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11.超身体能力と因果関係

 何の因果関係があって連続させたのかと聞かれると、別に意図して連続させたわけではない。

 ただ起きたこと、目で見えたことを並べたらそうなってしまっただけだ。決して扉に手を掛けたから窓が割れた訳ではない。


「ごめん!待った?」


 割れた窓の先にはスポーツが得意そうな男が立っていた。いや、ここは六階だぞ。いや、正確に言うとここは五階だ。

 いやいや五階だからなんだ?いくら一階下がったからと言って窓の外に立っているというのは自分の目を信じられない。普通に無理だ。


「凡!本当にどこに行ってたの?」


 そう言うと初代さんは手に持った銃を腰に戻す。銃を用意するのが素早すぎないか?そんなことを考えているうちに、凡さんが窓の外から僕を一瞥し、教室の中に入ってくる。


「ちょっと野暮用があってさ」

「じゃああらかじめ連絡してよ!同じ隊になったときに連絡先教えたでしょ?」

「あぁ…えーと、連絡先がさ、」

「うん」


 妙に凡さんの声が震え始める。何かあったのだろうか。


「消えちゃってさ。」

「なんで!?」

「電話しようとしたらなんか勝手に消えちゃって。」

「勝手には消えないよ?」

「ごめんって!」

「…はぁ。まぁ消えたものは仕方がないよね。後で連絡先教えるから今度は気を付けてね!」

「はい…。でも連絡先ってどうやって登録するのかあんまり良く解ってないんだよね」

「前教えたじゃん!なんで機械的な事だけ覚えてくれないの?」


 目の前で繰り広げられるドタバタコメディ。ここまでにして貰いたいものだ。

 初めこそ見ていて楽しかったが、窓から来た男がいきなり仲良さそうに話を始めるのは情報量が多すぎてそろそろ説明が欲しくなる。


「あ、あぁそういえばその子誰なの?」


 話を逸らそうと僕についての話を始める。


「そういえばって…はぁ。この子はこの学校の子。やっぱりここの校長先生異能持ちだったよ」

「やっぱりそうだったか…。で、どこにいるの?」

「教えない。教えたら絶対そこに行くでしょ」

「いや、ちょっとお邪魔するだけだよ」

「行く気満々じゃん!」

「いや、冗談冗談。」

「本当に?」

「うん」

「…校長の異能は知らない。でも、この学校には今七人異能がいるらしい」

「へぇ?」


 明らかに凡さんの目付きが変わる。その目からは興味本位ではなくなったことがわかる。

 それに伴って初代さんの顔つきも変わる。とってもいやそうな顔をしている。


「行かないでよ?」

「わかってるって。あそうだそっちの子」

「は、はい」


 いきなり呼ばれて強張ってしまった。声がおかしくなってなければいいけど。


「ほかのクラスの子たちは?」


 おっと。

 答えにくい質問が来たぞ?

 どうしようか。嘘をつくつもりはないが、放って逃げてきたなどと本当の事を言ってしまえばこの人たちは幻滅してしまうだろうし。いや、どうせ今から失うものもない。唯一失うものといえば僕を守ってくれる人だけだ。


「あぁ、いや!もし答えにくかったら答えなくて良いんだよ?事情があるかもしれないしさ!」

 初代さんがフォローする。

「…はい」


 恐らくまた顔に出ていたのだろう。苦虫を潰したような顔になっていたのだろう。しかし、それが違う意味で伝わってくれた。

 おそらくクラスのみんなが殺されたところを命からがら逃げてきたと思っているのだろう。


「…初代。これからどうする?」

「そうだなぁ。とりあえず基地に帰ろうか。もしかしたらみんなも待ってるかもしれないし」

「そうだな。敵の情報を仕入れただけ十分だ」

「あぁ、そういえば葦名君。今日からはしばらく家に帰れないかもしれないし、学校にも通えないかも」

「こんなことがあった後だ。流石に放っておくわけにもいかないもんでさ。その旨を親御さんに連絡しておくといいよ」

「あぁ、それなら大丈夫です。後で連絡入れておきます」


 どうせ連絡入れようが入れまいが親は何も思わないだろう。うちの親は超放任主義で、一年家に帰らなくとも放っておくくらいだ。


 前にどこまで許されるのだろうと思い、親に何も連絡せずに一週間の修学旅行に行った時も特に何も心配されていなかった。

 家に帰って親が一番に言った言葉は〈おかえり~。お腹すいてる~?〉だった。いや、今はそんなことどうでもいいか。


「あぁ、そういえば言い忘れてたけど異能の中の一人の能力多分解かったよ」

 唐突に初代さんと凡さんが話し始める。

「お、結構な収穫じゃん。んで、どんな奴なんだ?」

「そうだなぁ…手で触れたものをほかの物質に変える能力で、そうだな…。見た目的には身長がたかーーー」


 教室の扉が開く。

 窓が割れる。

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