29.初代コンプレックス
「さて、じゃあ葦名くんは凡とはーちゃんと同じ前線に出るポジションで頑張ってね」
「あ、そのポジションなんですね。頑張ります」
「といっても毎日の実践と筋トレちゃんとやってね。知能も筋肉も足りてないから」
「はい…」
「んじゃまた」
そう言って無二さんは階段で上へと上がっていく。やっぱり1人ではエレベーター使えないのか。
「さて、今日は休んでもいいよ。明日から筋トレとか実践やっていこうか」
「…いや、今日からお願いしていいですか?」
「え?別にいいけど、どうしたの?」
「自分を変えたいんです。今まで先延ばしにしてきた分、頑張らないといけないんです」
「うーん、あんまり焦ってもよくないと思うけど…その心意気やよし!じゃあ手合わせでもしてみるか?」
「いや、流石にそれは…」
いや、確かに貴重な経験を得られるだろうが、こんな平々凡々な状態で凡さんと戦ったら確実に死んでしまう。
「冗談だよ。まぁ、今後2週間は筋トレだな」
「分かりました」
「あんまり根詰めるなよ。俺は自分の部屋で筋トレして来るけど、トレーニングルーム自由に使っていいから」
「ありがとうございます」
テストを行った会議室を後にし、トレーニングルームへと向かう。途中間間さんに会いテストの結果、配置などの多少の雑談を挟んだ。
「頑張ってね。1番 怪我が 多くなると 思うから」
「死に直結しなければ大丈夫です。それなら生き残れるかもしれないんで」
「ふふっ。そんなこと 言って 結局 その時が 来たら 怖くなっちゃうんでしょ?」
「うっ」
「『痛いところを突かないでくれ』って?でも 言わないと 再認識 出来ないでしょ?」
「ごもっともです…」
「じゃ、また今度。私は 仕事が あるからさ」
さて、今日から頑張ろうとは言ったものの何をしようか。
取り敢えずあるもの全部やっちゃおう。えっと…エアロバイクにベンチプレス、ラットプルダウンなど様々な種類があるから全体の筋肉をつけられるだろう。
二時間近く続けると流石に体が疲れてくる。水分を取っている所に、仕事に行ったはずの間間さんが来る。
「お疲れ様。どう?まともに 努力してみる のはさ」
「…かなり、きついです」
「だろうね。全部 やってるみたいだし そりゃそうなるさ。まぁ、それくらい しないと 皆と 同じレベルには なれないかも ね」
「そういえばここにいる皆ってどうやってあんなに強くなったんですか?」
「ん?そりゃあ 地道な トレーニングさ。最初から 強いとか 強くなるための 近道なんて ないからね?」
心を見透かされたようで、にやにやしながらこちらを見てくる。いや、確かに安直な考えだけど。
「あ、そうだ。初代ちゃんに ついて 話したいことが あったんだ。あの子の 名前は できるだけ 聞かないで ほしいな。何でって?あの子が 聞かれたくない からだよ。あの子は 名前が コンプレックス なんだよ」
「コンプレックス?」
「うん。まぁ、そこは あの子の方が 話したくなるまで 待ってほしいんだ。お姉さん からの お願いさ」
成程、だから名前を聞こうとしたときに間間さんは入ってきたのか。
「いや?それは偶然さ。偶々徒然だったからさ」
偶然だったらしい。




