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かわいい男の娘が描きたい! って、物語

 東雲圭は元は結構明るい、ばかをやるのが大好きな活発な少年だったけど、あるとき一人の女の子から告白をされたことがあって……その話を聞いた同じクラスメイトの古都竹春花が圭をいじめだしたのだ、彼がその告白を受けて、「付き合ってもいいよ」と答えたことに焼きもちを妬いたからだけど、結構強烈で、その告白した女の子が引くくらいで、クラス中を巻き込んだ集団的ないじめになってしまった。

 春花はこういう煽動とか煽りが上手い子で、先生も乗せられてしまう程で、「みんなで圭君の葬式ごっこするよ」そうノリノリで煽り立てていく。

「圭君が死んでよかった」

「化けて出てこないでね」

「これでもし死んだらチョーウケル!」

「さようなら! 圭君」

 ひどい言葉の並べられた一枚の色紙だ、もう目の前が真っ暗になりそう。

 告白した神田さんって女の子だけが、拒否しようとしたけれど、

「次は神田さんになりたいの?」

 そう春花がカワイイ顔して、脅迫するもんだから、あっさり圭は裏切られた。まあ仕方がないといえばそんなものなのかもしれない、集団の行動なんてそんなもの。

 こうしてクラス中から(先生も含めた)葬式ごっこが始まって、春花から亡くなった圭君へ色紙がプレゼントされたのだ、最悪。

 ショックで圭は寝込んでしまい、次の日から登校拒否児になり、その性格を暗いものに変えてしまった。

 どうにか一月後、学校には戻ったけど、春花がべたべたくっついてくるだけで告白をした神田さんも、他のみんなも圭から距離をとって近寄らなくなってしまった。

 それから春花とは一緒の中学に入って、更にべたべたしてくるようになった春花はある能力に目覚めたことを自覚した。

 そして時々、圭は誰かに覗かれているような奇妙な感覚になることがあった。どこから覗かれているといわれても、どことも説明できない変な感覚だったけれど。

 そして時々、夜寝ていると、圭は起き上がり、こっそりどこかに出かけたり、気が付くとどこか別の場所にいたような気になるような感覚の夢を見るようになっていた。


 そして三年後どこでどう知ったのか、古都竹春花は圭と同じ江戸蔵高校に入学してきていた。圭はそんなこと喋ったことはなかったし、大体学力的にどうして古都竹がこの高校にはいろうなどと思うのか? もっと上の高校だっていけるはずなのに、少々うんざりする圭だった。

「やあ圭君、高校でも同じクラスになるなんてキグウだね」

 入学式のあと、暗い顔をしている圭に楽しそうに話しかけてくる春花、もう昔のようなサディスティックなことをしてくることも無くなって、すっかり大人びた雰囲気になっている。

「なんで古都竹はこんな高校に入るんだよ、ったく……」

 高校まで一緒なのは古都竹ただ一人、他の知り合いはいない、人間関係一新したかったのにと圭は内心残念でならない。

「圭君って野暮だよね、まあそこがカワイイんだけど」

「どーいう意味だよ?」

「もーすぐわかるよ、それよりもう古都竹なんて呼ばないでくれない? ボクが圭君って呼んでるんだよ? 春花って呼んでよ、水くさいじゃないか」

 全く何したいんだかよくわからない圭だった。

「はぁ? なに言ってるていう?」

「あら春花さんのお知り合いですか、初めまして心愛と申します」

 びっくりするくらい可愛い娘だ、ココアって言うのか、ある意味凄い名前、芸能人みたいな綺麗な顔してる。昔から古都竹は直ぐに誰にでも馴染める奴だ、でも反面スゲー怖い奴だってコトもよくわかっているそんな圭だ。

「なんだテメェ? 男の癖にかわいいツラしてんじゃねーか?」

 背の高っかい娘だ、

「え、いや、どーも」

「不躾よ今日子、ごめんね……えーと?」

「圭君だよ! 圭君って言うの」

 何でか今日子の代わりに心愛が謝り、春花が圭のことを紹介している、もうちょっと積極的になれないのかなと悩む圭。

「じゃあ不躾ついでに聞くけど、二人は付き合ってんの?」

 初めて会った相手にぶしつけすぎだろ、この女子高生、クラスで一番背が高いぞ、って何いきなり聞いてくるって。

「なわけ……」

「もちろん! そしてこれからも!」

 圭の声を掻き消して、高らかに宣言する春花だった、っていうかいつの間に? これって告白……なわけあるかって。

 その夜……

 まだベットに入る前のときに、

「圭君こんばんわ」

 急に圭に語りかける声が聞こえた。

「? なに、今の?」

「ごめんね、でも圭君が悪いんだよ」

 きょろきょろ辺りを見渡し、誰もいないことを確かめ、少し怖くなった。

「幽霊! 幻聴じゃないよな……、なに今の声?」

「ちょっといい線いってたかな? ボクの声わからない?」

 急にそんなこと言われて、誰がわかるって、でもどこかで聞いた声なんだよな、え、アレ、誰だっけ? ってかそんなこと考える俺って頭かしくなったんじゃ……

「もーーーー圭君ってば、春花だよ、は・る・か」

「……春花……ええええええ、ど、どういうこと?」

「今から君の意識にボクが入り込むからね、許して」

 射精後の虚脱感のような寒気を覚えた後、意識があるのに急に体が動かせなくなる圭だ。

「な、なんだよ、コレ? いったいどうしちゃったの?」

「だから圭君の体乗っ取ったのよ、うふふ」

 だから怖いんだって、乗っ取るとか怖いことさらっと言う娘だなあ、やっぱり変わってねえなあとか思う、こういうところさえなければなあって。

「圭君が悪いんだよ、折角の入学式でのボクのこと無視しようとするんだもん、だから改めてやって来たの」

 今までも、時々、誰かに覗かれている気がしていた圭であるが……そうなのだ。

 春花は小学生のとき、圭を好きになったことを自覚すると、ある能力に目覚めたのだ、その能力とは、相手の意識に入り込み、憑依することのできる能力、憑依能力だ。

「たぶん直ぐには信じられないだろうけど、ちょっとPC失礼するね」

 そういってPCの電源を入れ、起動させると、圭しか知らないはずのパスワードを入力し、こっそり隠し暗号をかけてあったHな動画や画像のファイルを御開帳して見せたのだ。

「ちょ、ちょっと、止めてよ! 古都竹!」

「古都竹?」

「い、いや、止めて下さい、は、春花さん……」

「やった圭君が名前で呼んでくれたよ、でもホントの圭君の気持ちも知っているんだよ? それからボクの気持ちも知って欲しいんだ、だから今日こうやって君の身体に意識に入らせてもらったの」

「な、なにいってるっていう」

 口でいくら否定しても、心と心には偽証は不可能だ、一切の隠し事はできない。

「今から圭君の意識とボクの意識を融合させるから、コレって凄い体験でしょ? たぶん性的な行為以上の体験になると思うんだ、覚悟はいい、圭君?」

 覚悟いいって言われたって、そんな急に言われたって、でもどうせ勝手に融合してくるんだろうし、もう春花に振り回されっぱなしだ、だったら清水の舞台から飛び降りたつもりで……覚悟を決めた!

 水に水を落とすごとく、二人の意識は混ざりあい、渾然一体となる。春花の気持ちがなだれ込んでくる! 同時に圭の感情も春花に伝わる、心と心が触れ合うことは気持ちがよかった。今までで感じたことの無い気持ちよさ、快感に二人は恍惚となる。確かに小学生のとき春花にされたことは許せなかったし、そのことも春花に伝わる。でもどうしてそんなことを春花がしたのかも感じられたし(知るというよりは感じるって感覚、知というよりもっとエモイ感じだ)、どうして圭がとぼけていたのかも感じられた春花だ、隠し事ができないってこんなにも気恥ずかしく、そして相思相愛というのがこんなにも気持ちの酔うものだったなんて……

 その晩、二人は意識の中で抱き合った、圭は春花にもなり、春花も圭に変身しあい、愛しあった、お互いの快感を夢中で味わいつくす、それは人類史上初の体験である。

男の娘に変身するのはもうちょっと先です、お待ちください

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