起床
・・・当に・・・じょ・・で・・・? もう・・・に・・・ってる・・・。
誰かの声がかすかに聞こえる。体中が痛い。
「つっ・・・」
思った以上の痛みに思わず声が出てしまう。どうしてこんなことになってしまったのか、思い出そうとする俺に
「よかった。目が覚めましたか。」
目線をそちらに向けるとニーナが安心したような顔で座っている。なにが起きていたのかさっぱり思い出せない俺にニーナが言葉を続ける。
「本当に申し訳ありません。まさかあんなにふっ飛んでしまうとは予想していなかったもので・・・。」
あぁそうか、思い出した。俺がニーナを挑発したのが原因だったっけ。
「・・・俺も悪かったが一応は初対面だったんだ。もう少し手加減してもよかったんじゃないのか?」
まぁもしこれから仲が良くなってもさすがにこんな激しいのは遠慮するが。と、心の中で呟く。
「本当に申し訳ないです。重ねて申しますが本当にあんなにふっ飛ぶとは思わなかったのです・・・」
「まぁ確かにそうだけどな・・・」
普通に考えると人がグーパンで吹っ飛ぶなどありえないだろう。グーパンされて倒れることならあるだろうけど、恐らく俺は5~6mはふっ飛んだだろう。子供と大人というわけではないのに、というか俺が男で相手は女なのにあんな有様なのだ。なにをどうしたらあそこまでの力がでるというのだ。それとも俺がただ単にひょろひょろ過ぎるだけなのか!?
「くぅっ・・・!」
思いっきり歯噛みすると途端に左のほっぺが痛くなる。恐る恐る手を当てようとするとニーナに止められる。
「やめておいたほうがいいです。私のせいではありますが、尋常ではないほどの腫れができてしまっています。気を失っている間に薬をぬっておきましたので多少痛みは和らいでいますが、あまり触りすぎると薬の効果が短くなってしまいますので。」
どうやらかなり反省しているようで、言葉には出ていないがその顔には少し苦しそうな表情が浮かんでいた。だが、さすがに反撃が過剰すぎるので簡単に許すわけにはいかない。その代わりと言ってはなんだが俺が今疑問に思っていることについて、納得するまで答えてもらうことにしよう。
「わかった。ところで急に話は変わるがここはいったいどこなんだ?」
「本当に急に変わりましたね・・・。ここはハル国の領土の一つ、アルター様の治める土地、バルムントです。」
ほほぅ・・・。完璧に異世界ってわけじゃないのかこれ?日本にいたころは本で見たことも誰かから聞いたこともないぞ?
「じゃ・・・じゃあ、魔法なんかも使えたりするのか?」
夢にまで見た魔法が目の前にあるという可能性に目をキラキラさせつつニーナに問う。
「はい。ありますがなぜそのような当たり前のことを?」
うっひょう!!本当にあるじゃねぇか!これであれだろ?これから始まる冒険の途中でかっこよく詠唱して大火力の魔法をぶっ放して魔物を掃討したりするんだろ!?
「何をそんなに興奮しておられるのかわかりませんが、この家の外でそんなに目をギラギラさせてよだれをたらしていたら、即刻警備隊を呼ばれて独房に入れられますよ?」
「おう!そうかすまねぇ!気を付ける!」
全然説得力ありません、と、あきれるニーナを尻目に少しの間だけ体の痛みを忘れて妄想をふくらませる。現在時刻は恐らく15時くらいだろう。まだまだ聞きたい事はたくさんある。その次の日の朝4時頃までいろんな質問をした。
かなりひどい出来とは思いますが、感想やアドバイス等いただければとてもうれしいです。