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避妊具を買うのは男の娘なのかおんなのこなのか

 お酒のせいなのか、ほんのり頬に紅がさし、色っぽく見える気がする、だけど皮脂とか脂でテカッたTゾーン、ファンデーションのよれをスポンジで軽くとってあげて、脂取り紙はちょっと肌に合わないし、好きじゃないけど万能コンシーラーを軽くなじまして、リップチークで血色復活! ハイライトで調整したあと、、バームで唇に潤いを、さらにチークもってのはあざとすぎるかなって、あ、指に残ったバームは毛先につやをね。

 ボクがメイクしてると、決まってがん見してくる今日子なの、チェック厳しいなあって、男子からこんな見られることはない、女のほうがよっぽどチェックが厳しい。

「キレイで可愛い顔してるよなてめぇ、ふーーーん、オレの時には薄化粧でも、春花が来るとわかれば化粧し直すんだ」

 ちょっとどきりとする、

「今日子とは……友達だからね」

 変に冷静になる、こんなこといいながらさ、これってつまり、女性のような格好をしておきながら、女の子春花が好きで、今日子は同性のように友達でしか見られないっていうことを認めたってこと、自分でも分からなかったけど、すなわち男の娘とは限りなくレズビアンの感情に近いんじゃないかって、酔ってるくせに酷く小賢しい理屈こねてるけど。

 トドノツマリ、Hなことしたら関係が変わるのかってことを聞かれてる、それはあるかも知れない、もしそうだとすれば……今日子とHしたらそれで終わりの友情だとしたら、なんて儚くて軽薄で不実なものだろうか。

 だからこそ、今日子とは友達でいたくて、何でも共有ていうか、一切の隠し事しない春花みたいな、苦痛も快感も隠し事できない関係より、言葉にしてそれを話せるような友達でいたいし、適度な距離感が大事だなあっておもう、なのにこの娘ったら……

「だったらオレとやった後でも、オレとは友達で居てくれるの?」

 酔っているからって、なんてことを!


 二週間前、バイト中とあるカップルに接客するようになった、カウンター越しだから冷静に見られたってのあるけど。

 どう見ても女装子さんの、折れそうに細いメイド服の若い子と、64で分けた感じの清潔感のあるこれまた若いサラリーマン、が並んで入ってくる、寄り添いながらさ。

 細いメイド服の子結構ハンサムだったけど、服装とイマイチミスマッチで、そんな子をサラリーマンのほうは可愛がってるような感じ、でも奈々先輩と高橋オーナーがなれた風で、ボクもそれに倣う。

 遠巻きに観察しながら、一週間くらい見ていれば気が付くことがあったの、女装子さんが女性とまではいかない位の、おしゃれな普段着のときがあるんだけど、『女装子』という記号が取れたみたいな感じの、そのときの若いサラリーマンの態度みたいなのが、なんだかトキメいているの、ピンクのオーラがただよってるんだから、なんだろー、こっちのほうが女の子とかにもてそうな感じがして、悪くないなってのはあってさ、奈々先輩に聞いてみた、もちろん二人が飲み物買って出て行った後にね、

「あの二人付き合ってるんでしょうけど、いつも女装してるわけじゃないって、どうおもいます」

 ボクの場合は出勤のときはメイクなしでいく事なんて、無かったし、先輩とかはどーおもうのかなって、

「どうだろ、女同士で遊びにいくときも、結構化粧キッチリ決めていく娘とかもいるし、まああたしは薄化粧だけど、でも女のほうが男より見る眼とかは厳しい人もいるからね、すっぴん見せるのやっぱり心を許しているんじゃないの、あの二人の場合はね、でもそれがかえってどきどきさせられるんじゃない、こんな感じでいいかしら」

 ここでのドキッとさせられるのは、あの若いサラリーマンの方、彼が明らか意識してるってこと。

「案外おとこのこの姿のほうが、よっぽどオンナってものを感じさせるのかもしれないよ、あの二人のばあい、女心は複雑だからさ~、君なら理解できるでしょ」


 そのときはそんなこといわれても、ふーんって流しちゃったけど

「しても友達で居てくれるか?」といわれて、

「止めてよ、今日子」って、

 友達にそんなこと聞かれたって、どう答えたって良くない気がするし、聞くほうもどうかしてる、酔ってても何でもいっていいわけじゃないと思う、ちょっと怒ったようにいってしまった。というか友達だからこそ、そういうことはいって欲しくないっていうのか、今日子からそういう目で見て欲しくない、

「そういうこと聞くのは良くないよ」

 続けて彼女をたしなめる、生意気かもしれないけど、はかない友情を大事にしたかった。

「オレに意見かよ……」

 テーブルにもたれて、グラスをじっと見つめ、ボクから視線をそらすの、

「夏の間、オレがセルビアに言ってる間、お前ちょっと変わったよな、なんつーかその……ちょっと強くなった」

 多分疑似的に虐待を経験し、それを第三者的に見れたことが、そうさせたのだ、そう思おう、思わなきゃやってられないです。


 インターフォンを鳴らさなくっても、直ぐに気が付いた、春花が今日子の家の前まで来ているって、だから今日子に教えて、彼女に出迎えてもらう、ここは彼女の家だし。

 今日子の部屋に上がるまでは、一応春花ちゃんも礼儀正しく、客としてのフリはしていたみたい、ボクの顔を見るまではね。

 そうして春花が部屋に入ってくるまでの間、嬉しいながらもどこか心の片隅に、重くてしんどい彼女と逢うのをためらう、相克するボクがいるの。

「君ってお酒なんか飲んじゃって、ダメな高校生だね」

 逢うなり開口一番、心底軽蔑仕切った風に。

「いきなりご挨拶だな、オレに言ってんだろ、ダメな奴だって」

「べつに、今日子はいいの、ボクが心配しているのは圭君だけ、圭君のことだけが心配なだけ、圭君の為なんだから、圭君が心配だから来ただけ」

 家庭というモノに、心底希望を持てなくなった春花は、時々常套句みたいに、ボクを縛り付けてこようとする、それが嬉しくもあり、しんどくもありって、

「へー春花って何でも圭のことわかったようなこと言うじゃん、まあ実際そーなんだろうけど、頭も意識も覗けるようなんだからさ」

 たまには素直に従うだけじゃなくって、かき乱すのも面白いかなって、お酒のせいなのか、そうしてみたくなったの。

「ボクもだよ……」

 ボク圭自身が宣言したの、

「圭君!」

「……」

「……」

「……………………………………………………………………………………………………………………な、なに、この沈黙」

 そうだよね、今日子には、わからないもんね、春花にはわかっても、一度きちんと整理しとかなくちゃ。

「ボクも超能力を使えるようになったんだ、春花の意識に憑依できるようになったの、おまけに男の娘のボクと、女の子の春花の身体まで交換できるようにまでなったんだよ」

「……マジか?」

 一呼吸置いて、ラキアを一杯、不機嫌な春花に薄めにオレンジと割って、氷もいれ軽くステアしてあげる、スクリュードライバのラキアといった感じ、もちろん彼女がすぐに飲むなんておもってないけどって、

「本当なのよ今日子、身体の交換ができるようになったの、お互いに憑依しあうという方法でさ、だから……」

 この先のことしゃべり続けたら、きっと元に戻れなくなるって、わかったけど、春花とだったらいいやって、そう思えたから。

「だから身体交換して、Hしてみない、春花ちゃん」

 ぶふっ、ラキアと一緒に、大豆とコブの煮物を噴きだす今日子、きったねぇー、鼻から昆布でてる! ティッシュティッシュ!

「な、なにいってくれちゃってんだ~~~~~~~」

 って今日子こそ、ボクたちのこと煽って、遊びまくったくせしてさ、なんて心でささやきながら、内心感謝をしてるの。

 男の娘の身体のこと(ってゆーか男の身体)よくわかっていないんだろう、先日のリストカットの包帯をさすりながら落ち着かない春花ちゃんだ。

「強がってるけど、圭君の方こそ大丈夫なつもり? 最初って痛いらしいわよ」

「あ、あっそう、大丈夫だよ、これでもれっきとした男子なんだから、こ、怖くなんかないんだからね……」

 強がってみたものの、若干声が震えてしまった。

「ボクぐらいなんだからね、男の娘の圭君を許して、付き合ってあげてるの、ボクくらいなんだからね、普通の女の子だったら、君みたいに女の子みたいな子、付き合ってなんかいないと思うぞ」

 なに春花ったら、頬を染めちゃって、怒ったみたいに、マジむかつく。

「ホントーだよ、君みたいに支配的な娘、こんな怖い娘見たこと無いって、危うく昔なんかイジメ殺されるかと思ったんだから、それでも許してるなんて、ボクってなんて聖人なんだろ、ふつうだったらとっくに逃げ出してるよ、それとも別れてみる?」

 どうせ春花は別れる気なんか無いって、いじめて支配して、束縛してくる、時々気まぐれに突き放してみたり、まあそれでも時々ホント気まぐれに酷く心配してくれたりするのも嬉しいんだけどな。

「あ、やっぱり怖いんだ? 身体交換してセックスしようとか言い出したくせに、やっぱり怖いんでしょ? 逃げ出したくなっちゃったとか? ボクだったら平気だよ、大嫌いな男になるのだってね、女は度胸よ」

 傍からポカーーーーンとして今日子が見ている、ホント馬鹿馬鹿しいったら。

「強がってるけど、お父さんに抱きつかれたこととか思い出して、意識が飛んじゃうんじゃない? そしたらボクがやさしく抱きしめてあげるからね、一応はボク達は付き合ってる恋人同士なんだから」

 いらいらからなのか、身体を震わせていた春花だったけど、急にそれが収まったみたいだ、どうしてだろう。

「ほんとうに、本当に、ほんとーーーー~~~~~に不本意極まりないですが、付き合ってる恋人同士なんですから、仕方ないわよね、高校生にもなったら責任ってものがあるんですから」

「そーいう春花ちゃんは自分の言葉に責任持てるの?」

「そのお言葉、そっくりあなたにお返しします」

「男の娘に二言は無いよ」

「……そう、奇遇ですけど、実は今夜両親が出かけているの」

「ふーん、変なめぐり合わせって、実はボクもそろそろ今日子の家をおいとましようとしてたんだ、偶然だね」

 あんまりの馬鹿馬鹿しさにシラケ、タバコを呑みだす今日子ちゃんだった。

 そして二人して手を繋いで帰り、途中コンビにで買い物をしたんだけど、そのときもどっちが避妊具を買うのかでまたすったもんだのやり取りがあり……これ以上ボクの口からはいえません……

いろいろとアレで申し訳ありません、一応ギリでセーフだと思いますが、注意をされたら削除させていただきます。

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