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月影

作者: 西框 清隆

テーマ 対比

キーワード 帰り道

非表示ワード 後悔


千鶴は、帰宅の道すがら大きくため息をついた。

会社に勤めてから五年が過ぎ、時々思い出す学生時代が遥か昔のように思える。時間はあっという間に流れ、知らず知らずのうちに五年もの時が泡のように消えていた。その間、何か大きなことをしたわけでもなく、会社に身を捧げて働く毎日。混んだ電車に揺られ、出社すればパソコンと睨めっこ。オッサン社員の身も凍えるようなつまらないギャグを聞かされて、セクハラにも耐えて、作り笑いを浮かべる。いつの間にか作り笑いと本当の笑顔の区別もつかなくなっていた。

そんな毎日の中で幸せを掴み損ねてしまったのか、付き合っている男性もいない。きっと男性のことを気にしている暇なんかなかったからだ。

いつでも結婚なんて出来るとまだ思ってはいても、地元の友達から結婚式の案内状が届く度、心の底では焦りが湧きだつ。母からも良い男性はいないのかと急かされて、まだいないよ、と言うと毎度お馴染みの「顔は悪くないのにね、性格かしら」と呟くように言われてしまう。電話をきった後についたため息は数えきれない。

帰りの道すがらは足が鉄の固まりのように重くて、進まない。明日のことを考えると気分が重いからだろうか。

フッと空を見上げれば、そこには満月があった。

今夜も月は煌々と輝いている。


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― 新着の感想 ―
[良い点] いろいろと考えさせる小説でした。自分も高校一年生だけど、感慨深いものを感じました。 [気になる点] もう少し、続きが見たい。(笑) [一言] こういう短編もいいですね
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