テイカーの失敗続き⑦
王との会食後
テイカーは不機嫌となった。
ブラック領の3つの問題を解決する羽目となり、さらに監視までつけられたのだ。
ち!ジークと言ったか!
やりづらい!
しかも会食中にこの俺の話を遮り王城を追い出されたのだ。
大貴族である俺に対する対応が間違っている。
テイカーはイライラを抱えたままブラック領へと帰還した。
帰還し、一夜明けた朝。
ジーク、奴がやってきた。
「学園の学費の見直しを行う。今から学園に来て欲しい。」
「ち!世話の焼ける!」
ジークの監視の元、費用の見直しを行ったが、ジークはさらに口を挟んでくる。
「待て、今まで多くとっていた分の学費を払い戻すのだ!」
「はあ!なんでそこまでしなきゃならない!学費に納得できなければやめればいい。それだけだ。」
「それは払い戻しを拒否するという事か?王に報告するが、問題無いな?」
「ち!分かった!部下にやらせる!」
こうして無駄な出費が増えた。
まったく、ジークの奴め!
「次は囲い込んだ女性の解放だ。」
「くそ!分かった。」
解放しようとするとまたジークが口を挟む。
「待て!女性に迷惑料と避妊魔法の解除処置をするのだ!」
なんだこいつは!
女を諦め、さらに金まで払わせるのか!
くそくそくそくそ!
こうして多くの金が消えた。
「次は難民の多さと死亡率だが、魔物狩りの頻度が足りないな。」
「うるさい。」
「何か言ったか?」
「うるせーんだよ!口ばかり出しやがって!俺が管理しておけば問題ねーんだよ!」
「しかし、王より改善の命が出ている。対応が必要だ。」
「俺の考えがあるんだよ!黙っていろ!」
「このままでは王に報告することになる。その前に自ら対応する姿を見せて欲しい。」
「ああ!お前は俺の有能さが分からねーのか!黙ってみていろ!この無能が!」
テイカーは机を叩きつける。
「報告に行けばいいだろ!邪魔ものが!お前が居なきゃとっくに解決してるんだよ!」
ジークは王に報告した。
王はため息をつく。
貴族はプライドの高いものが多く世話を焼く。
特にテイカーはひどい。
自身では何もせず、手柄を求め、他の者のやる気を削いでいく。
「分かった。後はこちらで処理する。このまま王都の任務に戻れ。ご苦労だった。」
王は周りの貴族が足を引っ張ってくるせいで露骨にテイカーを潰す行動が取れなかった。
周りの貴族は王の力が増す事を嫌う。
王がテイカーを簡単に処分出来るという事は、他の貴族も王が簡単に処分できるという事になる。
そういえばハルトが言っていたな。
テイカーを動かすにはプライドを刺激するのが良いと。
ホワイト領とブラック領で競わせてみるか。
これでテイカーが致命的なミスを犯してくれれば処分しやすくなるな。
王は周りの貴族の影響で回りくどい方法しか取れなかった。
ホワイト領とブラック領の魔物納品対決はうまくいった。
王は上機嫌だった。
対決させると、面白いようにテイカーは魔物狩りを始める。
しかもブラック領から寄付まで貰える。
これは使えるな!
テイカーは余計なことをせず民の為に魔物を狩る。
寄付によって王都の民を救うことも出来、更にろくなことをしないテイカーの資産を減らすことで動きを制限できる。
テイカーは追い詰められていた。
くそくそ!
ホワイト領のやつらめ!
調子に乗りやがって!
ブラック領とホワイト領の魔物狩り対決は、ホワイト領のポイントが優勢のまま進んだ。
毎朝王都のギルドに対戦ポイントが張り出され、ブラック領はホワイト領のポイントに追いつけないまま時間が過ぎる。
・・・・・そうだ!冒険者に狩らせよう!
冒険者に依頼を発注し、取れた魔物の素材を王都に納品すれば良いのだ!
ふ、資金力のないホワイト領にはマネできまい!
こうして、金に物を言わせてブラック領が勝利を収めた。
だが、ブラック領は多額の資産を失った。
次はポーション対決か。だがこのテイカー様が勝利する!
ポーションの増産指示を無視するテイカーのプライドを刺激し、ポーションの生産量を増やしてもらう王の意図があった。
だが、テイカーはポーションの増産をせず、別の手を使う。
簡単に勝てる。
何故なら金で解決できるからだ!
「おい!お前!大量のポーションを買い占めて王都のギルドに納品しろ!」
「直ちに任務を遂行します!」
だがすぐに問題が起きる。
ポーションを買い占めた為価格が高騰したのだ。
「王都に大量のポーションが売られていますが、値段が3倍以上に高騰しております。このまま購入を続ければ多額の資産を失います。」
王はテイカーが納品したポーションをすぐさま高額で店に並べる。
ポーションの増産を再三無視するテイカーに怒り、資産を消耗させようとしたのだ。
「購入を続けろ!このまま購入を止めれば格下のホワイト家に惨敗してしまう!」
「任務を遂行します!」
これにより資産を失いつつテイカーは勝利する。
上機嫌となったテイカーは次の手を打つ。
そうだ!今度はハルトを倒そう!
俺は大きくレベルを上げた。
あいつの卑怯な手などもう通用しない!
謁見の間でテイカーは言う。
「次はブラック学園とホワイト学園対抗の親善試合を行いたいのです!」
「ホワイト学園は戦闘職が少なく規模も小さい。ホワイト学園に不利ではないか?」
王の問いかけの答えは用意してある。くっくっく。
「何、ただの親善試合です。治療代やその他すべての費用はこちらで持ちます。」
「なるほど!治療などの手配はこちらで行うが、費用をブラック領に負担してもらいたい。後で治療したしないでホワイト領とブラック領でもめられても困る。」
「分かりました。更に公平を期すため、使用する武器は対戦リングの横に置き、そこから選ぶ方式にしたいのです。」
「分かった。ではテイカーは残れ。二人で話を詰める。」
リコが退場する。
「公平を期すため武器はこちらで用意する。」
くっくっく。予想通りだ。
テイカーは武器のリストを取り出した。
「包丁が無いが?これはハルトに不利ではないか?」
「ナイフを使えば良いのです。」
「あまりにも都合が良すぎる!認められぬ!」
予想通りだな。
「では,1000億ゴールドを王に寄付いたします。その代わり包丁は無しにしていただきたいのです。」
王は考え込む。
「2000億でどうでしょう?」
テイカーはすでに金の感覚がマヒしていた。
自身のプライドの為に資産を失っていく。
「・・・分かった。試合開始まで用意出来たら条件を飲もう。」
テイカーの策略により、ハルトVSテイカーの戦いが始まろうとしていた。
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