好きだから
なか目線ですが、途中かい目線になります。
それでは、ごゆっくり♪
ー・・・
学校へ行く足取りが重い。
夏の鬱陶しい暑さから、首元が汗ばむ。
あのあと、かいくんとマツセンに怒られ
一緒に帰った。
お互い空気を読んだのか、無言だった。
そして今日。学校へ行くの・・・嫌だな。
りょうに会うのが辛いんだ。
彼女と、登下校してるのかな?
一緒にお昼食べるのかな?
手繫いだのかな?
キス・・・したのかな?
うつむきながら、そんなことを考えていたら
近くから、音楽の音が聴こえる。
あれ・・・どんどん近づいてくる。
「~~♪♪ あ、なかちゃん!」
その主はウォークマンを聴いてるかいくんだった。
「おはよう、かいくん。」
「昨日は大丈夫だった?」
「う、うん。結構、りょうの存在は大切だったからね。
急に彼女ができて驚いちゃったんだ。」
その言葉を聞き、かいくんは顔をしかめ言う。
「りょうに彼女・・・できたのかな。」
「え、何言ってんの~?」
「いや、ほら。明らかになかちゃんのこと
好きって感じだったし。」
あたしだって、そう思ったよ。けど・・・
「幼馴染って言ってるけどね、3年間会ってなかったし
高校入ってまだ数ヶ月。
あたしのこと好きになん―・・・っ!!」
自分の目を疑った。
あたし達の前を楽しそうに歩く、りょうとその彼女を
見つけてしまったのだ。
「ほ、ほら!やっぱり付き合ってたんだよ。」
「あ、そうだね。」
「かいくんっ!早く行かないと、
遅刻するよっ!?」
「・・・うん。(そんなこと言って。この時間なら遅刻するはずもないのに。)
ー・・・
ざわざわざわ
「じゃあ、りょーくん。また後でね。」
「おう。」
りょう達、今来たんだ。
一応イケメンなりょうに女がいると知った、
我がクラスの女子たちが騒いでる。
「うわー、ショック。うち、まじめに杉本くん(りょう)のこと
好きだったんだけどなあ~。」
「うちもー。でも、彼女いても、杉本くん好きなのには
変わりないからねっ><」
想いを伝えず、失恋って可哀想だな。
その頃、学校に着いたりょうを呼び出す
かいくんの姿があった。
~sideかい~
俺は、彼女といちゃいちゃ登校してきたりょうを
屋上へ行く階段に呼び出す。
「なぁ、りょう。お前さ、本気であのコのこと
好きなの?」
「そうだったら、悪いか?」
「お前さ、俺に言ったじゃねぇか。
『那華のことが好き』って。
あのキモチは嘘だったのか!?」
りょうはうつむきながら、髪を乱暴に
かき回し、ため息をつく。
「はぁ。お前は騙しきれねぇか。」
「・・・。」
「あいつが告ってきたから、OKしたのはな。
那華が好きだからだ。」
「は?」
「最近さ、かいと那華が仲いいの見て妬いてたんだ。
だから、俺が誰かと付き合えば那華のこと
忘れられるかなって。
でも無理だった。好きな女に泣かれると
キツいな。」
なかちゃんの気持ち知ってて言ってんのか?
大切な幼馴染のために、泣いたのによぉ。
「おい。そんな甘い気持ちでなかちゃんのことが
好きだとか、言うんじゃねぇよ。
・・・俺がもらうからな。」
そう言い、俺は教室へと戻っていった。
「・・・」