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18.静かで雄弁な狂気

「…まず初めに、私が普段は外さない銃を外した事、身体能力が異様に低下していたことから、身体能力を下げる異能を疑いました。まぁそう仮定したとして、発動するためのトリガーは何か?多分あなたの声を聴くことでしょう。あなたの声を聴いてから、私の体は動きにくくなった。それに加えて衣君が尻もちをついたという事は恐らくいきなり勝手の変わった体について行けなかったんでしょう。」


 罰点がいきなり大仰に驚いたふりをして拍手する。まるで小さな子供を褒めるかのように。いや、僕が転んだのはヘタレだからじゃなかったのか…。良かった。

 自尊心があるがゆえの安堵がそこには転がっていた。自尊心を捨てるべく、昔の自分と向き合うべく、ここに来たはずなのに。


「これで終わりじゃないですよ罰点の方。早とちりし過ぎです。黙って聞いていてくださいよ」


 と初代さんが暴力的な言葉で拍手を制する。束の間の静寂。静寂もつかの間。話を続けた。


「さて。ここで一つ疑問が生じます。生まれなかったらただの馬鹿です。もし予想通りの異能だとしたら、私は馬乗りを返せなかったはずです。時間経過とともに衰弱するにしても、一気に衰弱させるにしても、ただ衰弱しただけの体では馬乗りの状況を返すのは不可能だと考えました。という事は?衰弱はしない、思考能力はそのまま。それなら?」


 少し勿体ぶって、初代さんは自身の口の前で人差し指を立てる。そして最終的なものであろう考えを口に出した。


「恐らく、あなたの異能は自分と同等の身体能力にする異能でしょう?」


 少し意地悪な言い方をする。いや、確かにそれなら今までの辻褄が合う…のか?少し考える。いやいや確かにその異能なら先の初代さんの考えは通る。が、罰点はあんなに動けるんだ。それなら僕はいつもより動けるようになっているのではないか?

 試しに軽くその場で跳躍してみる。…むしろジャンプ力が下がっているような気がする。やはり衰弱する異能ではないのだろうか。


「名前がわからないので罰点さんと呼ばせていただきますね。さて、罰点さん。ここで一つ疑問が生じます。もしこれが正解だとしたら、私の筋力は上がっているかもしれませんよね。あんなに素早く的確な動きができるような男の人の体ですもん。それなのに、むしろ下がっている。普段より格段に動けない。しかしこれは衰弱するという異能へのミスリードですよね。ね?罰点さん」


 そういう初代さんの声はどことなく楽しそうだった。重厚な謎を解いているかのような高揚を感じているのでは?この命のやり取りが楽しいのではと感じてしまうような話し方だった。


「あなた、頭が良いだけで、技術が高いだけで。普通の人より弱いでしょ?」

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