多幸感はとっても気持ちよくって、怖いものは無く、幸せでした。
ラストは考えていたとおりです、ですが色々想うことができてしまいまして、無理にでも終わらせました。
夢見心地の中、春花との思い出が駆け巡る、初めて小学生のときのイジメの記憶、小学校という世界の閉じられた世界、一歩でも教室の中を踏み出れば真空という宇宙船見たいな世界だよ、子供は世界から守られなきゃいけない弱者という存在なのに、子供には子供の世界があって、それはまるで宇宙船のようなの、外から見たって仲良くしているようにしか見えないかもしれないけど、お互いがお互い同士の中で、眼に見えない空気を読みあいバランスさせている子供の世界だった。だから葬式ごっこなんていう残酷極まりない所業を子供同士行えて、宇宙船の中なかの担任ですらその行為に参加し焚き付け、ひとつの運動になっていったんだ、多分集団が纏まるのって、その中の個人を敵として排除することを目的にすれば一体感が生まれるんだ、許しはしないけれど、絶対に許しはしないけれど、もし自分が多数決という同調圧力の中でカッコよくクールにいられるのかな? あいつらのやったことは多分それ。
同時にそのころ春花はお父さんにお布団の中で、一度抱き疲れたという記憶があって、たしか小学5年生の時だった、そのときの母親はダンスだかなんだかのちょっと若い先生にくびったけみたいになていて、家庭はいいかげんのほったらかしだったようで、その夫婦生活の代償犠牲いけにえとして春花は父親に選ばれたんだろう、「夫婦のことは夫婦で解決して、ボクのような娘に頼ってこないでよ」といえる娘だったらどれだけ強い子だろうって、そんな強い子ばかりじゃないでしょ、よくわからないとかいう幼稚な理由で流して生きてきた。
侵入こそないけれど、男のズリネタ代わりに使われ、頭の中を汚された春花は、ボクを苛める事でアイデンティティーを保とうとしたんじゃないの? でその結果はボクが男の娘とし生きていくことになったのだけど……
ボクはイジメを受けて、許しもしないし忘れもしない、そこに嘘はないけど……そう言っておきながらそこに逃げ込んでいる気がしてた、いっつもどこか計算して、被害者であることを選んいるんじゃないかって、諦めているのかも、だって最後の希望は何よりもあきらめしかないし、傷つけてくれる相手を春花を選んでさ、その彼女に支配させている、暴力に、依存を喜んですらいる。……クソだよねマジにさ。
ボクってなんて狡猾で陰湿なんだろうって、春花がかわいそうに、本当にかわいそうに思えてくる、首を絞められているのに、殺そうとしている彼女はなんて憐れに思えるのだろうか、もう意識が切れるかもしれない瞬間なのに、蕩けそうに幸せ、身体をとりかえあって心中できるなんて二人だけの特権に、どこまでも明るいものを感じ、過剰なまでの多幸感に羽根が生えてどこまでも自由になれるんだって、病的なまでにハイになるの。
「このまま圭君として生きていく事もできるかしら? こんなことを口にできる最低のボクにより沿っちゃって、それでよかったの? こんな最低女にさ、でもこれ以下の最低にはなりたくないし、待っていて、今いくから、せめて最後は綺麗に死なせて」
姿は春花の遺体をキレイに清拭し、首についた吉川線をコンシーラーで隠してあげ、よく考えて制服に着替えさせた。自身も圭の着ていた制服をまとい、かつて圭に初めてお化粧をしたみたく可愛くキレイに……
その後春花は、圭の膝をひもで縛り、口の中に血の味と匂いのする、包丁という鉄塊を喉ぎりぎり迄当て、その柄を渾身の力で突くといいう作法で、二人の想いを遂げました。
ふたりにしか分からない、二人だけの正解にたどりついたのです。
了
回収してないフラグいっぱいある気がするのですが、終わりにします。




