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ヒロインと、ついでにヒーロー登場①

 始業式が終わり図書室に向かっているヒロインのメグと王子のヴァンス2人。

 そこでマリーは彼ら二人と会う。

 マリー初登場のシーンはこんな感じだった。


 やっと今日、私の本当の運命が始まる。

「えいえいおー」

 登校する馬車の中で私は小さく拳を掲げた。



「式が終わったら図書室に行くつもりだから、お昼前に迎えに来てちょうだい」

 私は登校に付いてきている馬車にいるパティに伝え校門をくぐる。



 私は始業式が催される講堂へと、すぐに向った。

 式が終わり次第、帰宅だなんて。

 非合理的すぎる。


 そりゃ、メグみたいに寮の方が楽ちんだよ。

 普段の授業がある日だって2コマだけで、午前で終わっちゃう。


 見栄のためか王族と公爵家・伯爵家くらいまでの多くが登下校をする。

 寮もアレだけど、両家の子女を同じ時間帯に登下校させるのもどうかしてるような。

 防犯的に。


 マリー昔の記憶によれば、この世界は平和だ。

 防犯とかあまり関係ないっぽい。

 彼女は自分の狭い世界にしか興味がなかったら知らなかっただけなのだろうか。


「まぁいっか」と、私は少し小高い丘にある講堂へ歩いて行く。

 敷地内は馬車ダメとかひどいー。

 せっかくなら講堂までドアtoドアが良いよーと思っていた。



「「お久しぶりでござます。マリー様」」

 私に声を掛けてきたのは美人の双子ちゃん。

 誰だっけ?マリー昔の記憶を探れば、彼女の取り巻きさんだった。


 いくらお貴族様の子女でも、私の未来には巻き込めません。

 だってギロチン行きたくないでしょう?


「おはよう、皆さま」

 私は無視することは好きじゃない。

 だから双子ちゃん挨拶を返すというより、周辺の人たちもご挨拶を。


「「!?」」ってなってる。 

 マリーさん、お友達いなかったみたいですからね。

 双子ちゃんという取り巻き以外。


 彼女たちからも敬遠されようと、私は『中二病を患う』ということも考えたの。


 マリー・アントワネットがやってたじゃない。

 頭に鳥籠付けたり、戦艦乗っけたりの髪型。

 あれをやれば「何この人、怖い」ってなって避けてくれるかなって。


 贅を尽くして中二病が出来ちゃうんだよ。

 でもメグとだけはお近づきにならなきゃいけないから、却下しました。


 彼女は人を見た目では判断しない子かもしれない。

 私生児ってことだけで、平民たちからすら見下されていたから。

 

 私の記憶が確かなら、彼女は父親の男爵の都合で認知を受けた。

 出自の理由から人を見た眼で判断するとは思えない。


 とはいえ私が見た目で判断しちゃうから、中二病を却下したの。


 中二病辞めなきゃよかったかな。

 そんな風に思いながら、まだまだ講堂へと向かう。

 

 

 と、遠い。


「ふぅ」丘からは美しい桜が。目の端にピンクが届く。

 体力的に呑気に眺めるんて、そんな余裕ないです。

 なんでこの世界に、この時期に咲いてくれる桜があるかは知らん。


 無事、講堂に到着。



 私は3年生の席の場所を確認しようと掲示板に向かった。

 流石マリーさん。

 皆から()()()()()()()()だけある。


 人波が私を中心に左右に分かれていくの。

 モーセが海にやったみたいに。

 今は海じゃなくて波といっても、人なのに。


 この世界も一神教だったけど、モーセは存在してないはずなんだけどな。


 モーセしつつ掲示板の真下に着くと「本当にこの女は」と聞こえてきたイケボ。

 目の端にキラキラが映った。

 もしかして?と、私は声の方を見た。


 私に苦情を言ったらしい相手はヴァンス王子のようだ。

 キラキラは彼の金髪が輝いているからではない。

 何故か知らないが、彼だけ勝手にライトに当たってる感じなんだよね。


 マリー昔はこれをオーラと呼んでいたっけ。


 キラキラオーラの彼は、私を嫌っていた。

 だから私に話しかるってことは無いだろう。

 コイツは無視しよう。


「良いんです殿下」

 と、キラキラを慰める落ち着いた綺麗な女性の声の主。

 ヒロインのメグだった。


「メグ嬢、もしかして私に何か仰って下さったの?」

 私はメグに声を掛けた。

 長い黒髪と黒曜石の瞳が印象的だ。


「席は扉を入って右手側が3年生の場所ですと、お伝えしたかったのですが……」

 メグは困ったように小さく首を傾げながら答えた。

 流石ヒロイン。かわいい。


「あ、そうだったの。メグ嬢、教えてくれてありがとう。

 後ろの方に座りたいから、先に失礼するわ」


 メグの可憐さにうっかりオタクのアレをしそうになるも我慢。

 私は2人に笑顔を残し講堂に入るため掲示板と2人に背を向けた。


 瞳孔開き気味にメグの良さを、彼女本人に早口でまくしたてなかった私。

 頑張った私は、小さくガッツポーズをし空いている席へと向かった。


「ちっ」

 なんか不満気な人おる。

 何が不満かわかんない。

 とりあえず、去り際に私はヴァンス殿下にもにっこり微笑んでおいた。



 さて、偉そうなおじさんがお話しするだけタイムはすぐに終了。


 どうしよう、今朝二人に会っちゃったから図書室に行く必要は無くなっちゃった。

 お迎えが来る時間まで、図書室で勉強でもしましょうか。

 マリー昔、授業全く聞いてなかったもん。


 私に授業が必要かは分からない。

 とはいえ、フルーム国について分かるかもしれないから。

 あと福利厚生についてもハラスメント父上からせっつかれてた。


 待ち時間もあるし、私は図書室へ向かう事に決定。


 

 

「んー、量のわりに大した事なさそう?」

 なんというか、この国やこの世界について書籍があまりにも少ない。

 そもそも本が平置きだし。


「まさかと思うけど、設定ゆるゆる世界だからなんてことないよね……」

 どうやら当たっていたらしい。

 思いのほか『東方』の小説や歴史物なんかが大量にあるもん。


「嘘だよね」

 じゃあ、マリー昔の記憶は何だろう。

 さっき会ったばかりのメグや、パティなんかの過去は嘘?

「そんなはずないよね」


「きっと『東方』の文化の影響を強く受けているだけ」


 やたらと色遣いの華やかな、東方の衣装という物が目に入る。

 ぱらぱらと捲ってみた。


 俯き加減だったからだろうか。

 レディにあるまじき行為、鼻水垂れてきたんだけど。

 んんっ?涙も!?

 

 まさかと思うけれど私はこっちでも花粉症なの!?

 なんて誤魔化しても無理だった。


 私は、しゃくりあげたくなるほどの悲しみが突然襲ってきてしまったのだった。

若干長くなりましたので、今回は2話に分けてみました

次は10分後にアップされます

同時間にアップの予約をしないほうがいいかなって。いう、チキンの言い訳的に10分後

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