21.仲間思いと諭された精神
「あぁぁああぁぁぁ!?」
え、いきなり離す!?うわっ、死が間近!怖えぇえ!
突然の事にとりみだしたが、そこで凡さんに空中で抱き留められる。
は?ここまだ三階あたりの高さがあるぞ?この高さまでジャンプできるのは完全に人間をやめている。
「ほら、じたばたするなって!あの木に移るぞ!」
凡さんが壁を蹴り、横っ飛びで木へと突撃していく。がさがさと草や枝の中に突っ込んだ。
五階から落ちたが助かったのは、凡さんのフォローと、上にいる二人の少女(約一名性別不詳)のおかげだ。
…いや、その性別不詳のせいで五階から落ちそうになるという状態になったのだが。まぁ、助かったので良しとしよう。とはならない。
流石に落とされたのは根に持つぞ?僕の性格的にとっても根に持つからな?100年たっても思い続けるからな?
この言い方は間違っているか。
「…ふぅ。いきなり大変な事になってるみたいで」
「迷惑かけて申し訳ない…」
「いや、嫌みじゃないよ。単純なねぎらいだ。異能にされたんだろ?」
…どう言うべきか。おそらくあの人のぶっ飛び方はNo-nameかDABだろうけど。初代さんの知り合いだしNo-nameの人かな。
いや、でも二色とかいうDABの子供とも関りがあるから、もしかしたらDABかもしれない。
「うーん…」
「その悩み方だと、無二さんにやられたか?ほら、間間さんと背格好一緒の人」
「はい、そうです。何で分かったんですか?」
「元からあの人はそういう人だからさ。…はぁ、本当にあの人は人の心が読めないんだから」
「間間さんと正反対なんですね。間間さんは異能レベルの読心術持ってるのに、無二さんは心の内が読めないなんて。まるで合わせ鏡の三枚目のようですね」
「ごめん其のたとえはわからないや。俺は頭使うより体使うタイプだからさ」
突っ込み待ちでおどけてみただけだったのだけれど、頭が良いように見えたのならまぁ良いことにしよう。
「さて、無二さんがいるってことは何かとんでもないことが起きたんじゃないの?」
「え、なんでわかるんですか?」
「いや、あの人基本的に部屋の外には出ないで部屋にこもってるんだよ。部屋の中で何をしてるのか分からないけど、部屋から出るとしたらNo-nameの誰かが危険な状態の時だけなんだよ」
なるほど、無二さんは仲間思いな人なんだな。仲間のためなら自分を犠牲にできる人なのか。
さっきまでの認識を改めなければいけないかもしれない。
人の心がわからない、頭の悪い、ぶっきらぼうな人だと思っていた。
「そういえば、どうしてここに戻ってきたんですか?」
「いや、今日は無二さんが部屋の中にいないから、何かあったんだと思ってさ。ある意味無二さんはうちのチームの危機のバロメータだったりするんだ」
「へぇ…」
「でも、まさかあんな状況になってるとは思わなかったけどね。まぁ君は生にしがみつくタイプだから、それを考えたら別に不思議なことではないか」
「結構言いますね…」
「え、俺言ってた?ごめんね、あんまりそういうところ分からなくて思ったこと言っちゃうんだよね」
「いや、別に大丈夫ですけど。自分の事を抑えると生きずらいですしね」
「まぁ、それが自分の悪いところを変えなくていい理由にはならないよね。そういう所を曲げちゃう奴らが自制できずに悪人に近づいていくんだと思ってるしさ。」
…ごもっとも。ごもっともすぎて心に刺さってしまう。直接僕に対して向けられた言葉のように感じてしまう。
自分の悪いところを直そうと考えるだけで実際には直していない僕は将来悪になってしまうのだろうか。
いや、そもそも根っこから悪なのか?
もしかしたら間間さんはそこまで見透かしてあんなことを言っていたのか?
…いや買いかぶりすぎか。




