勇者一族は腑抜けている
勇者一族が集う一室に壮年の男が入る。
「勇者一族の皆様、この度はお忙しい中集まってくださり、感謝申し上げます。
私の名は、サナク=ラムベルドと申します。聞き馴染みがある方もいるとは思いますが、勇者様のパーティーで斥候をしていたラシム=ラムベルドの息子でございます。
今回は、勇者様から遺言を預かり、立ち会うようにと頼まれましたので、私が仕切らせていただきます。」
サナクと名乗る男の発言に、緊張が走る。サナクは、重苦しい空気など気にせず続けて発言を行う。
「早速ではありますが、遺言書の内容を読ませていただきます。」
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勇者一族は腑抜けている。
私の栄光にお前たちはいつまで縋り続ける?
私の潔白で無垢な正義をお前たちはどこまで汚し続ける?
お前たちの中には、私の栄光に縋るだけでなく、私達勇者パーティーの宝を私利私欲のために使おうとする者までいる。
私は今までお前たちに甘すぎたのだ。私の生涯で唯一の悔いとなった。
だから、決心したのだ。
私は勇者だ。お前たちに勇者の血が流れているのならば、戦え。遺産を欲するのであれば、戦って勝ち取れ。戦って、最後の一人になった者にこそ、私の、いや、俺の遺産を継ぐ価値がある。
――――――――――勇者 ガイウス=ライオット
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勇者一族は、混乱していた。当然である。勇者一族に優しく、争いを好まない彼が遺産が欲しかったら殺しあえと言っているのだから。
「……と、以上が勇者様からの遺産に関する遺言でございます。何かご質問のある方はいらっしゃいますか?無ければ遺産を巡る戦のルール説明に移りますが……」
サナクは、混乱している彼らなどお構いなしに話を続けようとする。
が、勇者一族のひとり、勇者の第1子のラカン=ライオットが疑問を口にした。




