赤髪の友人と護り鍵の子
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ヴァンドール王国物語
—この話をする時に、私はいつも私が話しているのか、そうでないのかを考えます。
私は大智者の操り人形であり、代わりに話す無力な存在でしょう。大智者は物語を書いているのです。我らはその紙に染み込んでいるインクに過ぎません。それでいて、私は私自身にも何か特別な意志が存在して、大智者の力の及ばぬところで今こうして話すことを成し遂げているのだとも信じたいのです。
大智者よ、
もしこれが私自身の言葉であるなら、私の存在を許してくださるのなら、
不幸なあなたの書くこの物語が、ささやかな幸せとともに続きますように。
【登場人物】
★ラン
爺やと共に城下町を訪れた少年。赤髪。内向的な性格。
★ムラェラ・サナ
近衛兵団兵士、第四部隊所属。兵士としての誇りと強い責任感を持つ少女。
★シーク
サナになついてお供する“風駆けフォトゥルク”。鋭い鈎爪と鬣を持つ。
気高く頑固な性格だが、主人と認めた人間は背中に乗せて飛んだり甘えたりする。
★ジェイ
裏社会を牛耳る暗殺組織の暗殺者。投獄されていたが、動乱の最中、行方をくらます。