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3.推理と独白時間

「はぁ…」


 家に帰ってすぐ、自室へと入っていく。


 いつも通りの日常。学校へ行き、妄想へと落ちていき、教師と対立し、昼食を食べて、本を読む。午後からまた教師と対立し、妄想に浸る。


 …いや、一つだけいつも通りではなかったか。


 自分の部屋で昼休みの事を思い出した。


 今後あの天国のような閉鎖空間に僕の平穏を乱すような人間が来ると考えると今から憂鬱になってくる。新しい僕の食堂を探さなければ。


 いや、そもそも僕があの教室を離れる必要はあるのだろうか。与一は僕よりも遅くあの教室を見つけたんだ。それなのにあの教室に居座る。果たしてそんなこと許されるのだろうか。いや、許されることではない。


 そもそもあの教室は今となっては僕の教室なのだ。埃まみれで、カビまみれで、菓子袋まみれで、落書きまみれで、ゴミまみれで、蜘蛛の巣だらけだった汚かった教室を、あそこまで綺麗にした僕にはあの教室を私有地にしていい権限があるはずだ。

 いや、本気でそこまで思っているわけではないのだけれど。


 話は変わるが、あの教室はなぜあそこまで退廃しきっていたのだろうか。まぁ時間の流れというのが大半なのだろうけど。

 何せあそこにあったポテトチップスのゴミに書いてあった消味期限は三年前だった。という事は、少なくとも作られてからと考えてれば四年前のものになる。

 四年もあれば荒廃し、残骸、教室という形骸だけを残した部屋になっても仕方がない。


 例えば夏休みという一か月ちょっとの期間。そんなほんの少しの時間でも、放置していればすぐに埃まみれになってしまう。

 単純に考えてそれの十二掛ける四で四十八倍の汚れが溜まっていたのだろう。あの教室の第一印象はここだけ時代にとり残されたのか。だった。


 ほとんど廃屋。


 僕は汚さが許せないとまでは言わないが、ある程度は綺麗にしておきたいタイプの人間だ。それに加えてあの教室は僕がご飯を食べるところなので、綺麗にしておきたいと思うのも当たり前だろう。


 そしてあの教室は与一も言っていた通り、あの教室は清掃区域ではないのだ。だから退廃していたのだろう。

 なので、僕はあの部屋を三週間かけて掃除した。全く、与一も箒で掃くぐらいの労力でどこかへ行ってほしい。


 それにしてもなぜあそこまであいつは突っかかってくるのだろうか。突っかかってくるにしてももっとやり方があると思うのだが…。


 いや、例えどんな話し方をしたとしても僕は取り合う気は全くない。


 一番気になるのはあんな性格でよくクラスの人気者になれるなって所だ。

 あれだけ人と話をするのが不向きな性格をしているのに、なぜあいつの周りには常に十人以上の与一教狂信者がいるんだ?

 周りの人間は馬鹿なのか?それとも僕にだけあんなに自分勝手なのか?


 カリスマ芸能女性からの特別視。普通だったら嬉しいのかもしれないが、僕からしたらここまで心の踊らないことはない。

 僕にだけお嬢様気質って。どんな人生を歩めば特定の人には自分勝手にふるまっていいっていう思考回路になるのだろうか。


 …なんかものすごい時間の無駄をしたように感じてきた。考えるだけ無駄だった。というか、頭の中の思考が飛び飛びになってしまったせいで最初に何を考えていたかも忘れてしまった。


 一人で思考を巡らせると、こういうことがあって仕方がない。というか途中で与一にかなり毒を吐いてしまったな。まあいいか。


 うん、そうだな。あんな嫌な女の事を考えても仕方がない。今日はもう寝よう。

自分の部屋で考え事するよね。あるある!

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