに、いってくる。

 対面から一時間、お互いにどう切り出していいのかわからなかったもん。

「圭……」

 お母さんも心配顔させちゃった。そんな目で見ないでよ……

「………………」

 わかっていたことだけど、やっぱり硬ったい、こんな硬いの飲み込めって、自分ひとりで? でもこれはボクのことだ。春花が憑依して何か解決できることじゃない、ボクの問題なの。

 学校では春花達がいてくれるし、男の娘でいるのに自信だってもてた。

 家族との親近感はこんなにも重くって、突き刺さるんだね。お腹から背中にかけて貫かれるならまだマシ、背骨を貫通して口から生き物がでてくるって、エイリアン飼ってるって感じかなあ。

「ごめん……」

 もうどういっていいのか、養ってもらってる身なのにって、身も蓋もないって。父の顔を見ると心配とか喪失感とか本当にいろいろな感情が滲んでるし、もう謝るしか。

「謝って欲しいわけじゃないでしょ! 理由を説明して、圭のことが心配なんだよ」って母が大きな声を出してって、初めてみる彼女の表情とか、声のトーンとか、もう演技とかそんなの超越しちゃって。分かっていたことだけど、もう後戻りなんてできないんだ。心配かけるつもりじゃなかったのに、って何今更言ってるんだか、イイ子ぶりっ子して本当は分ってやってるくせにさ、更に親の承認まで求めてるなんて、底無しに欲深くて、そんな自分でいいのかよって。

「治せないのか」

 何言ってるのか理解に時間が掛かる、頭の中で反すうされる、一瞬言葉が色とりどりの万華鏡のように目の前を彩って、その色はどす黒い赤紫をバケツにぶちまけたみたいに心に広がって、そんな言葉を言わせるほどワタシしちゃったんだって、後悔はしないけどしてなんかやらないけど、だから絶対に信念曲げないぞって……

「遊びなんか……じゃ、ないし」

 その時の反応はお父さんお母さんは眼を見開いて何も喋れなくしちゃうくらい強烈だったみたいで、だけど妹ときたら、

「ごめーん、この修羅場の空気って、耐えられないわ」

 そういってクスクス笑いながら台所から出ていくの。空気読めこの馬鹿おんな!

「お前……一体どんな育て方したんだ……」

 どっちに言ったのかはわからない、てか多分両方、妹の茜とボク圭の態度とか言動にいったんじゃないの、多分ね。

「……あなた、今、何て……」

 お母さんを怒らせるのに充分過ぎる言葉だったみたい、そこからさきはお父さんがお母さんをひたすらに責める様な事をいい、まったくだまって、多分全てを恨みに変換していたんだろうね。青筋を立てる彼女にすごく申し訳なく思って、家庭ってものが物凄く重いってことを思い知らされた、もうこんなにも、月並みだけど息をするのも苦しいくらい、それが自分の家だなんてって。

 この日からしばらく、お母さんが家事を放棄したもんだから、家の中は大変ことになってしまい、お父さんが始終機嫌悪くってさ、超最悪だったって、って全部ボクのせいなんだろうけど、まあせめて自分の事は自分でやるってことに家が落ち着いてから、やがてお母さんも渋々家事をやり出すようになってくれたわ。

短くてすみません、あっさり終わりたかったしで。


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