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圭君男の娘として初登校!

 ボクの気持ちを整理してみれば、別に男に興味なんてなくって、春花が好きなだけ。その春花が望むことなら一緒になって楽しみたいし、ボクもそうありたい。それがたまたま男の娘だっただけなんだけど、高校の時くらいやらないで後悔するより、やって後悔してもいいって思うんだ、格好が変わるだけで人に迷惑をかける訳じゃないし、本当に高校までというのが自分自身に対しての約束。今晩帰ったらキッチリ親に説明するし、妹にも話さなきゃ、遊びじゃないし、まあ遊びって言えばそうかもしれないけど……

 どうせだったらとことん可愛くフレッシュに、誰から見てもカワイイJKに見られるように甘い甘いメイクで、でもナチュラルで健康的に!

 スカートを履き、とりあえずスースーするのに少しずつ慣れていかなきゃって、他にも色々春花が教えてくれること実践していく。

 朝お父さんとお母さんは呆然としてた、当然だよね。妹は「ナニそれ、うけるんだけど」って。たぶん三人は現実についていってないんだろうな、まあボクのせいなんだけど。

「学校から帰ったらお話があります、お父さんとお母さん、それから茜にも、じゃ、行ってくるから!」

 これ以上の時間をかけるとややこしくなることは目に見えていたし、覚悟は決めていたんだし、どきどきしたし。

 学校行きのバスでいつもの今日子とあった、まあ時間大抵いっしょになるしね、春花に会うより先になんだか彼女の顔が見たかったというのが本心。

「はよ……」

「……」

 失礼かもしれないけど、とりあえず無言で今日子の席のとなりに座る、別に無視したわけじゃないけど、拒否されるの怖かったっていうのか、

「今日子、ごめん」

「んー、別に謝ることないじゃん」

 窓枠に頬杖ついて、こっちを見るともなしに見てくる彼女に視線を合わせることができない、情けないな……覚悟を決めてきたつもりだったのに。だってホントに他の人から、春花心愛今日子以外の生徒に見られるの、怖くもあるし、どんな目でみられるのかって、でもそれがしたくて、どうしようもなく渇望する位したいことになってるし。

 そうこうしているうちにだんだん江戸蔵高校の生徒たちが増えてきて、男子高校生がこっちをちらちら見てくることに気がついた。

「ずいぶん見られてるな圭……」

「えっ」

 ドキッとして今日子と初めて視線を合わせ、それからまた下を向いてしまった。

「まあそれくらいカワイイ顔してたら無理もねえか」

「馬鹿だと思ってるでしょ?」

「いやいや全然、むしろすげーって、リスペクトしてるくらいだよ、だからうつむいてないで背筋伸ばして笑えよ」

「……」

 そういわれて、ボクは少し前を見ると、ちらちこっちを見てくる一人の男子高校生と目があった、そしてこちらから少しはにかんだように笑ってみたの、そしたらその男の子、顔赤くしてうつむいちゃうんだ。

「もうすぐ学校つくぜ、堂々としてろよ、女は度胸だ、見た目女の子でいる以上女として扱われるって思っとけ」

「う、うん」

 男の娘でいるって覚悟、想像以上に大変、やりたいことやるって難しいよね。人の見ていないところで一人女装していれば問題ないのかも知れないけど……

 そういえば冷静なこといって考えろっていってたの今日子だけだったね、協調性はない娘だけど、ボクのことをないがしろにはしないの、お互いに認め合えればそれでいいって、だから今日子に先に会いたかったんだ。

「えっあの娘……誰?」

「やっべ、あんなカワイイ娘いたっけ」

「綺麗な娘……」

「写メ……とっとこ」

 この視線が快感だった、カワイイとか綺麗って言われたい、認められたい、別にそれだけなのに、それがやりたいことなのに。

「おはよう圭君、待ってたよ」

 もう満面の笑みを浮かべて、祝福してくれる、悪い女の子だ。昨晩だって人の体乗っ取っていろいろなHなことしてくるし、あ、じゃあボクも同罪だね。

「ホントウに今日はガーリーですわね、その覚悟まで……夢カワイイですわ」

 ポ~っと見つめてくる心愛の潤んだ瞳、今まで何度も見てきた。瞬きひとつで男を殺すような感じっていうのかなあ、惚れさせることには力みたいなものを感じるってそんな目を心愛は持ってる、うらやましいな。

「……あの娘一体誰?」

「鈴木さんとかと仲よさそーだけど」

「なんか圭の席に着いてるって、まさかね……」

 ざわざわざわ……

『もうすぐ担任の前野が来るよ、圭君そのときちょっとだけ体借りるからね、君の凄さ、見せてあげるよ』

『?』

 いってる意味がわからなかったけど、春花のことだからきっと面白いことかんがえているんだろう、悪い娘だけどどうしてだろう? 、彼女が憑依れば面白いことが必ず起こる、必ずね。

 ボクのせいでざわつく教室だったけど、担任の前野先生が入ってきて生徒たち皆、着席しだす、つまり突然に現れたおんなのこは圭自身ってことになるでしょ、自動的なカミングアウト。

 みんなの視線がボクに注がれるの痛くて仕方ない、春花は寝たようになって机に突っ伏してる、ボクに憑依中は必ずこうなるの、無防備になっちゃう。

「礼」

 学級委員の一声で座ったまま礼をする、この学校では起立とかしない、おかげで机に倒れこんだ春花とかが目立たない、他にも寝てる子とかもいるけど。点呼も席に空きがあるか目視で確認するくらい、なのに……

『ほら見て、前野の奴、こっちチラチラ見てくるでしょ? いっつも心愛のことばっかし見てるかくれスケベの癖に、君のことが気になって仕方ないんだよ、いい?』

 そういってボクをそっと操作するの、前野に微笑し、手まで軽く振ってるって。

『春花目立つよ!』

 そうしてゆっくりイスから立ち上がると、クラス全員がボクに注目、

「先生どうしたんですか? 顔赤い……」

 心愛ちゃんから戴いた制服、ホントスカートが短くって、脚が見られるのハズイって、

『大丈夫だよ、圭君の脚このラインは君くらいしか作れない綺麗さなんだから、絶対領域に自信もっていいよ』

 ゆっくり先生のトコに歩いていくの、自信満々に、春花度胸あるなあ、

「なにやってんだあいつ……」後ろから今日子のつぶやき、

「先生顔あか……」

 ホントぎりぎりまで前野担任に接近して、心配そうに耳のしたのうなじに手をあてて、

「な……な、何」

「気になります?」

「え、何?」

「ボクの制服とか顔とか? 何ならちょっとだけ見てみます?」

 春花ったら粘っこいアニメ声で前野の耳元にささやくの、そしたらさ、

「何を君は……」って、ますます顔を赤らめちゃって。

 そこから先は春花が黙って、タイを緩め、ボタンをひとつ、ふたつ外して……見えるか見えないかぎりぎりまで胸元を覗きこめばみえるんじゃないかって誘うの、もう匂いたつ位色気と甘いシャンプーの香りが充満してね、そしたらさ前野先生ったら硬直しちゃってね、横に見えた男子も顔赤くしちゃって、クラス中から注目されてる、でもそれが妙に恥ずかしいくすぐったい気持ち良さなの、

『見てよ圭君、先生のクセしてどうしようかって迷ってるよ、まったくこのむっつりスケベめ!』

 いよいよ見えそうになって、危険な位ぎりぎりまで……

「やっだぁ先生! 冗談に決まってるでしょ、顔赤くして~」

 そうしてそそくさと胸元を仕舞い、おどけてみせたわ、

 もうクラス中の視線釘付けして、

「大丈夫ですよ、カッコちょっと変わっただけだし、ボクは圭のままですよ」

 高らかに宣言して見せた。

「えっマジ? あの圭なの」

「どこの娘かとおもっちゃった、本当に圭君なの?」

「きっキレイな娘、カワイイ……」

 ざわざわざわざわざわざわ……

 席に戻る途中、心愛ちゃんのあんぐり開けたお口、面白い!、それからみんなの顔!

「お前のアバズレっぷり、すげーなぁ、イケてんじゃん」

 すぐ横の今日子がニヤニヤ笑い、貶してるんだか褒めてくれてるんだかっていう。

『どうだった圭君、男の娘の魅力はこう使うんだよ』

『すごかった……』

『どう自信つけてくれた?』

『もうボク春花にぞっこんになりそう』

『これが君をいじめちゃったことに対してのせめてもの謝罪さ、これからもいっぱい色んなもの見せてあげるからね』

『お、お願いね春花』

 楽しいったらない、外見女の子ならほんとに先生とか顔赤くしてたし、少し興奮してたんじゃないかって思う位、男のクセにこんなアニメ声って気にしてたけど、この外見なら結構いいみたいだし。

 でも反面、もしかしてクラス中からまたイジメでも受けるんじゃないかって、心配があったけど、春花の一撃でクラス中に居場所を完璧にかくりつできたってわけ。

なんかイラスト欲しいかも

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