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2人の内 1人

久々の更新です。


なか目線でいきまーす*


かいくんが、りょうを呼び出して帰ってきた2人は、ずっと


無言で。お互い、何かに悩んでいるようだった。


ー・・・


「はあぁぁー、終わったぁ授業。」


あたしが大きなため息をつき、机の上で寝ようとすると、


まきが呆れた顔でやってきた。


「那華、あんたあの2人・・・どういうことよ?」

「あたしだって、分かんないよ。」


何があったんだろう。でも、きっとあたしが踏み込んでいい


ことじゃない。だけどやっぱり・・・


「気になるよ~」

「どっちのことが?」

「そりゃあ、2人とも。」


あたしの発した言葉を聞き、真悸は静かに話し出した。


「あのね、この学校には那華を恨んでる女共がたくさんいるの。」


いきなり、こんなことを言い出す真悸にあたしは目を見開かせたまま。


「え・・・なんで?」

「そりゃー、りょうくんとかいくんと仲がいいからでしょ。

 あの2人は学校でも1,2を争うほどのルックス。

 クールなりょうくん、アイドル系かいくん・・・真反対の2人がいれば、

 女共はその、どちらかを好きになるでしょう?」

「う、うん。」


真悸の真剣なまなざしに、思わず唾を飲み込む。


「そんな2人と仲がいい那華は、妬まれるに決まってるじゃない。

 りょうくんとは幼馴染だし・・・ね?

 ほかの女からしてみれば、どっちか1人にしろってことでしょ。」

「あ、そっか。」

「そういえばさ―――」


真悸が違う話題に話をそらしたけど、あたしの耳には入ってこなかった。


あたしは・・・2人と、いちゃいけないのかな?


ー・・・


綺麗な橙色の夕日に照らされて、アスファルトに映る

自分の影。 その自分を見ながら、あたしはとぼとぼと

家路を歩く。


「那華ーっ!!」


見覚えのある声に、振り向けばそこには・・・・りょうがいた。


「りょ、りょう? どうしたの?」


息を切らして、立ちすくんでるりょうの背中とさすろうとした。


でも、やめた。ダメだ、りょうには彼女がいる。あたしなんかが


触れていい存在じゃないんだ、もう。


「こんなに息切らして、あたしに何か用事?」


平静を装い、笑顔を振りまく。


涙が出ませんように・・・。


「あ、あぁ。」

「もう!あたしなんかより、彼女さん大事にしてあげなよー?

 せっかくできた、りょうの初彼女じゃーんっ」


いやだ、自分で言って傷ついてる。


「そ、そうだな。」


何で、こんなに曖昧な返事なの。


自分の中にあるモヤモヤとした感情を振り払うかのように、


あたしはいつもより少しだけ、大きな声で、りょうに訴える。


「あたしに用ないなら、彼女さんのとこ戻んな?」

「え、でも―「早く戻ってよ!!!!」

「・・・あ、ごめん。」


どうしよう、ついカッとなって。


「ううん、あたしもごめん。」

「・・・。」

「やっぱ、ダメだなー。りょうに彼女ができるの。

 何だろ、ただの幼馴染なのに辛いや。」

「え、那華?」


くるっと後ろを振り返り、りょうに背を向け、去る。

こうでもしないと、抑えきれない。あたしの気持ち。


「じゃあ、また明日ねー。」

「あぁ、また明日。」


果たして、明日あたしはりょうと話せるのだろうか。当たり前だった。「また明日」って

言うのは。でも彼女ができたりょうと、今まで通り話せる自信がないや。


1人でむなしく帰っているとき、バッグの中に入れていた携帯のバイブが鳴る。


ディスプレイに表示されていたのは・・・


『村西 かい』の4文字。


どうしよう、出れない。


出れない・・・?何で、かいくんは友達のはず。出れるはず。


でも、中々指がボタンを押してくれない。


あ・・・、今日真悸に言われた言葉を思い出した。


あたしは、2人のうち1人を選べ、って言われたらどっちを選ぶんだろう。


んー。どうなんだろ。


悩み続けてるあたしは気づかない、この鳴り続けているバイブ音と。


2人の男の本当の気持ちなんて...。



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