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スライム討伐

俺が、アサルトボアを収納していると、リコが笑顔で近づいてくる。

とても嫌な予感がする。


「元気でやっているようですわね。」


「お断りします!」

俺は速攻でお断りする。


「まだ何も言っておりません!」


「では、何も頼むことは無いという事で、よろしいですかな?」

俺は警戒心をむき出しにする。


「いつもと口調が違いますわよ!?話を聞いてくださいませんか?」

多分厄介ごとだ。でも話だけは聞いてみるか。


「・・・・話してくれ。」


「スライムの討伐をお願いしたいのですわ。」


「スライムか、また厄介な相手だな。ここで話を進めるか?それとも戻ってからの方が良いか?」


「一旦戻って、ゆっくりとおはなししたいですわ。」

一旦戻ってか。俺が逃げられないようにしている気がする。

でも、しょうがない。戻るか。


街に戻り、魔物を引き渡すと、リコが切り出す。


「森の沼地にスライムが居るのですが、誰も狩ってくれず困っておりますの。前までは遠距離から魔法で倒しておりましたが、今は、魔法耐性を持つスライムが増えてきております。ハルトに討伐をお願いしたいのですわ。」


「魔法が効きにくいのは分かったけど、近接戦闘を出来る人は他にもいるんじゃないか?俺だけじゃなくみんなで対処出来れば助かるんだが?」


「戦闘職が得意な方は、ブラック領に引き抜かれて、あまりいないのですわ。」

確かに、この領は魔法使いが多い。

近接職は男が多く、魔法職は女が多いため、ここのギルドは女性率が異様に高い。


俺は、剣士のお兄さんに視線を向ける。

剣士は俺の視線に焦りだす。

「お、俺はダメなんだ。あの体液がもう受け付けない。あの体液が気持ち悪くて近づけないんだ!それに服も鎧も剣も駄目になっちまう。」

そう、スライムは服、鎧、武器を腐食液で溶かす。

女性の敵とも言われ、厄介な存在だ。


さらにスライムの討伐報酬は安い。

スライムは体液ごと回収できれば報酬は良いのだが、大体倒すと四散して中心の核部分しか回収出来ない事が多い。


ぬるぬるの服解け体液。

安い討伐報酬。

この2つの理由でスライム狩りは不人気だ。


「わ、分かった。やってみるけど、どこまで倒せるかは分からないぞ。」


リコと受付嬢は深々と頭を下げる。


ハルトが出かけた後、リコは安堵する。


「これで一安心ですわ。」


「リコ!お手柄ね!」

受付嬢がリコを褒める。


「いえ、これからです。すぐにハルト用フル装備を用意します!長く続けてもらわないといけませんわ!」

リコは準備を進める。






【沼地】


沼地へと向かうと予想以上の光景が広がる。


「これは予想以上だな。」


1体見つけたら100体は居ると思えと言うのがスライムだが、これ1万以上いるんじゃないか?

スライムは放置すると2倍、4倍、8倍と増えていく。


目の前には、異常繁殖したスライムの群れ。


「やってみるか!」


スライムを包丁で切りつけるとスライムは風船がはじけるように四散した。

俺の体が体液まみれになる。


「これはみんな嫌がるよな。」


魔法を寄与した服が溶けていく。


服が溶けるのを無視して何体かスライムを倒すと、群れで俺にタックルを仕掛けてくる。

俺に斬られ、突かれるとスライムは四散して俺に体液をまき散らすが、うまく倒すと四散せず素材を残したまま倒すことが出来た。


うまく行った時と同じ感覚を意識して核だけを素早く攻撃!


何度もスライムを斬り、突き倒していった。


気づくと熱中している。


装備が駄目になるまでスライムを倒し続けた。


街に戻ると、リコが巫女服を着ており、俺に『奉納』と書かれた木の箱を渡した。

そこには5セット分の制服、靴、下着、包丁が詰め込まれている。



気を使ったつもりだと思うけど、奉納の文字がおかしい。

子供が描いたような汚い文字だ。

そして巫女服はミニスカートのように足を出さないんだ。


だが、せっかくもらった奉納木箱だ。

全部だめにするか、スライムを全滅させるまで頑張ってみるか。


服に袖を通そうとすると、装備に防御の魔法が施されていることに気づく。


「これ靴も服も魔法寄与してあるな。高かっただろ?」


リコがこくりと頷く。


サイズも俺にぴったり合わせられている。


「また行ってくるぞ。」


リコは一切口を開かず、こくりと頷いた。

・・・巫女の真似か?

ヤマトの文化を色々勘違いしてるぞ。




【沼地】


スライム討伐が楽しみになっていた。


何かを掴みかけている。


スライムを倒すことで何かを掴める気がする。


幸いスライムは、問答無用で体当たりを仕掛けてくる。

立っているだけで向こうから向かってくるので討伐自体は楽だ。


包丁の練習にもステータスレベルを上げるにも悪くない相手だ。


もっと速く!


もっと無駄無く!


成功した時の感覚を思い出して力を抜く。


スライムを倒した瞬間、


『包丁レベルが5から6に上がりました。』


『包丁スキルが強化され、二刀流が解放されました』


俺は二刀流の解放と同時に両手に包丁を握る。


タックルしてくるスライムすべてを、四散させず倒す。


二刀流に進化したことで、体の向きを変えたり、位置取りをする動きが減る。


前よりも疲れずに包丁を振るえるようになっていた。


俺の前にひときわ大きなスライムが姿を現す。


「ボスか!」

ボス、それはレベルとは違う軸の進化を遂げた魔物だ。


普通の魔物との違いはしぶとさだ。

ボスは体が肥大化し、通常の魔物と比べ10倍の生命力を持つ。


包丁で何度も何度も斬りつける。


「ん?」


動かなくなった?倒したのか?



・・・・・



倒したな。あっけない。


ハルトは気づいていない。

料理スキルの回復効果でありえないほどの魔物を短期間で倒し、覚醒し、大幅に強くなっていることに。


そして職業スキルレベル5の時点で、かなりの実力者、レベル6は壁を突破した者としてさらに一目置かれる。


そして、さらにスライムが居なくなるまで狩りを続け、急速に力をつけた。








俺はギルドへと戻った。


「スライム狩りは終わったぞ。」


「お疲れ様ですわ。」


「スライムの素材はいつものように裏に出して置けばいいか?」


「そうですね。お願いしますわ。あ、冒険者ランクですが、EランクからDランクに上げられますわ。」


「上げない方向で行く。」


冒険者ランクはF~Sまであるが、Fランクは研修期間の初心者マークのような物なので実質Eランクが最低となる。

ランクをCまで上げてしまうと、国の招集に応じる義務が発生する。

現状スライムの大量発生という危険な任務でも普通にEランクで受けられるので、ランクを上げるメリットは一切ない。

ホワイト領のギルドはかなり基準が緩いのだ。





ハルト 男

レベル 25

職業 中級料理人

ノーマルスキル

経験値上昇・超 レベル10

職業スキル

包丁    レベル6

料理    レベル6

ストレージ レベル4

感知    レベル3




リコは驚愕した。


すでに兵士の隊長クラスと変わらない能力を持っていたのだ。


私と同じ年でレベル25!

戦闘職の場合、大体レベル20でCランクの実力者とみなされる。


しかも職業スキルレベル5の壁を突破している!


まさか!

リコは急いで解体室へと向かう。


そこには体液を保持したままの大量のスライムが積まれる。


武器レベルが低いとスライムを四散させ核の部分しか回収できない。


だが、ハルトの包丁レベルは6,体液を保持したまま倒すことも可能なのだ。


「ふぇ!こんな量の体液の納品は初めて見ましたわ。」


ギルド員がストレージ回収を終えると、ハルトはさらにスライムを取り出す。


そこにはひときわ大きなスライムが置かれる。

「ボスクラス!ハルトが一人で倒されたのですか?」


「そうだな。ただ、すぐに動かなくなったから弱ってたんじゃないか?」

絶対に違う!

ハルトが余裕で倒したに決まっている!


通常はパーティーを組んで討伐するボスクラスを余裕でソロ討伐したのだ。


ハルトの急成長の秘密。

それは、

成長率5倍。

さらに自身の料理スキルによる自炊によって、回復力を増加させる回復ブースト。


この2つの能力で異常な成長を遂げている。


「先が楽しみですわ。」


「ん?何か言ったか?」


「いえ、何でもありません。独り言でしたわ。」




最後までお読み頂きありがとうございます!ここまで少しでも、ほんの少しでも面白いと思っていただけた方はブクマ、そして下の☆☆☆☆☆から評価をお願いします!

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