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ハツシモのナワバリは果ての木のすぐ近くだ。

この間みたいにあちこち寄り道をしなければ、今からなら昼には着くだろう。

すっかり仔ネズミと仲良くなったリクオルは、ちょこんと頭の上に仔ネズミを乗せている。

しかし、なんだろう、このファンシーな生き物たちは。


「ジェルバちゃんに任せておけば、もう大丈夫だよ。」


リクオルにそう言い聞かせられて、仔ネズミは全幅の信頼を寄せてます、って目をこっちに向ける。

・・・眩しい。


「けど、あんなとこにネズミの巣穴なんてあったかな・・・」


「あのね、ボクのお家は木の中にあるの。」


「木?」


「そう。おっきな木。」


「おっきな木って、もしかして、果ての木?」


「ううん。ハテナの木、じゃなくてね。

 むぅすてっら、っていうんだよ。」


「それって、古い言葉で、ねずみの国、って意味だね。」


リクオルの説明に、へえ~と感心する。

そういう妙なとこ、リクオルは物知りだ。


果ての木に近付くと、仔ネズミは、ああ、そうそう、ここだよ、と興奮したように叫んで、いきなりリクオルの頭から飛び降りて走り出した。


「あ、ちょっ、待って。危ないよ?」


まあ、フクロウはこの時間は眠ってるだろうし、狐や山犬は人間のいるところには出てこないかもだけど。


仔ネズミはまっしぐらに果ての木にむかって走っていく。

と、どこからともなく、わらわらと大量の山ネズミが湧きだしてきた。


「げ。ネズミの大群。」


流石にそのなかへ突っ込んでいく気にはなれなくて、わたしはそこで足を止める。

と、大群のなかから代表のような山ネズミがひょいとわたしの目の前に飛び出してきた。


「どうも、うちの仔がお世話になったようで。」


「昨夜、フクロウに攫われて、一族総出で森のなかを探しておったのです。」


副代表のネズミが隣で続ける。

と、辺りから口々にネズミたちが話し出した。


「どうも有難うございました。」


「うちの大事な仔を助けてくださったようで。」


「これはちゃんとお礼をせねば。」


「是非ともネズミのお家にいらしてください。」


くりくりしたお目目をきらきらさせて、みんな一斉にこっちを見上げている。


うわー。

このネズミさんたち、みんなしゃべるんだ。

しっかし、この場所ならもう何度も来ているのに、こんなネズミに会ったのは初めてだよ。


「いやいや。でも、ネズミさんのお家には流石にわたしは入れないかと。」


大きさが、ね?


「あ。そんなことは、このオレがいれば大丈夫。」


とのたまったのはリクオル。

え?いや、ちょっと、ま・・・


拒否する間もあらばこそ。

リクオルのかけた魔法で、わたしたちはあっという間にネズミサイズになっていた。






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